スマホは今や私たちの生活に必要不可欠ですが、スティーブ・ジョブズなど、IT業界のトップは自分のこどもにスマホやタブレットを与えないそうです。なぜなら、それが私たちに与える影響を知っているから。本書は、シリコンバレーの巨人達によって私たちの脳がハッキングされているという恐ろしい事実を暴き、我々がスマホにどう向き合うべきかについて示唆を与えてくれる一冊です。

 

 

【目次】

  1. 著者の紹介 - アンデシュ・ハンセン
  2. 要点
    • スマホは私たちの最新のドラッグである
    • 集中力こそ現代社会の貴重品
    • デジタル時代のアドバイス
  3. 感想
    • 無意識に時間や集中力を失っている
    • 目的意識をもって行動する
  4. まとめ

 

 

1. 著者の紹介 - アンデシュ・ハンセン

 

2,000本もの論文を発表している現役の精神科医。前著『一流の頭脳』にて、「人間の進化の見地」から運動が心身に与える効果を説明し、大ブレイク。スウェーデンで今もっとも注目されているメンタルヘルスのインフルエンサーです。

 

 

2. 要点

 

スマホは私たちの最新のドラッグである

 

私たちは平均で1日に4時間スマホを使っていて、1日に2,600回以上スマホを触り、10分に1度スマホを手に取っているそうです。また、3人に1人が夜中に少なくとも1回はスマホをチェックしています。

 

進化の見地から紐解くと、私たち人間の脳は新しい情報が大好きで、「かもしれない」、「もしかしたら」といった衝動に非常に脆弱です。ラインの通知が届くと大量のドーパミンが発生します。シリコンバレーの巨人達は、そういった人間の特性につけ込み、私たちの脳をハッキングしています。私たちはデジタルのメリーゴーラウンドの中をぐるぐる回されているのです。

 

以下のコメントはなかなかショッキングです。

 

ジャスティン・ローゼンスタイン:フェイスブックの「いいね」機能を開発した人物

「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。それが思ってもみないような悪影響を与える―それに気づいたのは後になってからだ」

トニー・ファデル:アップル社の幹部

「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって。うちの子供たちは、僕がスクリーンを取り上げようとすると、まるで自分の一部を奪われるような顔をする。そして感情的になる。それも、激しく。そのあと数日間、放心したような状態なんだ」

 

 

集中力こそ現代社会の貴重品

 

スマホの存在により、例えば映画を見ながらメールをチェックしたりなど、私たちは複数のことを同時に行うことが多くなりました。しかし、私たちの脳は1度にひとつのことにしか集中できません。複数の作業を同時にこなしているつもりでも、実際は作業の間を行ったり来たりしているだけで、それによって脳の切替時間を消費しています。つまり、マルチタスクによって私たちの生産性は低下しています。

 

また、実際にマルチタスクをしなくても、私たちはスマホに記憶力と集中力を奪われ、生産性を落としています。たとえサイレントモードにしていようが、スマホをポケットに入れたり目に見えるところに置くだけで、スマホを完全に隔離した場合よりもパフォーマンスが下がることが複数の実験で立証されています。スマホが持つデジタルな魔力を、脳は無意識のレベルで感知し、「スマホを無視すること」に知能の処理能力を使ってしまうのです。

 

 

デジタル時代のアドバイス

 

そうは言っても、今更スマホを手放すことなんてできません。そこで本書では、私たちがスマホをどう扱うべきか、巻末にアドバイスを纏めてくれていますので、項目だけ紹介します。

  • 自分のスマホ利用時間を知ろう
  • 目覚まし時計と腕時計を買おう
  • 毎日1-2時間、スマホをオフに
  • プッシュ通知もすべてオフにしよう
  • スマホの表示をモノクロに
  • 運転中はサイレントモードに
  • 集中力が必要な作業をするときはスマホを手元に置かず、隣の部屋に置いておこう
  • チャットやメールをチェックする時間を決めよう
  • 友達と会っているときはスマホをマナーモードにして少し遠ざけておき、一緒にいる相手に集中しよう
  • あなたがスマホを取り出せば、周りにも伝染する
  • 教室でスマホは禁止!
  • スクリーンタイムを制限し、代わりに別のことをしよう
  • よい手本になろう
  • 寝るときはスマホやタブレット端末、電子書籍リーダーの電源を切ろう
  • スマホを寝室に置かない
  • どうしてもスマホを寝室に置くなら、着信音を消しマナーモードに
  • 寝る直前に仕事のメールを開かない
  • ストレスの兆候を見逃さないようにしよう
  • どんな運動も脳に良い
  • 最大限にストレスレベルを下げ、集中力を高めたければ週に3回45分、できれば息が切れて汗もかくまで運動するといい
  • 積極的に交流したいと思う人だけをフォローしよう
  • SNSは交流の道具と考えて
  • スマホからはSNSをアンインストールして、パソコンだけで使おう

 

 

3. 感想

 

無意識に時間や集中力を失っている

 

本書を読み始めるには少し勇気がいりました。なぜなら、本書のタイトルからして、既にスマホが生活の一部になっている自分にとっては不都合な真実が書かれていることが想像できたからです。実際に読んでみると、内容は想像通り、私たちはスマホに時間と集中力を奪われている、というものでした。

 

それでも、心のどこかで「自分は違う、自分はスマホをちゃんとコントロールできているはず」、とあきらめきれない気持ちになりました。そこで、おそるおそる自分のスマホのスクリーンタイムを確認してみたところ、なんと1日の平均使用時間は約7時間。仕事でも使っているからとは言え、肌感覚的にはその半分ぐらいですので、言い訳できません。

 

本書のポイントは、それが「無意識」である、ということだと思います。私たちは自分が思っている以上にスマホを触っていて、かつスマホを触っていない時間も無意識に集中力を奪われている。恐ろしいことですね。

 

 

目的意識をもって行動する

 

では、どうすべきなのか。スマホを手放したくはないので、やはりうまく付き合っていくということだと思います。本書は幾つかのアドバイスを示してくれているので、私も早速日常生活に取り入れています。

 

ですが、より本質的に大事なのは、「そういうものだ」ということを理解して、目的意識をもって利用することだと思いました。これからもテクノロジーは進化を続け、シリコンバレーの巨人たちはあの手この手で私たちから時間を搾取しようとします。ですので、私たちは自分たちの時間を守るために、「無意識」を避けること、逆に言うと、常に目的意識を持って行動する力が重要になってくるのではないでしょうか。

 

私にはスマホが必要です。仕事や家族との連絡には欠かせないものです。音楽を聞いたりYouTubeを見るのにも使います。無意識にデジタルのメリーゴーラウンドに乗ってしまうのではなく、自分は今何のためにスマホを開いているのか、常に意識したいものです。

 

4. まとめ

 

私たちは無意識のうちにスマホに時間と集中力を奪われています。これは、スマホが生活の一部になっている私たちにとって非常に耳の痛い事実です。ですが、これからも搾取され続けるのか、それとも上手に付き合っていくのか、私たちは選択することができるはずです。本書は、今後も続くであろうデジタル革新からいかにメリットを享受し、いかに自分の時間を守っていくかについて、考えるきっかけを与えてくれる一冊です。是非手に取って読んでみてください。