一緒に働いている社員さんで、義足の人(Aさん)がいる。Aさんは最初にいろいろ仕事を教えてくれた人で、社員さんやパートの人達からの信頼も厚い人だ。おれが一人でつまらなそうに仕事をしているのに気づくと、いつも話しかけてくれた。ただ暇なだけだったかもしれないけど……。(笑)

とにかく、Aさんのおかげで新しい職場にも馴染みやすかったので本当に感謝している。

そのAさんが義足だと言うことに最初はまったく気が付かなかった。歩き方が少しぎこちない感じはあったが、義足だと言われなければ気付かない程度だ。

義足だとわかったのは、Aさんがおれに話してくれたからだ。

体調が悪くて仕事を休みがちになってた時があって、そんなおれを見かねて話してくれたのだと思うが、話を聞き終わった時に、

「辛いのはおまえだけじゃない」

そう言われた気がした……。

別に仕事を休みがちになってたことをどうこう言われたわけではない。

ただ義足になった理由を話してくれただけなのだが、遠回しにそう言っているように聞こえた。

だから心の中では、

「おれの気持ちがわかってたまるか」

「病気なんだからしょうがないじゃないか」

そんなふうに思っていた。

今思えば、おれよりAさんのほうがよっぽど苦しい思いをしてそれを乗り越えてきたはずなのに……。  

この時は井の中の蛙だった。

おれの周りに病気の人や体に不自由している人が1人もいなかったので、どこかで自分だけが辛いと思ってしまっていたんだと思う。

でもちゃんと周りを見ればいろんな人がいる。 

表面的に見れば幸せそうに見えても、本当はそうじゃないかもしれない。

多かれ少なかれ、みんな何かを抱えて生きている。

だから頑張らないと。

Aさんとの出会いは、おれにとって大事な経験だったように思う。


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