高3の時に英語の先生が早退して急に自習になっちゃってみんなが「受験のために」って勉強してたんだけど、僕はまだ受験というものに身が入らなくて図書室で借りたサリンジャーのライ麦畑でつかまえて(村上春樹訳)を読んでたら、となりのあのこが話しかけてくれた。「小説読むって意外、なんかいいね」って。僕にとってはすごく嬉しかった、理由はわからないけど。そのあと、「ちょっと貸して」ってその本を3分ほど読んでた。僕はなんか頭の中がポワポワとしていた。本の感想も言わずに微笑みながら本を返してくれた。ほんの少しだけ嬉しかった。サリンジャーの小説を読み返すたびに何故かあのこのことをほんの少しだけ思い出す。