およそ4年前の平成30年3月にYahoo!ブログに開設し、Amebaブログに移転後も書き続けてきた当ブログだが、前回アブラハヤを採集し、細流(湧水)再現レイアウトを完成させたことで、予定していた水槽を全て作り終えたことになる。

 そこで、一年前に宣言したとおり、現在飼育中の魚の飼育が寿命を迎え水槽が空き、新たな水槽を構想できるまでの間、更新頻度を落とそうと思う。

 

 

 正直、ここでブログを終わらせることも考えたのだが、まだ作りたい水槽は沢山ある。例えば

・イワナとアマゴを中心とした源流水槽

・一部地域に移入しているという琵琶湖由来ウツセミカジカ水槽

・当ブログで扱えないかった、ウグイとニゴイを中心に遊泳魚を集めた沖合水槽

・イチモンジタナゴの青とヌマムツの赤が映える内湖再現水槽

・シロヒレタビラとビワヨシノボリの泳ぐ岩礁地帯水槽

・ナマズやギギのような肉食魚の単独飼育水槽

・琵琶湖由来の国内外来二枚貝で繁殖させるタナゴ水槽

・国内外来種の女王?アユ中心の混泳水槽 など

 

容易に実現できそうな水槽もあれば、六畳一間に置くのは厳しいような大型水槽が必要で当面難しそうな水槽もある。何度か挑戦したが、結局捕獲できていない自分にとってUMAのような魚が必要な水槽もある。

 

 実現できるかは分からない。挑戦するかさえ分からない。将来のことは分からないが、今のところブログを閉める気はない。気の向いたターゲットを採集してのんびり更新しながら、全面再開できる日まで繋いでいこうと思う。

 

 

 

 中締めに、ここまでの考察めいたものとして過去に採集した淡水魚を整理してみる。

 複数回採集した魚は初回の飼育目的での採集をカウントする。比較相手は当ブログが開設以来参考にしてきた滋賀県の調査「平成6~7年度 琵琶湖および河川の魚類等の生息状況調査報告書」。対象魚が1匹でも採集された環境は生息環境として含める。放流由来のようなイレギュラーな記録であっても排除しない。

 また、当ブログでの過去の採集魚を、水槽整備の計画(再編計画)ごとに「期」として区切ることにする。

 

第1期


 

第2期

 

第3期

 

第4期

 

第5期

 

第6期

 

 琵琶湖から遠く離れた、東北や北陸の地方都市の田園地帯のような場所で、琵琶湖由来の魚を追い求めた続けた当ブログ。こうやって整理してみると、人間の感じる琵琶湖からの地理的・心理的距離はともかく、それぞれの魚を採集した環境は、概ねその魚の琵琶湖での生息環境と近いといえそうだ。

 

 自分の力で移動してきたわけでない淡水魚にとって、放流地点の近くで、本来の生育環境に近いような場所に定住するのは当然といえば当然である。「本来は琵琶湖沿岸部に生息する固有ドジョウが流れの早い河川の中流で採れた」のような意外な経験は余りなかった。

 

 本来止水性の魚であっても、流域沿いに数十キロ離れた湖沼に移動するよりは、代替的環境として近場の流れの緩やかな水路のような場所を選択するだろう。適した環境を見つけられなければ死滅して国内外来種にはならないだけの話である。

 

 

 

 一方で、国内外来種拡散の原因が一般に言われるようなアユの放流なのか?という疑問も強く感じた。アユとは生態も形態も異なる魚が、放流のありそうな場所から遠く離れた環境で増殖しているのを見ると、他の水産有用種の放流も同様に原因となっているのではないか、漁協のような組織でなく私的な団体や個人による放流も行われているのではないか、と思ってしまうのだ。

 

 自分は素人の、しかも文系で、生物学や水産学の詳しいことは分からない。DNAに基づく移入過程調査のような手法は使えないし、行政機関や研究機関に残された記録にアクセスするようなこともできない。自分の力で疑問の答えを探すことはできないが、誰か他の人が何らかのヒントを見つけることを願い、常に情報収集のアンテナは張っておこうと思う。

