サムスン電子が、発売されたばかりのアップル社の「iPhone 4S」の販売差し止めを求める仮処分を日本とオーストラリアの裁判所に申請したとニュースになっています。
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201110170067.html
(引用開始)
韓国のサムスン電子は17日、自社の特許を侵害したとして、米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)新機種「iPhone(アイフォーン)4S」の販売差し止めを求める仮処分を東京地裁とオーストラリアのニューサウスウェールズ州の裁判所に申請したと発表した。サムスンは今月初めにフランス、イタリアでも同様の仮処分を申請しており、これに続く措置。
アイフォーン4Sは日本では14日に発売されたばかりだが、ファンが数日前から徹夜で並ぶなど爆発的な人気を呼んでいる。
サムスンは、日本では画面表示の機能など4件の特許が侵害されたと主張しており、「アイフォーン4」「iPad(アイパッド)2」の販売停止も求めている。
(引用終わり)
10/11に私が書いた記事『「日本文化ぱくってばかり」と非難 ネット動画に韓国メディア激怒』で引用した秀逸な動画の一番最初に出てくるのか、サムスンのギャラクシーがiPhoneを剽窃したとの話。
サムスンがアップルに特許侵害されたと主張するとは、その全く逆ではないですか。
おっと、これは大変。
調べると、アップルとサムスンとの間の訴訟合戦が泥沼の様相を呈してきているようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111013/223188/?P=1
(引用開始)
係争が始まったのは今年4月中旬。米グーグルのスマートフォン向けOS「アンドロイド(Android)」を搭載したサムスン製のスマートフォンとタブレット端末が、自社の「iPhone」と「iPad(アイパッド)」にそれぞれ酷似しているとして、特許侵害および商標権の侵害でアップルがサムスンを米カリフォルニア州北部連邦地方裁判所に提訴した。
訴状によると、「角の丸い長方形型、銀色の縁、フラットな表面と上下の目立つ黒いボーダーラインの組み合わせ、背面の緩やかなカーブ、角の丸い四角形のアイコン表示などがそっくりだ」として、アップルは製品のデザインに関わる特許権の侵害を中心に訴訟を起こした。
その後アップルはサムスンを相手に同様の訴訟を米国以外でも展開。日本、韓国、ドイツ、フランス、オーストラリアなど世界10カ国で、30件近くに上る訴訟を抱えるに至った。
(中略)
当初は守勢一辺倒だったサムスンも、ここにきて攻勢に転換。「アップルが3G(第三世代)通信標準に関してサムスンの持つ特許を無断使用している」として逆提訴した。
さらにオランダでは、アップル製品の販売停止まで求める。昨日には、先日のフランスとイタリアに続いて今度は日本とオーストラリアの裁判所にも、アップルが発売したばかりのiPhone 4Sの販売差し止めを求める仮処分を申請したことが明らかになった。
(引用終わり)
今までに判決が出たのは4件で、全てアップルの勝ちだと。
こんな詳細まとめもありました。
http://androidken.blog119.fc2.com/blog-entry-634.html
私は(まだ)iPhoneユーザではないですが、最初に新たなコンセプトを考え出した会社が尊重されることを心情的には望みます。しかし、知的財産権の戦略というものは、そんなに単純なものではないので難しいですね。
一方でその背景には、アップルが他社にシェアを奪われていることの焦りがあるようです(同記事)。
(引用開始)
既に北米市場ではアップルとグーグルの立場は逆転した。米調査会社のコムスコアによると、2010年11月にアンドロイドを搭載した製品がiPhoneからシェア首位の座を奪取。2011年7月~9月期には、アンドロイド携帯のシェアが42.7%、iPhoneが27.3%と、その差が大きく広がっている。
さらにマイクロソフトがフィンランドの携帯電話メーカー大手ノキアと提携。今後はスマートフォン向けOSの「Windows Phone(ウィンドウズ・フォーン)」 を搭載したスマートフォンの生産をノキアが加速し、アップルにとって新たな脅威となると見られている。
IDCの市場シェア予測によると、2015年にはアンドロイド携帯が世界シェアの43.8%を獲得してトップに立ち、Windows phoneが20.3%で続く。そしてアップルのiPhoneは13.4%にとどまり、3位に転落するという。
(引用終わり)
おお、アンドロイド携帯がそんなに伸びているのですね。
本当は新しいもの好きなのに、まだ旧式の携帯を使っている私は、完全に取り残されています。
そして難しいことに、両社の間は、単なる敵同士ではないと(同記事)。
(引用開始)
もっとも、両社の関係は「敵同士」という単純なものではない。サムスンにとってアップルは、iPhoneなどの基幹部品であるCPU(中央演算装置)やフラッシュメモリーなどの半導体製品を大量に購入してくれる最重要顧客の1つだ。
裏を返せば、アップルにとってもサムスンは基幹部品の最大のサプライヤーである。このため、業界関係者も当初は「両社ともに早期に落とし所を見つけ、特許のクロスライセンス(相互許諾)といった形で円満に収束させるだろう」と見ていた。
しかし両社の対立は、早期に収束するどころか、全面的な対立に発展した。特にアップルには、サムスン製品の販売を差し止めるなど妥協の姿勢が一向に見られない。
(引用終わり)
右手で握手しながら、左手で殴り合っている感じでしょうか。
今のところ、サムスンの敗訴が続いているようですが、なかなかしたたかです。
今後はアップルはサムスンからの部品調達を取りやめ、台湾のメーカーに乗り換えるとの話も出てきています。
ところで、このあたりの紛争に日本のメーカーの名前がほとんど出てこないのは、ちょっと残念なことです。電子機器製品といえば、日本のお家芸のはずだったのに。日本国内の閉鎖的な市場で特殊に進化した、まさに「ガラパゴス携帯」に力を注ぎすぎたからでしょうか。
その意味では、世界市場でアップルを慌てさせているサムスンは「あっぱれ」と言えるかもしれません。今や日本企業もたじたじ。ウォン安でより競争力が高まっていることもありますが、決断力と実行力に優れた韓国企業は全く侮れません。
iPhoneとギャラクシーの微妙な問題はさておき、韓国もこんなに国力が伸びてきたからは、日本や中国の文化を韓国がオリジナルだなどという真っ赤なウソを平気でつくことは、恥ずかしくて悲しくなるので、やめてもらいたいです。