グリーは、会員数約2,400万にもなる携帯ゲームサイトを運営し、この6年間で売上高が352倍になった急成長企業だ。六本木ヒルズに洒落たオフィスを構え、テレビCMを席巻する若者に人気の企業だが、無知な子どもたちからお金を巻き上げ、淫行や強姦の被害児童が激増する企業でもある。グリーは、この1年間で400人近い児童を犠牲者として犯罪者に提供した。
警察庁は2月17日、2010年中のインターネットサイトに起因する事犯の検挙例をまとめた。それによると、出会い系サイトを舞台にした犯罪は前年比178件減少の1,025件だった。出会い系サイト規制法の施行によって規制されるようになったことも手伝って、4年連続の減少となり、ピークとなった2006年の1,915件と比べると半減に近い。警察を悩ませてきた児童買春は3分の1以下の254件に減っている。そういう意味では、法規制の意味はあったといえるだろう。
問題は、規制の対象外である健全サイト、とくにSNSサイトを通じた犯罪が急増している点だ。18歳未満が被害にあう福祉事犯は前年比14.4%増の1,541件で、被害にあった児童は1,239人になった。内訳は青少年保護育成条例違反(淫行)が772人、児童買春が214人、児童ポルノが180人だった。舞台となったSNSサイトとは、ミクシィ、ディー・エヌ・エーの提供するモバゲータウン、そしてグリーである。なかでも突出して多いのが、「無料」ゲームをエサに誘導するグリーだった。
警察庁は各社のコンプライアンス担当幹部らを呼び出し、各社の個別の被害状況をそれぞれに当該企業に詳しく伝え、改善を要望している。呼び出されたSNSサイト企業や関係者の話を総合すると、ミクシィやディー・エヌ・エーがほぼ横ばいか減少傾向にあり、両社とも年間の被害児童数は60人前後になっているが、グリーだけは業績や会員数の激増と比例するかのように被害児童数も右肩あがりで増えている。グリーによる09年の被害児童数は150人強だったが、10年には約400人にもなった。ネット企業でこれだけの人数の被害者を出すのはグリーだけで、他社と比較しても突出して多い。
グリーの場合、ネット環境に未熟な小学生や中学生がゲームやりたさに会員登録し、そこでサイト内のミニメール機能を使って「友達」とメール交換しているうちに、犯罪に巻き込まれる事例が一般的だ。児童買春や淫行目的の人間があらかじめ小中学生になりすまして会員登録し、獲物を待つケースが多いからである。
たとえば福岡県警久留米署は2010年2月、グリーで若い女性になりすましていた暴力団組員が久留米市のアルバイトの女性(16歳)や高校2年生を「友達」のふりをして近づき、おびき出して相次いで強姦していたとして、この組員を強姦容疑で逮捕した。同年5月には千葉県警松戸東署がグリーで知り合った中1の女子に淫行した中学校教諭を逮捕、神奈川県警山手署もグリーで知り合った中2の女子にわいせつ行為をし、カメラで写真を撮った会社員を児童売春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕している。こうした事例は枚挙に暇がなく、日本中で発生している。
グリーに対しては警察だけでなく、全国各地の消費者相談センターも辛辣な見方をしている。「無料というふれこみだったので子どもに携帯を貸してゲームをやらせていたら、あとで法外な請求がきた」という相談が後を絶たないからだ。最も相談件数が多いのはグリーで、2位のディー・エヌ・エーとの相談件数の格差は「かなりの差がある」(消費者相談センター幹部)と、やはりここでも突出している。
広告では無料とうたっているが、ゲームの機能を強化したりアイテムを購入したりする際には有料課金される。入り口はたしかに無料でも、遊びに熱中するうちに課金されてしまうのだ。子どもたちの場合、ゲーム画面の途中で出てくる「3,000円」や「5,000円」という課金の知らせも、本当にお金をとられるのではなく、そういうゲームなのだと錯覚して遊び続ける例もある。子どもの無知につけこむような商法なのだ。「母親が夕食の支度中に小2の娘に携帯を貸し与え、無料ということだったのでグリーのゲームをやらせていたら、あとで10万円も請求された」(09年夏、東京)。「12歳の娘は、無料ゲームでアイテムを購入しても、それは無料だと思ってゲームを続行し、6万8000円も請求された」(10年暮れ、東海地方)。こんな相談が後を絶たない。
ある消費者相談センターの相談員はこう打ち明ける。「こちらからグリーに対応を求めても、たらいまわしにされることが多い。若い社員が多く、問題の対応に不慣れな印象を受けます」。同様の感想は警察幹部も抱いている。「経営幹部にかなり強い口調で注意喚起をしても、ピンとこないようだ」。
グリーは2006年6月期決算の売上高は1億円だったが、直近の10年6月期は352億円にまで増えた。純利益は115億円になり、売上高純利益率は32%余という高収益ぶりだ。溜め込んだ現預金は113億円にもなる。社員数はわずか174人しかいないが、平均年齢29歳で平均年収705万円はネット系企業では厚遇のほうだ。楽天やディー・エヌ・エー、ミクシィが600万円台なので頭一歩抜き出ている。
田中良和社長はライブドア事件を教訓に「堀江さんのようにならないよう気をつけます。目立つようなことはしないようにしているんです」と親しいIT企業の社長に漏らしている。地味な性格も手伝って、なるほどそれほど目立つ経営者ではない。しかし、重要なのは問題発生時の対応方だ。ライブドアもグッドウィルもあるいはかつての光通信も、急成長に内部管理体制がついていかず、マスコミから騒がれ始めてもなお危機感や緊張感に欠け、改善策を打ち出すのに遅れた。いまのグリーにはまさにそんな危うさがある。
GREEは、実はGREEDの「D」が隠れているのかもしれない。Greed for Money(守銭奴)かもしれないのだ。
国はさっさと営業停止にしろよ