 

 それが淡水魚研究者や愛好家の研究成果を参考に書き進めてきたこのブログの、いつもの姿なので。

 

 

 

 

 

 

 次回の更新は未定だが、「東北地方にオイカワを探しに行った話」のような地味なテーマで唐突に再開すると思われる。ブログ終了の意思はないことを重ねて強調しつつ、文末になるが当ブログを読んでくれた方への感謝をもって、一旦区切りとしたい。

 


 

 

 

 この記事は、新型コロナウイルスの令和4年1月からの大流行、いわゆる「第6波」の前に行った採集を記録したものである。

 

 国内外来種を集めて琵琶湖を再現したレイアウト水槽を作る当ブログ。水槽を作るためには身近なポイントだけでなく、日本全国を巡って未知のポイントからその地に生息する国内外来種を集めなければならない。

 その中で様々な困難に出会ってきたが、最大の障害ともいえるのが天候であった。

 

 遠征するには宿も交通手段も確保しなければならない。予約するなら早い方が安いし、満席になる心配もない。しかし遠征当日の天候は判らない。

 風が強いだけでも釣りは難しくなるし、採集できないような天候なら全て無駄になるので、可能な限り天気予報を待って直前に予約したい。そうすると旅費が高くなるし、最悪の場合手段を確保し損ねる。

 このブログを書いている間、毎回のようにそんなストレスと戦ってきた。

 

 当ブログには失敗した遠征は基本的に記事にしないポリシーがあり、残っているのは天候に恵まれた採集の記録ばかりだが、悪天候で採集を断念し完全な空振りに終わった遠征が何度もあった。

 そして最後の標的を狙うにあたっても、やはり天候が立ち塞がる。敵は大雨。

 

 

 

 さて、過去記事にも書いたように、今回の細流(湧水)再現レイアウト水槽で予定の水槽作りが一旦完了する当ブログ。最後となる採集のターゲットは過去に一旦採集しながら薬浴中に死んでしまった魚、アブラハヤである。

 このアブラハヤ、九州出身の自分には元々縁がなく、別の魚の採集に入った都内某水系で捕獲した程度。基本的に在来種なので採集できてもスルー。時には採集しながらウグイ幼魚との区別を忘れていた回すらあり、完全に雑魚扱いしていた魚である。

 

 そんな状態なので、基礎的な情報から集めてみると、東日本では全域で在来種と思っていたアブラハヤも所々で国内外来種として侵入したり、琵琶湖由来と思われる個体群が在来系統と混じり合いながら生き残ったりしている場所があるようだ。 

 

 

 面白いところでは23区内某河川。(現在外出自粛のため撮影できず写真は後日追加予定。)

 某淡水魚本に「水質が悪い」と書かれたような場所であっても、水質悪化で在来個体群が絶滅した後に何らかの事情で侵入したアブラハヤが定着し、国内外来種扱いされているようなポイントがある。

 この付近は以前仕事の関係で度々近くを通っており、大雨になると流れ込む生活排水の臭いに辟易としていた思い出がある。ここで魚が採れたとしてもあまり水槽に入れたくないため敬遠。本命は北国の山間部にあるポイントだった。

 

 

 

 ところが、一昨年以降のコロナ禍で外出の自粛が続く。度重なる緊急事態宣言で趣味の旅行は困難となり、宣言解除中の時期も医療体制の乏しい地方への遠征は憚られる。北国の山間部のポイントに行くのは困難となり、アブラハヤを採集できない日々が続く。

 

 そんな中、新型コロナの蔓延が一時期収まった、いわゆる第5波と第6波の間の時期が来て、地方への遠征が社会的に認められそうな雰囲気が出てくる。

 既に季節は晩秋。最低気温が氷点下となっている北国の山間部の採集は困難としても、他の候補はないだろうか、と集めた情報を整理すると、もう少し南の方にも外来系統のアブラハヤが定着しているポイントがあったことに気付く。周辺の事情を探ると、都市部に近く、小規模ながら観光産業もある。医療体制にも余裕はありそうで、旅行者に厳しい地域ではなさそうだ。

