「池井戸作品」に存在感=乱立する刑事ものの成否は? -民放春の連続ドラマ | 注目ニュース情報ステーション

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 中・後半に入った春の民放の連続ドラマ。恋愛ドラマが激減する一方、刑事ドラマが乱立しているのが今期の特徴で、昨年大ヒットした「半沢直樹」の原作者 による2作品の存在感が大きいようだ。折り返し点を過ぎ、佳境を迎えようとしている各作品の出来栄えについて、エンタメ記者やドラマウオッチャーが語り 合った。

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   ▽収穫は工藤阿須加
M男 今期は恋愛ドラマが1本で、前のクールと同様、刑事ドラマが多いね。全体的に悪くないけれど、風変わりな主人公が多いかな。気になる作品は? 
S美 「半沢直樹」でブレークした池井戸潤原作の2作かなあ。私は銀行が舞台の「花咲舞が黙ってない」の方が好きです。「お言葉を返すようですが」という 決めぜりふで分かるように、正義感が強いヒロインが直言するのは、主に目上の人。相手が誰でも間違いを正そうとする心意気が、見ていて爽快なんだよね。
H江 ヒロインは慌て者だし、実家での父親とのやり取りもきちんと描かれていて、「特別な人」になっていない。だから、視聴者が彼女を身近に感じられるのだと思う。
I夫 NHK朝ドラ「ごちそうさん」と同じで、「少しズボラだけど、女性らしい一面ものぞかせるキャラクター」は杏にぴったり。彼女の演技や表情からは、出し惜しみせず、できることを全部やろうという気概も感じられる。
K子 難を言えば、セットが安普請な印象を受けるところが残念かも。
M男 「ルーズヴェルト・ゲーム」の方は「会社」と「野球部」の逆転劇。二つの物語がシンクロしていて、巧みな構成が光る。出演俳優が結構かぶっているし、太陽がバンバン出てくるし、「半沢直樹」の再来って感じ。
H江 「二番煎じ」でなくて? 今回、女性の主要キャストは檀れいぐらい。男の暑苦しい世界、古くさくない? 
I夫 そうかな? 何かに情熱を注ぐ姿って、爽やかだと思うけどね。青島製作所も野球部も、追い詰められっぷりが半端じゃない分だけ、本当に逆転できれ ば、視聴者に与える感動は非常に大きなものになるはず。記録面では「半沢直樹」に及ばないとしても、記憶に残る作品になる気がする。
S美 最大の収穫は工藤阿須加を発掘できたことじゃない? イケメンだし、目力がある。俳優として、これから絶対にブレークするよ。
   ▽怖過ぎる「MOZU」
M男 今期も多い刑事・事件ものに対しては、どんな印象を持っている? 
K子 全体的に、流血や暴力の描写がエグイ気がする。一番面白いのは「BORDER」かな。「頭を撃たれて銃弾が残り、死者と対話できるようになった刑 事」という設定が秀逸。亡くなった人たちと向き合い、真実に迫ろうとする主人公を、小栗旬が抑制の効いた演技で巧みに表現している。
I夫 主人公が「超能力」を使えたり、怪しいハッカーが登場したり、とにかくミステリアスな設定で、ドラマにどんどん引き込まれていく。
S美 謎解きだけでなく、人間ドラマとしても見応えがあるよ。不慮の死を遂げたサラリーマンを宮藤官九郎が演じた回は、真相は意外だったけれど、描かれた家族愛に感動しました。
I夫 「BORDER」の裏番組は「MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~」。序盤は謎が多くてイマイチついていけなかったけれど、中盤に入って物語が本格的に動き出すと、描写のハードさが一気に増した。
M男 登場人物が殴られ、拷問され、殺されて…。本格的なハードボイルドを描こうとする作り手の心意気は感じられるものの、午後9時に放送する内容として適切だろうか? 怖過ぎるよ。
H江 刑事役の西島秀俊と真木よう子が醸し出す「色気」は魅力的だね。でも、池松壮亮が扮(ふん)する殺し屋と、吉田鋼太郎が演じた警備会社のマーシャルアーツ・アドバイザーの方がインパクトは強烈。
