全国アホ・バカ分布考 | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

関西人なら誰でも大好き、朝日放送の驚異の高視聴率・長寿番組『探偵!ナイトスクープ』については、前に紹介しました。→前の記事

今日はその番組から発展して、プロデューサーが書いたドキュメンタリー風ノンフィクションを紹介します。
その名も『全国アホ・バカ分布考

全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 (新潮文庫)/松本 修

¥820
Amazon.co.jp


『探偵!ナイトスクープ』は、視聴者からの依頼に基づき、探偵(芸人)がその謎を究明する、という趣向の番組。

1990年1月19日収録の番組での一つ目の依頼は
 「アホとバカの境界を調べてほしい
という、何ともばかばかしいものだった。

これを探偵の北野誠(現在は謹慎中)が、東京から大阪に向かって調査した結果を報告する。
東京はバカ、静岡もバカ、次の名古屋は・・・タワケだった
北野誠はさらに踏み込んで調査し、「アホ」と「タワケ」の境界線は、岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原西今津だと結論付けた(笑)

この報告を受けた当時の所長上岡竜太郎は、「バカ」と「タワケ」の境界は?と突っ込み、さらに調査するように命じた。

番組を見た視聴者から、「香川県三豊郡ではホッコ」「姫路ではダボ」「富山県ではダラ」などの情報が寄せられ、番組では全国からの情報を募り、日本全国にさまざまなアホ・バカの呼び方があることがわかってきた。
(…自分は当時、毎週日本地図にアホ・バカが追加されていく様子を楽しく観てました。)

日本全国のアホ・バカが集まってくると、興味深い事実に気づく。
京都を中心にして、呼び方が同心円状に分布している。例えば、北陸と島根ではともにダラである、など。

これは、有名な民俗学者柳田國男が、蝸牛(カタツムリ)の呼び名が、デデムシ(近畿)→マイマイ(中部・四国)→カタツムリ(関東・四国)→ツブリ(東北・九州)→ナメクジ(東北北部・西九州)と同心円状に分布していることを発見した(「蝸牛考」)ことと見事に一致している。
これは、民俗学的に画期的な発見だった!

その後、全国のアホ・バカの分布を調査するため、全国の市町村教育委員会にアンケートを発送して集計し、またその語源について書籍を調査した。
こうして調査した結果は、なんと学会で発表することにまでなった。
番組は、1991年日本民間放送連盟賞テレビ娯楽部門最優秀賞受賞・第29回ギャラクシー賞選奨・第9回ATP賞グランプリを受賞した。


文字通りバカバカしい依頼から、こんな深い境地にまで達する経緯を詳細に記したこの本は、知的刺激に富んだドキュメンタリーです。(気軽に読むには、ちょっと難しすぎるくらい。)

(余談ですが、本書中に出てくる「会議中、無駄口ばかりたたいている百田君」は、感動の小説「永遠のゼロ」の著者です。)


この本をきっかけにして、「あなたの地方ではアホ・バカは何ていうの?」という話題で盛り上がれるでしょう。

私のまわりでは、妻の実家の姫路で「ダボ」を聞いたし、北海道出身者は「ハンカクセー」を連発してたし、秋田出身者には「ホンズナス(ホンジナシ)」が通じました。


最後に、日本全国のアホ・バカを並べておきます。(推定伝播順)

フリムン・ホンジナシ・タクラダ・ホウケ・バカ・ダラ・ダボ・テレ・コケ・ゴジャ・ボケ・タワケ・トロイ・ウトイ・アンゴウ・アヤカリ・ヌクイ・アホウ・ハンカクサイ・アホ
(地方語)オンツァ・ホッコ・ホレ

ペタしてね 読者登録してね アメンバー募集中