どこが好きなの?ときみが言う

それに答えるのはとても難しい


どこよりも好きなもののひとつはその瞳の中です。

そのときそのとき、瞳の中に見えるもの

椅子やテーブルがあり、炎や 泡立つ流れや
孤独な塔で受ける風や

 クロスをかけて隠した秘密や
 言葉に出来ないけれど強く語りかける願いや

10歳と20歳と30歳と

 人が海の中に住んでいた名残や

それを全部、わたしにさらけ出しているからです。

そのことをきみは知らないのかもしれない。


瞳の中に、悲しみが見える? 強い魂が見える?
やさしさが垣間見える?

それは言葉に過ぎない。
さまざまな人との時の中で、
わたしたちが当てはめた言葉に過ぎない。
そして、言葉である存在は存在しない。
言葉は身振り手振りで何かを伝えようとすることと同じようなもの。


わたしたちはすべての美しいもの、雄大なもの、孤独なもの、
崇高なもの、悲惨なもの、胸躍る冒険、・・・
そういう世界に浮かんでいて、
そこに触れる手と唇と瞳がある。