学力、体力、生活態度。
けじめ、やる気、継続力。
数え上げれば、キリがない。
我が家において、長男は常に姉の2番手に甘んじてきた。
まれに奮起しても、
評価はどうしても姉と比べられてしまい、
『おー、ま、がんばったな』と落ち着く。
2人は2ヶ月に1度くらい空手の大会に出場する。
試合当日の朝、『ダブル優勝しようね!』と
弟は姉に言うのだが、『あんた次第だわ!』
と返され、大抵姉の方が戦績は良い。
長男は悔しい気持ちもありつつ、
2番手の居心地の良さに甘えていた所もあった。
期待を背負わないという、気楽さ。
姉に逆らわない方がラクという、安全圏の居心地の良さ。
その長男も小学校を卒業し小6最後の大会を迎えた。
トーナメントを見ると、準決勝で強豪と当たる。
昨年12月の全日本大会を優勝した強豪で、
これまで息子は2回対戦し2敗していた。
何とかこの壁を越えさせて、自信をつけさせたい。
私はエサを撒くことにした。
息子はバス通学しているので、携帯を持っている。
(とはいえ、死んだじいちゃんのおさがりでボロい)
『優勝したらiPhoneに変えてやるよ』
息子の目の色が変わった。
はじめから『勝てないかも』なんて絶対に思うな。
勝つ可能性は無くなるから。
『絶対に勝つ!』と思えば、何か起こせる。
同じ6年生で、大して変わらないんだ!
⬆️⬆️⬆️
こんなことを、試合の日まで話し続けた。
やるべき体の準備は、今までもしてきた。
あとは本人が強い気持ちを持ち続けるかだ。
迎えた本番、緊張で顔色の悪い息子に
空手の先生が直前にアドバイスをして下さり、
セコンドにも入ってくださった。
試合がはじまり、終始相手よりも動いて攻める。
動きは早く、引かないぞという気持ちが強い。
メンタルが強くなったか、
セコンドの先生のおかげか、
いや、それだけではない。父にはわかる。
『iPhoneパワーだ!』
(先生ごめんなさい)
審判の判定に運も重なり、4:1の判定勝ち。
続く決勝戦も判定勝ちし、優勝した。
発奮材料は何であれ、一つ壁を越えた。
このことを忘れないでほしい。
相手が強いから有名だとか、関係ない。
『自分は勝ってやるぞ!』と強く信じることが、
番狂わせの第一歩なのだ。
ちなみに当日、姉は優勝したため、
姉を越えることはできず、
姉の家来という地位は変わっていない。
そして父として言っておくが、
お前と姉を比べてどうこう思っていない。
お前にはお前の良さがある。
2人とも、大切なこどもたちだぞ!
~完~