ひとつは東京国立博物館の特別展「東大寺大仏 天平の至宝」
(http://todaiji2010.jp/index.html)
実は私は東大寺学園っていう高校の出身。当時、学校は南大門と中門の間の道沿いにあったので、3年間まさに東大寺に通ってました。(現在は移転。)東大寺学園の生徒は、大仏殿などもタダで入れてくれたので、夏は昼休みに涼みに行ったりしてました。
自分がこういう経歴の持ち主であることを差し引いても、東大寺は日本でもっとも優れた仏像・彫刻の宝庫だと思ってます。
最も好きなのは、戒壇院の四天王、中でも広目天。遠くを見つめるまなざしの表現、筆を持ってすっくとバランスよく立っている均整の取れた体も、最高です。(彫刻って体のバランスが崩れてるとガッカリですよね。仏像には多いです。)それとこの四天王、腕をよく見ると、鎧(よろい)の袖口が怪獣になってて、それが腕を噛んでる。TVゲームのキャラクターのモチーフとして使えそうなカッコよさです。これが8世紀の作品だから驚きです。
それから、何といっても有名な運慶・快慶作の南大門金剛力士像。超巨大な像なのに、ムキムキの筋肉や衣のひだの表現も完璧。これをたった69日間で完成させたというから、どんな凄い技術集団だったんだろう。
他にも、大仏さんや、三月堂の日光・月光菩薩、執金剛神像などなど、枚挙に暇がありません。
上記の仏像たちは東京に来てませんが(笑)、今回、僕が絶対に見たいと思ったのが重源上人坐像(国宝)。とってもリアルなおじいちゃんの彫刻です。図鑑で見て、すごいインパクトを受けてた。(けど、見たことがなかった。)これを間近に見られます!

それから、東大寺大仏殿の前の八角燈籠(国宝)。よくこんなもの運んできたなー(笑)。大仏殿前には、今、これがないわけですね。
「バーチャル大仏」という映像もありました。
他にも有名どころでは、僧形八幡神坐像(国宝)、良弁僧正坐像(国宝)。どれも図鑑でしか見たことなかった。それから快慶作の阿弥陀如来立像と地蔵菩薩立像(ともに重要文化財)も、知らなかったけど、とっても美しい仏さんでした。
12/12で終わってしまうので、ぜひお急ぎを!
もうひとつは、泉屋博古館分館(六本木)で開催の「幕末・明治の超絶技巧」という展覧会。副題は「世界を驚嘆させた金属工芸 -清水三年坂コレクションを中心に」
( http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/ )
名前の通り、幕末・明治の金属工芸のコレクションの展覧会です。期待以上のすばらしさでした!

美術史的にはほとんど評価されていない金属工芸ですが、明治維新をはさんだ日本で驚異的な技巧の発達があり、海外のコレクターが収集していたそうです。しかし、その後技術は衰退し、現在ではこれほどの金属工芸作品を作れる職人はいなくなったとか。
村田製作所の御曹司が、仕事をやめてコレクターとして集めた作品が京都の清水三年坂美術館というところで展示されてるそうで、今回はそのコレクションを中心に展示されてます。
特に正阿弥勝義という作家がすごい。技術も完璧だし、その意匠もすばらしいの一言に尽きます!
こういう技術が廃れてしまったのは大変残念なことです。
ただ、日本人がこういう小さいモノ、必ずしも高級な美術品とはみなされないモノに、努力を惜しまず完璧な技術を発展させてしまうDNAは、海洋堂のフィギュアなどに受け継がれていると考えるのは私だけでしょうか?(笑)
こちらも12/12で終了です。絶対におすすめ。東京の方、お急ぎを!
(この後、三島、大阪、岡山でも開催されるようです。)