 

 目的地を変更し、この地域への遠征を決める。

 

 

 訪れるのは北日本にある某河川。ところが、冬が来る前に片付けなければと無理に計画した遠征のため天候の見極めが不十分。前日は大雨が降っているようだ。出来る事なら延期したいが、交通手段は既に手配済みで後に引けない。やむなく強行する。

 

 当日。予定の河川に来ると、川は濁っている雨の影響で水位が上がり、採集どころではない。この状況は当然予想していたので、支流に回ることにする。

 

 最初に入ったポイント。平地を流れる淀んだ流れで、雨の影響で濁っている。一般的なアブラハヤのイメージと異なる環境だが、子供の頃は冬の九州で中流域からタカハヤを見つけ出し、タカハヤ季節移動説を提唱していた自分、北国なら水温が低いからこんな環境でもアブラハヤが採れるのではないか?と妄想し、ガサガサは難しい環境なので竿を出してみる。

 結果は何も釣れず。流石にアブラハヤを簡単に釣れる魚と舐め過ぎていたと反省する。

 

 その後川を遡るが、川岸はコンクリート護岸でなかなか降りられるような場所がない。あっても大雨の翌日で濁った水が渦巻いており、網はもちろん竿も出せない。時間を無駄にする。

 

 時には護岸の上から長い竿で無理矢理狙ってみるが、当然釣れず。

 

 結局ポイント探しに長い時間を要し、見つけたのがこの場所。何とか川岸に降りられる場所で、水深も浅い。流れは速く濁った水が怖いが、何とか川の中に入れそうだ。恐る恐る入り、アシの陰を狙って網を入れる。

 

 趣味で増水した川に入り溺れて死ぬのは嫌なのでビビりながら網を入れていると、それらしき魚が入る。

 

 自分はアブラハヤを見慣れていないが、画像を見比べていると産地により形体に変異があるように感じる。雪解け水の流れ込む山奥のダム湖直下で採ったは引き締まって筋肉質だし、都内の上流に近い中流域で取ったは同じように細くても明らかに筋肉が少なく感じる。里山的環境のここで採れた魚は太く、締まりなく感じるが、これも変異の範囲なのだろう。全体的な特徴はアブラハヤのようだ。

 

 川の流れに足を取られながら、稚魚サイズのアブラハヤをなんとか3匹追加。これ以上のリスクは負いたくないのでここで網をしまう。北国に来たのでカジカ科やサケ科のような見慣れない魚に出会えるのを期待していたが、短時間の採集となり他の魚は何も採集できなかった。大雨が憎い。

 

 帰り道、ポイントを探す時間に比べ、魚があっさり採れたことを考えて苦笑いするが、元々個体数が多そうなポイントを狙って川に入っているので狙い通りといえば狙い通りだし、過去にシロヒレタビラやヤリタナゴを狙ったときも経験したパターン。

 元々琵琶湖周辺では普通だったが環境悪化で減ってしまった魚が、日本のどこかで新天地を見つけて大繁殖し、遠征した自分があっさり捕獲したのであれば、これこそ国内外来種問題を象徴する採集に違いない、と考えるに至り納得する。

 

 

 

 帰宅し薬浴を終えた魚を、前回作成した細流(湧水)再現レイアウトに移す。

 

 収容するのはアブラハヤ、アブラボテ、旧トウヨシノボリ類、カワニナ。余りにも地味な水槽になることが想像できるので、沿岸部再現レイアウト4から婚姻色の出たオイカワを移籍させてみる。結果、大きく派手なオイカワが地味な水槽の中で浮いてしまい強い違和感を覚える。 

 

 オイカワを除いた水槽。地味だがまとまっていて、何より季節外れの婚姻色オイカワを除いたことで自分の目指してきたリアル重視の水槽らしい雰囲気を出している。井の頭自然文化園の水生生物園で観た水槽にもマニアックでシンプルな水槽が沢山あったことを思い出し、この水槽こそ自分が求めているものと思い直す。

