いつもなら布団から起きて着替えて、大将たちの朝ご飯を作りながらお弁当を詰める時間。
だけど今日は、敦賀さんの家にいるのでそれはない。
その代わり、敦賀さんに朝ご飯食べさせなきゃいけないんだけど………

(ううっ…昨日の今日で、どんな顔見せればいいのよおぉ~っ!)

昨夜は、そんなに長い時間は気絶していなかったらしい。
ゲストルームに飛び込んだ後に時間を確認したら、夜中の1時だった。
敦賀さんの…アレについては、蹴ってゴメンナサイとは思ったけど、とりあえず頭整理したくてオヤスミ3秒でぐっすり夢の中へ逃げ込んだのだ。

(蹴られると結構痛いって聞いた事あるし…一応謝らなきゃダメよね?)

「はぁ」と溜め息を1つつくと、着替える為にベッドから下りて荷物の中から制服を取り出した。
今日は平日、一応出られる限りは学校に行きたい。
…そりゃ、敦賀さんとの時間も大事にしたいけど。
でも、せっかく社長さんのご厚意で編入できた学校。
憧れていた女子高生ライフ!
(特殊な芸能科クラスのせいで、現実はちょっと変わってるけど)
きちんと卒業して、『最上キョーコ』をつくる1つにしたい。

ボーッとしながらクローゼットに備え付けられてある姿見を見た。
パジャマは違えど、いつもと同じ私…
が映っている筈だった。

「……………!!!」



「敦賀さんーーーーーっ!!今すぐハウスクリーニングよんでくださいぃぃぃー!!!」


リビングへ飛び出していくと、敦賀さんはソファに座ってコーヒーを飲んでいた。


「…!!どうしたの、キョーコ!?」

「ゲストルームにダニがいっぱいいるんですうっ!!」

「は!?ダニ?」

「はいっ、これです!」


気が動転していて、またも昨夜の出来事をうっかり忘れた私は、着替えかけのブラウスの前を中途半端に開いて見せた。


「!!!(しまった!)」

「どうも背中は刺されてないみたいなんですけど。

全然かゆくないけど、ちょっと量が多いので早く何とかしないと!

敦賀さんの寝室も大変な事になるかもしれませんよ!?」

「うん。まぁ…その、大丈夫、なんだけど。」

「何がですか!?敦賀さんはモデルもされているんですよ!?

何かあってからじゃ遅すぎます!!」


しどろもどろ返答する敦賀さん。

あなたご自分のお仕事分かってらっしゃいますかぁ!?


「あのね、それ、虫刺されじゃなくて…」

「虫刺されじゃない?じゃぁなんで……はっ!

まさか、私アレルギー体質にでもなっちゃったのかしら!?」

「いや、そうじゃなくてね…ゴメン!」


あわあわする私の肩を掴むと、敦賀さんは私の貧相な胸元に口をつけ、じゅっと吸いついた。


「…!?んっ!」


きゅぱっと音がして敦賀さんの唇が離れると、身体にたくさんついてるのと同じ赤い痕が一つ残った。


「……ゴメン。こういう事だから…」

「……………。」

こういうこと?

こうすると、この虫刺されができるって事?

じゃぁ、身体中にいっぱいあるって事は………。


「っいやああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!!」


<ぱっしーん!!!>


とっても乾いたいい音を響かせ、私は敦賀さんの頬を思いっきりひっぱたいた。




************


きょこたんブラックアウト中にオイタしすぎた敦賀氏。

ひっぱたかれるのは自業自得ですな☆


…今日のはギリ限定じゃないよね!?