「ねぇねぇ、とまちゃんってさー、リナと仲良いよね?」




後ろの席に座っていた葵が突然聞いてきた。


「?」
「まぁ、遊んだりするし仲良いと思ってるけど…。」



「どうかした?」









そう聞くと、葵は急に深刻そうな顔になり

「じゃあさ、この話もう聞いた?
リナの家に遊びに行った子がいたらしいんだけど、
家に入ろうとしたら
リナのお母さんが男の人と
裸で布団で抱き合ってたんだって…!
その遊びに行った子、見ちゃったらしいよ?」








私は脳みその奥が冷たくなっていくのを感じた。


「リナは…リナはその時どうしたか聞いてない?」





「んー、よく詳しく分かんないんだけど!
リナは玄関飛び出して行ったって聞いた。
だからその子置いていかれちゃったみたいで
家に帰ったって。」










「…へぇ〜。」


小学4年生には衝撃的すぎる話で、
内容が内容だったので本気にしていいものかと思ったけど


休み時間になっても動くこともなく
席にただただ座り続けるリナを見て、
少なくともショックを受けてる様子を感じ取った。








その数日後、リナに追い討ちをかけるように
リナは頭にシラミが出来てしまった。





4年生の時はリナとクラスが違ったから…

今ではそんな言い訳、見捨てていたも同然。






この時のリナはきっと、













抜け出せないほどの闇にもがき、
苦しんでいたことだろうと思う。