 

 

 

 こうして、計画していた水槽は全て作り終えたことになる。次回はこれまでの採集の整理を記事にする予定。

 

 小学校時代の妄想に、「クラスの「生き物係」として、教室の水槽で理想の水槽を作る」というものがあった。

 授業で使ったメダカと混泳できる生き物を調べ、「タナゴやドジョウ、淡水エビを加えたい」、「底砂は、照明は、フィルターは何を使おうか?」そんなことを考えていたのだが、丁度その頃に観た休日夕方のニュース番組は未だに忘れられない。

 

 観光客で賑わう行楽地の中継で映し出された、渓流で川遊びを楽しむ家族連れの中の少女は、クラスの女子に瓜二つだった。

 

 

 少女の足元には捕まえた生物が収まった容器。「何が採れたのかな?」とお決まりの質問を投げかける女性レポーター。少女は少しハニカむと、はっきりした声で答える。

「サワガニとカワニナ」と。

 

 「サワガニとカワニナ」「さわがにとかわにな」「沢蟹と川蜷」・・・

 

 美少女から飛び出した想定外に生物学的な一言は、子供らしい回答を予想して油断しきっていたプロのレポーターを慌てさせるには十分の威力であり、レポーターは「す、すごいね」と間の抜けた返事をするのがやっと、ブラウン管の向こうで観ている茶の間にも圧倒されたような微妙な空気が漂ったのであった。

 

 

 その後結局クラスの女子がカワニナ少女と同一人物かを確認する機会は無かったが、この時の強烈な印象から、当時の妄想には「自分が教室に苦心の末作り上げた完璧な水槽に、カワニナ少女がハニカみながらやってきてカワニナを入れる」という微妙なオチが追加されたのであった。(当時自分は学校の側溝で採れるモノアラガイを寵愛しており、それまでコミュニティタンクにカワニナを入れる構想はなかった。) 

 

 

 

 

 

 さて、前置きが長くなってしまったが、今回は以前策定した計画に従って「琵琶湖周辺の湧水の細流を再現した水槽」を作成しようと思う。

 

 誰も気付いていないと思うが、実はこのブログでは琵琶湖の各水景を再現するのに、「天然石」、「発泡スチロール製擬岩」「一面の水草「発泡スチロールにシリコンで砂を接着した擬岸」といった毎回違う手法を使うことを裏ルールとしている。従って今回も新しい表現方法を考えなければならない。

 そこで思い出したのが、小学生当時に妄想していた「理想の水槽」であった。

 

 この水槽、魚や設備はもちろんのこと、構造にも工夫を凝らしていた。当時は材料が手に入らず断念したものの、現代の発達した通信販売網と大人の財力なら実現は問題ない。どうやら(すっかり忘れていた)二十数年前の悲願を達成する時が来たようだ。

 

 

 

 小学生当時は穴の空いたアクリル板(パンチングボード)を使うことを妄想していたが、今回使うのはこのタンクセパレーター。

 

 濾過は底面濾過。小学生の頃は循環方法に外部式フィルターを妄想していたが、個体数が少ない見通しなので今回は水中モーターで十分と判断。少々妥協する。

 ここにポンプを囲むようにタンクセパレーターを設置する。

 再現するのは湧水池でなく、あくまで湧水由来の細流なので、底砂は細かい砂でなく粗いものを使用する。

 

 ここに先日採集した琵琶湖由来と思われるササバモとクロモを配置する。

 

 完成した水槽。

 循環装置は水槽を楽しむ邪魔にならないようにプラスチックの内壁の向こうに配置され、細かく穿たれた穴から流れ出した水が緩やかな流れを作っている。壁の向こうの濾過装置から水が流れ出す水族館の水槽に似た構造だ。

 

 もともとこの水槽、小学生のころ愛読していた飼育書の「底面フィルターと外部式フィルターを接続すると最強の濾過能力が得られる」との記述と、「外部式フィルターは水流が強い」という情報、そして教室の水槽で備え付けの上部式フィルターの水流に苦しみ、最後は力尽きて吸水口に張り付いて死んでいったメダカ達の苦い思い出から、最強の濾過能力の確保と弱水流の両立を実現するため、細かい穴で水流を分けることを思いついたものであった。

