キックオフ直後の大ピンチ。大幅なリターンを許し、自陣深くでのディフェンス。
しかし相手のファンブルを逃さず、ボールを奪い返す。
とはいえ、これ以上は下がれないエンドゾーン直前からの攻撃。
ライズの凄さはここから。
クォーターバック#10小島選手から、ワイドレシーバー#88大滝選手にロングパス。大滝選手はそのまま相手守備陣を寄せ付けず独走。開始わずか1分で先制タッチダウンを決めました。
その後は、もうワンサイドゲームと言っていい試合展開。終わってみれば66-0の大差で、「相模原ライズ」が「日本ユニシスブルズ」を破り、X1リーグ開幕2連勝を飾りました。
アメリカンフットボールX1リーグの強豪「ノジマ相模原ライズ」(紺のユニフォーム)。実はこのチーム、存在すること自体が奇跡的なのです。
「ライズ」は元、「オンワードオークス」といい、2007年にはアメフト日本一決定戦の「ライスボウル」を制し、チャンピオンに輝いたこともある強豪でした。
それが2008年12月、スポンサーのオンワードが経営不振のため撤退を表明、チームは「解散」を宣告されます。選手たちはこれを「連絡網」で知ったといいます。
残念ながら、社会人スポーツでこのようなことは決して珍しいことではなく、残った選手たちは、引退するか、プレイを続けたければ他のチームに移籍するしかない、というのが今までの常識でした。
しかし、「このチームでやりたい、このチームを愛している」という気持ちの強かった選手たちは、あきらめませんでした。選手でもあり代表でもある石井光暢さんを中心に、NPO法人となり、地域密着型チーム「相模原ライズ」を立ち上げたのです。
その間、チームに立ちはだかった壁は、想像以上に厚く高いものだったと石井代表は振り返ります。しかしチーム関係者の努力は次第に地域の人たちにも認められ、今では試合ごとの集客力はX1リーグ内でも群を抜いています。
地域に向けた活動の一環として、選手たちやチアリーダーが子供たちのために教室を開いています。ファンを交えたミーティングの時、母子家庭だというあるお母さんが、「うちの子は父親が亡くなって以来閉じこもりがちだったけれど、理想の男性ともいえるライズの皆さんと接することで見違えるように逞しくなった」と言われていたのが忘れられません。
その「相模原ライズ」、2009年にX3(3部)リーグから再スタートし、2010年にX2、そして昨年にはX1リーグへと戻ってきました。ノジマがスポンサーになり、チーム名を「ノジマ相模原ライズ」としたのも昨年です。
昨年はファイナルステージの第1戦で敗れ、チームが目標としてきた「3年で日本一」の達成は出来ませんでした。しかしファンの間では、チーム解散・再生という苦境にありながらよくファイナルまで進んだ、という声もあります。特にファイナル進出を決めたセカンドステージ「鹿島ディアーズ」との試合は、おそらく自力では勝る相手に対し、ゴール前の攻防、同点・延長の死闘の末の勝利と、涙が出るほどのゲームでした。
今季は多くの新人選手を迎え、昨季の雪辱を期して、現在ファーストステージを闘っています。
その最大の山場が次節、9月18日、東京ドーム。相手は「鹿島ディアーズ」。ディビジョン(EAST・WEST・CENTRALの3つ。ライズはEAST。)が同じなので、日本一のために避けて通れない相手です。2010年には日本一になった、めっさ強いチーム。
「ブルズ」戦でオフェンスが機能するようになったライズが、この難敵にどう立ち向かうのか。注目のゲームです。
「相模原ライズ」関連サイト
http://www.sagamihara-rise.com/
(チーム公式サイト)
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/bt_rise/
(チームブログ)
http://www.rise-fan.com/
(ファンサイト)
http://www.xleague.com/
(アメフトXリーグ公式サイト)