毎日、家族の夕飯を作り終え、片付けをして、ようやく一息つけるのは夜の23時過ぎ。本当はそのままお風呂に入って寝ればいいのに、なぜかそこから「私の時間」が始まってしまうんです。録画していたドラマを見たり、スマホを眺めたり。低く静まり返ったリビングに響く冷蔵庫の音を聞きながら、必ずやってくるのが、あの恐ろしいほどの空腹感でした。
「あぁ、まただ……」
頭では「食べちゃダメ、明日後悔するよ」って分かっているんです。でも、一度スイッチが入ると、まるで自分の足が勝手に動くみたいに吸い寄せられるように台所へ。気づけば食パンを焼いていたり、クッキーの袋を開けていたり。最後の一口を飲み込んだ瞬間に襲ってくる、あの何とも言えないドロドロとした罪悪感。50代にもなって、自分の食欲一つコントロールできない自分が本当に情けなくて、夜中に一人で泣きたくなることもありました。
そんな時、ふと目にしたのが「夜中の空腹は、実はお腹の冷えからきている」というお話でした。確かに、更年期の影響か、のぼせることはあっても、お腹を触るといつもひんやりしていたんです。そこで、藁をも縋る思いで手に入れたのが、シルクの腹巻でした。
届いた日の夜、お風呂上がりにそれを履いてみたんです。締め付け感が全くなくて、とろけるような肌触り。お腹の深いところが「じんわり」と温まっていくのが分かりました。すると、不思議なことが起こったんです。
いつもなら深夜1時を過ぎる頃に「何か食べたい!」と胃が騒ぎ出すのに、その日はなんだか、お腹の奥がポカポカして、とっても満たされた気分で。「あれ? お腹空いてないかも……」という、これまでにない感覚でした。脳が「エネルギーを補給して熱を作れ!」と叫んでいたのが、物理的に温めたことで、すーっと静まったような、そんな感覚です。
台所へ向かおうとしていた私の足が、その日は自然と寝室の方へ向かいました。
布団に入ってからも、腹巻のおかげでお腹がずっと温かい。その安心感に包まれているうちに、いつの間にか深い眠りに落ちていました。翌朝、目が覚めた時の感覚は今でも忘れられません。胃が軽くて、顔のむくみもなくて、何より「昨夜は自分に勝てた」という誇らしい気持ちで胸がいっぱいになったんです。
これまでは、食欲を抑えられない自分を「意志が弱い」と責めてばかりいました。でも、私の体はただ、冷えていて、疲れていて、誰かに優しくしてほしかっただけなんだって気づけました。自分を律するのではなく、温めてあげる。ただそれだけで、あんなに止められなかった足がピタッと止まったんです。
今、もしあなたが夜中に自分を責めながら台所に立っているなら、まずは自分のお腹を触ってみてください。もし冷えていたら、それはあなたのせいじゃありません。自分を温めて、大切にしてあげるだけで、夜の景色はきっと、もっと穏やかで優しいものに変わりますよ。
今夜も、あなたが温かい眠りにつけますように。
