http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110619/t10013624291000.html
(引用開始)
菅総理大臣は、インターネットを通じて、自然エネルギーについて国民と意見を交わし、原子力発電所の運転再開に関連して、「安全性が確認された原発は稼動していく」と述べ、国として、地元の自治体に対して原発の運転再開を求める考えを示しました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、運転再開のめどが立っていない定期検査中の原発を巡っ ては、18日、海江田経済産業大臣が、深刻な事故に対する措置が実施されていることを確認したとして、地元の自治体に原発の運転再開を求めました。こうし たなか菅総理大臣は、19日、総理大臣官邸と宮城県や福島県など全国4か所をインターネット中継で結び、自然エネルギーをテーマに国民と意見を交わしまし た。この中で菅総理大臣は、原発の運転再開について「海江田大臣の考えは、私も全く同じだ。中部電力浜岡原子力発電所は例外的な特別な事情があり、ほか の、きちんと安全性が確認されたものは稼動していく」と述べ、地元の自治体に、原発の運転再開を求める考えを示しました。そのうえで、菅総理大臣は「長期 的にどういうエネルギーの在り方を選ぶかというのは、しっかり議論する必要がある」と述べ、原発の運転再開の問題とは別に、将来のエネルギーの在り方の議 論が必要だという認識を示しました。
(引用終わり)私は、基本線としてはこの考えを支持します。
このブログを読んでいただいている方には、がっかりされる方もおられるかもしれませんが。
中長期的には原子力発電所を全廃することを決定し、再生可能エネルギー比率を高めるためのエネルギー政策の大転換を確定させる法律の制定を今すぐに実行すべきと考えている一方、工業に携わる産業人のひとりとして、この夏の電力の安定供給はきわめて重要な課題と考えていますので、現実問題として「安全性が確認できた」原発は再稼動させることが望ましいと考えます。
ただし、もちろん最も重要な問題は「安全性が確認できた」ことの裏づけです。
この点では、政府の説明は全くもって不十分きわまりないようです。
毎日新聞が原発立地各県の知事に感想を聞いた記事がありました。
http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20110619ddr041010004000c.html
(引用開始)
適切と判断した根拠の説明を求める知事は多く、溝口善兵衛島根県知事は「国が指示し、電力会社が実施するとした安全対策で十分かチェックする必要がある」 と国方針をうのみにできないとの姿勢を堅持。新潟県の泉田裕彦知事は「安全性について論評に値する内容が無い」とコメントした。
(中略)
福井県の市民団体「原子力発電に反対する福井県民会議」の小木曽美和子事務局長は「新たな安全基準や耐震設計審査指針などを具体的に何も示していないのに、どうして運転を再開できると言えるのか」と海江田経産相を厳しく批判した。
(引用終わり)
どういう根拠で安全と判断できるのか、政府はきちんと示すべきです。
リスクは絶対にゼロにはならないことを正しく認めた上で、どのような確率で事故が起きるのか、地元の大多数の人(全員は絶対に無理でしょう)が納得できる説明を、誠心誠意きちんと行うことは最低限必要です。
上記記事の市民団体の意見は全く正しいです。
その説明ができないようであれば、原発は動かすべきではありません。
一方で、知事や住民の方にも、納得できる科学的な説明が行われれば再稼動を許容する柔軟性もほしいです。
個人的にはこの夏の再稼動の方向性に賛成ではありますが、海江田経産大臣のようないい加減な対応では絶対に認めるべきではないし、知事・住民側が許容する可能性は低いでしょうね。
それなら甘んじて電力不足を受け入れて、他の対策を採るしかありません。
さて、菅首相が言及した「浜岡原発の例外的な特別な事情」。
先の毎日の記事でも、
(引用開始)
一定の理解を示す知事もいたが、そんな中でも「浜岡原発と他の原発との違いの説明を」と指摘する声も複数あり、西川一誠福井県知事は取材に応じなかった が、県幹部がコメントで「浜岡原発のみに停止を命じた根拠が示されなければ、定期検査中の原発の再稼働は了解できない」と慎重な姿勢を示した。
(引用終わり)
と書かれています。
振り返ると、菅首相は5/6に「唐突に」浜岡原発について、稼動中の原子炉も含め全ての停止を要請することを発表しました。
当時の記事ではこのようになっています。
http://www.asahi.com/politics/update/0506/TKY201105060230.html
(引用開始)
首相は6日夜、首相官邸での記者会見で停止要請を明らかにし、「国民の安全と安心を考えてのこと。浜岡原発で重大な事故が発生した場合、日本社会全体におよぶ甚大な影響を併せて考慮した」と強調した。
首相は停止要請の理由に東海地震を挙げ、「30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性が87%という数字も示されている」と説明。特有の事情があるとの認識を示し、浜岡以外の原発への対応には言及しなかった。
停止期間については「防潮堤の設置など中長期の対策が完成するまでの間」とした。中部電は海岸沿いの高さ10メートル以上の砂丘と原発の間に、津波対策として高さ15メートル以上の防潮堤を新設する予定だ。
首相は、停止要請までの経緯について「先の震災とそれに伴う原子力事故に直面し、私自身、浜岡原発の安全性について様々な意見を聞いてきた」と説明。今 後の中部電管内の電力不足対策について「需給バランスに大きな支障が生じないよう政府として最大限の対策を講じていく」と語った。
(引用終わり)一応、それなりに説明を試みています。
それが、今回は「例外的な特別な事情」とだけの説明。
もう、みんな裏事情はわかっているのは知ってるけど、口には出せません、ということでしょうか。
すなわち、浜岡原発の全停止は米国の圧力で決定したということですね。
5/8に青山繁晴氏がテレビ番組などでそのように説明しています。
http://www.dailymotion.com/video/xim586_yyyyyyyyyyyy_news
週刊誌などでも多く取り上げられ、みんな米国の圧力で簡単に止めたことを知ってるので、政府・菅首相は、もう今さら下手な説明をしても無駄だと開き直っているのでしょう。で、「特別な事情」と。
ちなみに、パブロン中毒さんは、青山氏の発言より前の5/7に、これはアメリカの圧力だろうと喝破されています。
何だかよくわからんけど結果オーライだといっていた私も、その記事を読んでストンと納得できました。
改めてご紹介しておきます。
http://ameblo.jp/nothingrealymatters/entry-10884225337.html