S美 吉田って、NHKの朝ドラ「花子とアン」で福岡の炭鉱主を演じているよね。「MOZU」とのギャップが大きくて、戸惑っちゃった。すごい演技力! 
M男 他はどう? 刑事の親子の活躍が描かれる「ビター・ブラッド」は、ドラマ全体が明るくポップな雰囲気という感じがして、刑事ものとしては異色かな。まっすぐな息子と、カッコいい父親の凸凹コンビが意外と機能しているね。
K子 父親役の渡部篤郎、おしゃれでス・テ・キ。
I夫 「TEAM~警視庁特別犯罪捜査本部」は、「策士」と呼ばれる警視庁の管理官を、連ドラ初主演の小澤征悦が熱演している。でも、作風が地味過ぎる…。
H江 あの管理官は所轄署に行っては「イヤミ全開」だけど、目的はただ一つ、事件の解決なんだよね。ドラマとしては、すっきりした展開なんじゃないかな。
S美 地味と言えば「ホワイト・ラボ 警視庁特別科学捜査班」。ひたすら地味だね。
I夫 「SMOKING GUN~決定的証拠~」は、事件の謎解き以上に、いつもミニスカート姿の西内まりやの方が気になるのは自分だけ? 
   ▽「セクスィー部長」の再来? 
M男 他の作品は?  自分は「ブラック・プレジデント」が好きだな。
K子 テーマとしては「大学に通い始めた社長と学生たちの成長物語」になるね。「ブラック企業」とうわさされたアパレル会社の社長は、学生たちとの交流を通じて変化を見せているけれど、性格にクセがあり過ぎ。だから、物語の展開が予定調和になっていないところがいい。
H江 社長役の沢村一樹、異色のキャラクターという意味で、NHKのコント番組「サラリーマンNEO」で話題になった「セクスィー部長」を思い出しちゃう。
S美 「極悪がんぼ」は、一言で「下品」なドラマだよね(笑)。その世界に、なぜか尾野真千子がハマっている。そして、三浦友和の金髪も似合い過ぎ。
I夫 お金、お金で、確かに上品な作品とは言えない。でも、登場人物はたくましく、バイタリティーがみなぎっているのも確か。好き嫌いが明確に分かれるかもね。
K子 「続・最後から二番目の恋」は今期唯一の恋愛ドラマ。評価が高かった前作の雰囲気はそのままで、イタくても人間味ある大人の物語が繰り広げられている。
M男 中井貴一と小泉今日子の掛け合いに噴き出しちゃう。小泉が演じているテレビ勤務の千明は、バブル期を知るアラフィフだけあって、言動にバブリーな雰囲気を漂わせているよね。
H江 「ああいうアラフィフになりたいな」と視聴者に思わせる魅力、あるんじゃない? ファッションやヘアスタイルに注目です。
I夫 「アリスの棘」は上野樹里の久々の主演作で、大学病院での医療事故で父親を死に追いやられたヒロインの復讐(ふくしゅう)劇。序盤ではヒロインが毎回、復讐を果たしていったので、いったい対象者は何人いるんだろうと思ったけれど、「本丸」はかなりの強敵だった。
K子 上野の影ある表情が悲しいね。でも、演技がちょっと単調な気もする。暗くて深刻なドラマは合わないのかなあ…。
M男 嵐のメンバーが主演の2作はどう? 
S美 「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」は、二宮和也が演じている青志先生の脱力しているようで、全くそうではないキャラクターが魅力的。
H江 最近のニノって、演じる役の雰囲気が似ていない?  私は燃えるような恋愛ものに出てほしい。
K子 大野智主演の「死神くん」は、死が迫った人たちのドラマから、人の心とか、生きることの意味とか、いろいろ考えさせられる。ハートフルな作品で、今期の中で「当たり」かな。
I夫 「ファースト・クラス」だけど、女性たちの「心の声」にはギョッとする…。そして、健気なヒロインを沢尻エリカがうまく演じている。
S美 最後は「なるようになるさ。」だね。シリーズ続編で、登場人物は少し入れ替わっても、「疑似家族の姿から家族のあり方を問う」というテーマに全くブレがない。作り手のこだわりに敬意を表します。


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