前回ルーブル美術館にある二つの大きな絵について書いたのですが,セーヌ川を挟んでルーブルの対岸にあるオルセー美術館にもでっかい絵があります。

クールベ先生の『オルナンの埋葬』縦315cm×横668cmです。

ルーブルで一番大きい『カナの婚礼』は縦677×横999cmなので,まあ『カナの婚礼』の半分のサイズっちゃあそうなんですけど,ででーんとでっかいです。

ルーブルの『カナの婚礼』のスポンサーはヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会ですし,次に大きなジョセフィーヌへの戴冠を描いたダヴィッドのパトロンはいわずもがなです。

時の権力者の依頼でお金をじゃぶじゃぶ使って描いた絵がでかいのは,わかる。

でもクールベ先生が描いたこの二つの絵は,クールベ先生が自費で描いているんですよねー。

(絵を載せるとめんどく・・・著作権とかひっかかったらいけないので,ググってください。)

 

しかもこの『オルナンの埋葬』に描かれているのは,クールベ先生の田舎のお葬式なんです。

絵がでっかいから,ほぼ等身大でかかれています。

絵の前に立つと葬儀に参加しているような感じに見えます。

夕方なのかなぁ,天気も薄暗くて陰鬱としています。

なんで,このシーンをこんなにでっかく書くんじゃーいってかなりサロンで叩かれたみたいですね。

知らねーよ!みたいなね。

 

『カナの婚礼』はヨハネの福音書の中のお話です。

キリストが水をワインに変えたという奇跡の場面を表しています。

ありがたーい絵です。

このありがたい絵がでっかくて,文句を言う人はいませんね。

16世紀のイタリアはまだまだカトリックがイケイケだった時ですから。

宗教革命の起こっていたドイツなら「派手すぎる!」くらいは言ったかもしれませんが,お金をもっている教会や王様,大商人は「これこれ!ガツンとキター!」って感じでしょうよ。

宗教画だからこそ,大きくても怒られない。

ナポレオンは時の大権力者ですから,そこにつっこむ勇気はないよね。

こんなに大きく描いちゃって偉そうねっくらいは言われていたでしょうが。

ヨーロッパの覇者の記念すべき日ですからまぁデカくてなんぼですわ。

 

でもクールベ先生は違うんだなー。

クールベ先生の生きた19世紀は,やっとこさ「庶民の生きる姿」を絵に描いても怒られなくなってきた時代。

産業革命以降,都市は整備され,各地に鉄道が走るようになっています。

聖なる美しいものも良いけれど,土のにおいと生命力を感じる市井の絵もぐっとくるよねってなってきた時にクールベという天才が現れたわけです。

この人,マジで絵が上手。

迫力があるんですよね。

いつだったかなぁ,ノルマンディーの海岸の絵がいっぱい展示されてるなかで,「うっっ!これすごい」って思ったらクールベ先生だったんですよ。

 

ゴッホとかわかりやすいじゃないですか。

ピカソとかシャガールとかも。

彼らのスタイルがはっきりしてるから。

クールベ先生はたくさん並んだ「同じような絵」のなかで,ギュン!って出てくるんですよね。

それってすごいですよね。

レンブラントやルーベンスもそうです。

ちゃんとみんなと同じように描いているのに,違う。

すごいねー。

素人だからこそ言わせてもらいたい。

絵が上手(涙)

 

オルセー美術館に行くと,クールベ先生の二大でかい絵『オルナンの埋葬』と『画家のアトリエ』がででーんと飾ってあります。

ロビーみたいなとこにあるから,思わずその辺にいたスタッフさんに「これオリジナルですか?」って聞いてしまった。

でっかかったよー。

あんまり人が見てなかったけど。

もうちょっとカッコよく展示してもいいのではないでしょうか。

ミレーやマネもいいけども,クールベもいいぞぅ!!

でもやっぱりでかすぎかもです(笑)

 

ちなみに若いころのクールベ超ハンサムです!(キャハ☆)