季語の本の横には、草木の写真集のコーナーがあって、そのとなりにはパーマカルチャーとかロハスとか環境問題のおしゃれな本も並んでいる。そのなかに江戸時代の生活の本が目に留まった。
ふと手を伸ばそうとしたら、大きなサングラスをした女性が、その本を、すっと手に取った。図書館の中なのにサングラスって見にくくないのかな?なんて思いながら、同じ本を見ようとしてたことに気づかれないように、その隣の本を手にとってみた。
女性はその場で、ページをめくっていたので、戻すのかな?と思いながら、僕も手に取った本のページをめくってみた。江戸時代の里山の本。今とどれだけ違うんだろ?って突っ込みたくなるなって苦笑いして、本をパタンって閉じてしまった。少しそのパタンって音が大きかったかもしれない。

「その本は、楽しいんですか?」
ふいに、さっきの女性に声をかけられた
「笑顔で見られていたから」

苦笑いが笑顔に見えたのかもしれない。
また苦笑いを浮かべながら

「えっ? えぇ」

と答えるしかなかった