とある受験の能力開発 -38ページ目

明日から文化祭

じゃあ、うちの実家に居た幽霊の話。通称「がしゃがしゃのおじさん」「がしゃがしゃさん」

基本子供にしか見えない。中学生ぐらいから自然と気にならなくなる。

なんで「がしゃがしゃ」かというと、鎧を着てるから。(鉄ずれの音がインパクトに残るようで)

少なくとも爺様が子供の時にはもう居たらしい。

家に入った泥棒はとっちめたり、子供のお守をしてくれたり、延焼を防いでくれたりと一見守り神のようながしゃがしゃさんだが、実はかなり恐がりでドジ。

テレビやラジオのようなものは慣れたらしいが、俺が子供の時はカメラやファンヒーターにびくぅ!とすくみあがる姿を何度も見た。(音や光にびっくりするらしい)

その最たるもので今でも語り種なのは、俺が子供の時の話。

沢遊びに行って、足を滑らせて深みにはまった従兄弟を助けようとして飛び込んだ父。

それと同時に何故か一緒に飛び込むがしゃがしゃさん。

「え?ついてきてたの?」と訳が分からないまま呆然と見てたら、父が従兄弟を抱えて岸辺に戻ってきた。

水飲んでないみたいだし大丈夫だな、よかったなー、と騒ぐ大人達をよそに、子供一同川に釘付け。

手足バタバタさせているがしゃがしゃさん……明らかに溺れていた。

「うわあ助けないと!」

と騒ぐ子供。

俺は父に

「がしゃがしゃさん溺れてる!」

と言うと、

「鎧きてんのに何やってんだバカかー!」

と父も慌て出す。

「どこらへんに居るんだ、俺もっぺん飛び込むから(父にはもう見えてない)」

という親父を制し、いつも冷静な兄貴が一言

「……一度死んでるのに溺れるもん?」

しーんと静まり返った中、鎧の鉄ずれの音をさせてがしゃがしゃさんは川から浮き上がり、バツが悪そうに背中丸めて立ち去っていった。

先日実家を取り壊す時に、十何年ぶりに姿を見かけた。

恐がりでドジなうえに泣き虫なおじさんだと判明。

鎧はぼろぼろで落ち武者みたいだった。

親父や爺様にどことなく似ているから御先祖なんだろうか。

今では兄のところにいるがしゃがしゃさん。

電気ケトルのスイッチがきれるバチン!という音にびくびくしてると甥っ子が教えてくれた。