イランとアメリカ・イギリスの関係が緊張 日本の態度は? | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

米国が、イラン国民に向けて「バーチャル米国大使館」を開設したとの報道がありました。

http://mainichi.jp/select/world/news/20111208ddm007030142000c.html

(引用開始)
米国:イラン国民へ「仮想 米大使館」 ホームページ開設、「自由の国」をアピール

 【ワシントン白戸圭一】米国務省は6日、外交関係のないイランの国民向けに「バーチャル(仮想)米国大使館」と称するインターネットのホームページを開設した。イランの核開発問題に対する政策から、スポーツ、音楽などの軟らかい話題まで、米国に関するさまざまな情報を英語とペルシャ語で提供する。「自由の国・米国」をイラン国民にアピールし、情報統制で民主化を弾圧するイラン政府を揺さぶる狙いがあるとみられる。

 イラン国民に向けて語りかけるクリントン国務長官の動画が掲げられ、「米国とイランは外交関係がないために、あなた方イラン国民と対話する重要な機会を逃してきた」と開設の理由を説明。米国で活躍するイラン人音楽グループなどについてのニュースも視聴できる。

 しかし、7日現在、イラン国内からは接続できない状態になっており、ロイター通信はイラン当局の妨害と報じている。英語版のホームページはhttp://iran.usembassy.gov/

毎日新聞 2011年12月8日 東京朝刊
(引用終わり)


先日の記事で、国と国との関係における対立軸について書きました。今回の場合、

(アメリカ権力者とアメリカ市民) vs (イラン権力者とイラン市民)

となりがちなところ、アメリカの権力者はイラン市民とイラン権力者との分断を図ろうとしているわけです。さすがに、アメリカの権力者は目の付け所がいいというか、ズルイですね。

イラン市民とイラン権力者とを分断することで、イランの現在の権力者を追い出して、アメリカの言うことを聞く別の権力者を据えようという意図があるのでしょう。

イラン市民がイラン権力者にどのくらい不満を持っているのか、ちょっとわからないのですが、「自由の国・米国」をネット上で紹介するくらいで、大部分のイラン市民が持っていると思われるアメリカへの憎悪が好感に変わるとは思えませんが。

望ましくは、アメリカ市民とイラン市民が連帯して、双方の権力者が戦争モードに入るのを阻止できればいいのですが。

アメリカ権力者 vs (アメリカ市民-連帯-イラン市民) vs イラン権力者

なかなかこのような発想にはならないものですね。権力者が煽る対立の構図を市民が鵜呑みにして、というかしばしばそれを増幅して、国対国の戦争になり、結局多くの市民の命が奪われることになってしまいます。

市民どうし、よく顔を知っている人が増えればこれに近づくのではと思います。ただ、太平洋戦争で日系人が受けた被害を考えると、顔を知っているだけでもダメですね。市民の、権力者への批判的態度と、民族を超えて平和を希求する意識が必要なのでしょう。簡単なことではないですが。


アメリカとイランと言えば、私のブログでも紹介した駐米サウジ大使暗殺未遂事件でイラン政府が関与した疑惑(と米国が言っているけれど、イラン政府は捏造と非難)がありました。
http://ameblo.jp/tomamx/entry-11046457335.html

最近は、アメリカよりもむしろイギリスとイランとの関係が緊張しています。

http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23422:2011-12-07-12-34-50&catid=62:head-line

(引用開始)
イラン大統領、イラン・イギリス関係縮小法を通告

イランのアフマディネジャード大統領が、7日水曜、イギリスとの関係縮小に関する法を外務省に通告しました。

イラン国民に対するイギリス政府の敵対政策により、イランとイギリスの関係縮小法が、先月末も、イラン国会で可決され、護憲評議会の承認を受けました。

この法の施行により、イラン外務省には、国益の維持と国民の権利擁護の枠内で、2週間以内にイギリス政府との外交関係を代理大使レベルに格下げし、経済・貿易関係を最小限に留めることが義務付けられます。

また、イギリス政府の敵対政策が改められた場合、イラン外務省は同国との関係のレベルを上げることができます。

さらに、イラン外務省には、イギリスと同様の行動をとっているほかの国々に関して、適切な決定をとるための報告を国会に提示することも義務付けられています。
(引用終わり)


最近のイランをめぐる動きを簡潔にまとめられた記事を見つけましたので、引用させていただきます。

http://green.ap.teacup.com/pekepon/606.html

(引用開始)
1) IAEAがイランが核兵器を開発している疑いがあるという報告書をまとめた
2) 報告書の根拠は、西側諜報機関の情報
3) 米、英、ヨーロッパ諸国がイランに対して経済制裁を発動(石油禁輸や、講座の封鎖)
4) イランのイギリス大使館に経済制裁に抗議する市民が乱入
5) 英国、イラン双方で大使館員全員を帰国させる
6) イランから各国企業の駐在員などが出国中

ここまではイラク戦争と同じ筋書きになってきました。

7) 11月12日、イランのミサイル工場で爆発事故
8) 11月26日、核施設と噂される工場で爆発事故。
   一部西側の報道機関は、イスラエルの空爆と報道する

9) 中国の要人が、「第三次世界大戦が起きても中国はイランを支持」と表明
10)  アメリカとイスラエルはイランを攻撃する用意があると牽制

11) イラン軍が臨戦態勢を取っているという情報がある
(引用終わり)


アメリカ・イギリスがイランへの制裁を叫び、日本を含む各国に協調を呼びかけていますが、中国やロシアは明確にこれに反対しています。
さて、日本は?


