いつもなら布団から起きて着替えて、大将たちの朝ご飯を作りながらお弁当を詰める時間。
だけど今日は、敦賀さんの家にいるのでそれはない。
その代わり、敦賀さんに朝ご飯食べさせなきゃいけないんだけど………
(ううっ…昨日の今日で、どんな顔見せればいいのよおぉ~っ!)
昨夜は、そんなに長い時間は気絶していなかったらしい。
ゲストルームに飛び込んだ後に時間を確認したら、夜中の1時だった。
敦賀さんの…アレについては、蹴ってゴメンナサイとは思ったけど、とりあえず頭整理したくてオヤスミ3秒でぐっすり夢の中へ逃げ込んだのだ。
(蹴られると結構痛いって聞いた事あるし…一応謝らなきゃダメよね?)
「はぁ」と溜め息を1つつくと、着替える為にベッドから下りて荷物の中から制服を取り出した。
今日は平日、一応出られる限りは学校に行きたい。
…そりゃ、敦賀さんとの時間も大事にしたいけど。
でも、せっかく社長さんのご厚意で編入できた学校。
憧れていた女子高生ライフ!
(特殊な芸能科クラスのせいで、現実はちょっと変わってるけど)
きちんと卒業して、『最上キョーコ』をつくる1つにしたい。
ボーッとしながらクローゼットに備え付けられてある姿見を見た。
パジャマは違えど、いつもと同じ私…
が映っている筈だった。
「……………!!!」
*
「敦賀さんーーーーーっ!!今すぐハウスクリーニングよんでくださいぃぃぃー!!!」
リビングへ飛び出していくと、敦賀さんはソファに座ってコーヒーを飲んでいた。
「…!!どうしたの、キョーコ!?」
「ゲストルームにダニがいっぱいいるんですうっ!!」
「は!?ダニ?」
「はいっ、これです!」
気が動転していて、またも昨夜の出来事をうっかり忘れた私は、着替えかけのブラウスの前を中途半端に開いて見せた。
「!!!(しまった!)」
「どうも背中は刺されてないみたいなんですけど。
全然かゆくないけど、ちょっと量が多いので早く何とかしないと!
敦賀さんの寝室も大変な事になるかもしれませんよ!?」
「うん。まぁ…その、大丈夫、なんだけど。」
「何がですか!?敦賀さんはモデルもされているんですよ!?
何かあってからじゃ遅すぎます!!」
しどろもどろ返答する敦賀さん。
あなたご自分のお仕事分かってらっしゃいますかぁ!?
「あのね、それ、虫刺されじゃなくて…」
「虫刺されじゃない?じゃぁなんで……はっ!
まさか、私アレルギー体質にでもなっちゃったのかしら!?」
「いや、そうじゃなくてね…ゴメン!」
あわあわする私の肩を掴むと、敦賀さんは私の貧相な胸元に口をつけ、じゅっと吸いついた。
「…!?んっ!」
きゅぱっと音がして敦賀さんの唇が離れると、身体にたくさんついてるのと同じ赤い痕が一つ残った。
「……ゴメン。こういう事だから…」
「……………。」
こういうこと?
こうすると、この虫刺されができるって事?
じゃぁ、身体中にいっぱいあるって事は………。
「っいやああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!!」
<ぱっしーん!!!>
とっても乾いたいい音を響かせ、私は敦賀さんの頬を思いっきりひっぱたいた。
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きょこたんブラックアウト中にオイタしすぎた敦賀氏。
ひっぱたかれるのは自業自得ですな☆
…今日のはギリ限定じゃないよね!?