まず、イランは日本にとって、第4位の石油の輸入先です。

Wikipediaよりhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B2%B9

(引用開始)
日本の石油輸入先
2010年度21,535kl(中東地域で86.5%)
1位 サウジアラビア 28.8%
2位 アラブ首長国連邦 20.4%
3位 カタール 11.8%
4位 イラン 9.6%
5位 ロシア 7.2%
5位 クウェート 7.1%
6位 オマーン 3.3%
7位 東南アジア諸国 3.3%
8位 イラク 3.2%[6]
(引用終わり)

エネルギー安全保障の観点から、イランとの関係は日本にとって重要です。

日本とイランとは、従来から比較的良好な関係にあります。
(個人的な経験としては、私の大学生時代、イラン人女性の留学生が私の研究室におられました。)

NHKのドラマ「おしん」は特にイランで絶大な人気があり、これによってイラン人の日本人に対する親しみはかなり強くなったと聞きました。

http://sarasaya.exblog.jp/172643/


また今回の東日本大震災を機に、在イラン日本大使がイランの支援への感謝を表明しています。

http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=22632:2011-11-12-13-13-43&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

(引用開始)
日本大使が東日本大震災へのイランの支援を感謝

イランの首都テヘランに駐在する日本の駒野大使が、今年の東日本大震災の被災者に向けた、イランの政府と国民からの支援に対し、感謝の意を表しました。

イルナー通信が伝えたところによりますと、駒野大使は、11日金曜、テヘランで行なわれたテヘラン大学の日本語学生や日本語愛好者による第14回日本語弁論大会で、「日本の地震・津波の被災者に対するイランの政府と国民のメッセージは、日本の政府と国民を非常に勇気付けるものだった」と語りました。

駒野大使は、イランと日本の良好な関係に触れ、様々な分野で両国の関係が、これまで以上に拡大するよう期待感を表現しました。

さらに、「イランの大学での日本語教育、及び日本の大学でのペルシャ語教育は、文化の交流をはじめとする両国の関係の強化につながる」としました。

第14回日本語弁論大会は、初級と上級の2部門で、テヘラン大学の学生と日本語愛好者が参加し、11日、テヘランで開催されました。

最終更新 ( 2011年 11月 12日(土曜日) 18:58 )
(引用終わり)


そして、最近のきな臭い動きを受けてからも、在イラン日本大使が、イランとの関係拡大を表明しています。

http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23093:2011-11-27-13-02-03&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

(引用開始)
2011年 11月 27日(日曜日) 17:29
イラン駐在日本大使、イランと日本の関係拡大を強調

イラン駐在の駒野日本大使が、「イランとの関係における一部の制限をなくすために、全力で努力する」と述べました。

イルナー通信が伝えたところによりますと、駒野大使は26日土曜夜、イラン北西部・東アゼルバイジャン州の州知事と会談し、「両国の非常に大きな可能性を考慮すれば、これまでイラン政府と日本政府の関係は、しかるべき発展に至っていない」と述べました。

駒野大使はまた、「この一年、相互関係の強化に向けて様々な計画を追求してきた。イランの様々な都市や州への訪問もこうした計画の一つだ」と述べました。

駒野大使は、両国の経済・貿易協力の拡大を、双方の利益になるものだとし、学術、貿易、工業といった分野におけるイランとの緊密な協力への日本の関心を強調しました。

駒野大使はまた、「日本は、新しい再生可能なエネルギー源や自然災害への対策といった分野で、イランとの技術協力に向けた完全な準備を整えている」と述べました。

東アゼルバイジャン州のアリレザーベイギー州知事もこの会談で、学術、経済、工業、貿易、観光といった分野における同州の可能性を指摘し、両国の緊密な協力を求めました。
同州知事はまた、「我々は、環境、観光、大学、また産業や貿易の様々な見本市の開催といった分野で、日本の経験と技術を活用したい」と述べました。
(引用終わり)

このように、イランとの良好な関係を日本が続けることができたらいいと思います。

ただ、このような情報をGoogleで調べても、ほぼ「イランラジオ」の記事しかひっかかりません。
日本のマスコミその他では、日本の政府筋がイランに対する態度を明確に表明した声明は見当たりません。

本音ではイランとの関係を良好に保ちたいと思いながらも、アメリカに遠慮して何も言えないのでしょう。その辺が、中国やロシアと、「アメリカの犬」と言われる日本との大きな違いですね。

このままでは、ブッシュ大統領に「テロリスト側につくのか、われわれの側につくのか」と迫られて、小泉首相がアフガニスタンへの武力攻撃を支持してしまったようなことがまた起きるかもしれません。

日本はイランをはじめ中東の国々で好感を持たれているのに、アメリカにペコペコして独自の外交戦略をもてないのは悲しいことです。沖縄の問題も考えると、いまだに「アメリカの植民地」であると言われるのもいたし方ないことです。


私はもちろん、イランの核開発(疑惑)を支持することはありませんが、イスラエルが既に核兵器を持ってしまったことを全く非難せずに、イランへの制裁を叫ぶ二枚舌のアメリカのことはもっと支持しません。

戦争を回避して、市民の血が流れないことを、切に祈ります。
(留学生のアザデーさんは、今は55歳前後でしょう。今頃どうされているのでしょうか、ねぇ…。)