 

 たなびくササバモにタンクセパレーターの穴から流れ出す優しい水流を感じながら、長年の構想(大半の期間は忘れていたが)の実現に満足する。

 

 

 カワニナ少女を思い出しながら、パイロットフィッシュ代わりに水草と一緒に採集した琵琶湖由来疑いのカワニナを投入。受入体制を万全に整えてから、水槽に魚を揃えるため今期最後の採集に向かうこととする。

 

 ターゲットは一度失敗した魚、アブラハヤだ。

 
 

 

 国内外来種を集めて琵琶湖の各環境を再現しようとする当ブログも開始から約4年。書き続ける中で、各季節に応じたターゲットの採集方法は身についてきたが、勝手が違うのは冬季の水草採集である。

 魚であれば生息地を探し出せば採れるかは運次第で勝負が出来るのだが、水草は越冬形態にあるか地下に潜っているか、シベリアから渡ってきた水鳥の胃袋に収まっているか様々な事情で、草自体が姿を消していて採集できないのだ。

 

 普段の日淡飼育であれば湧水河川や温暖な地域の河川の水草を狙ったり、構わず生えている強健な種を探せば冬の水槽に緑のジャングルを作るのは容易なのだが、国内外来種に拘る当ブログでは様々な制約があって、冬場の選択肢は限られる。よって採集は困難を極める。

 

 何が言いたいかというと、コロナ自粛を経てようやく可能となった晩秋の遠征で、自分の水槽では脇役の水草を、魚より優先して確保する必要がある、ということだ。

 

 

 

 

 さて、琵琶湖周辺の湧水が湧く細流の再現を目指して先月から少しずつ遠征を再開している当ブログ、今回のターゲットは前述の事情から水草である。

 時期は11月初旬。地方への遠征はまだまだ心理的に抵抗があった時期だけに、結果的に都市部で狙える水草がターゲットで好都合である。

 

 向かうのはこのブログでは恒例の、琵琶湖から県境を越えて流れ出す某水路。

 この水路は元々運河として作られたもので、琵琶湖から取られた水は県境を越えて明治時代に掘られた流路をたどったり自然の小河川に接続したり様々に分岐しながら、最後は河川に流れ込んでいる。

流れ込む先も琵琶湖と同じ水系の河川であるから、ここで採れた水草は厳密には「琵琶湖から人工水路を通じて流れ出した国内外来系統の水草」とは言えないのだが、水草も拘りたい当ブログでは国内外来種に準じるものとして例外的に水槽に加えている。

 

 ここに水草を採りに来る記事は4回目。1回目2回目は水路が接続する小河川の水草を採り、3回目は山沿いに分流した水路の水草を狙ったが、今回は範囲をずっと広げ、市街地を流れた水路が河川に流れ込む最下流の地域に足を延ばすことにする。

 

 

 

 まずは市街地に寄り道。

 

 

 今回の目的地で水草が確保できない場合を想定し、保険としてササバモを採集しておく。場所はよく判っているので、何の支障もなく手に入れる。

 

 いつもの様にネジレモも生えているが、ここは人通りの多い場所なのでなかなか採集できるタイミングがない。既に家にある水草なので無理をせず採集は見送る。

 

 

 

 次いで、今回の目的地に移動する。

 

 このポイントは前述のとおり、市街地を延々と流れてきた水路と河川が接続する場所である。

 水草は水路を流れてきたもの以外に何らかの事情(例えば水鳥の足に絡まった)で河川から分布を広げたものが多いように感じるが、情報を総合するとここで見られる水草の種類は水路より多く、また琵琶湖と共通する多くの種類の水草が一か所で見られるこのような場所は接続する河川にもないという。

 

 もしや琵琶湖から流れ出した水草が市街地の水路では生育できず、河川まで流れ着いても環境が合わず、水路のこの場所だけ奇跡的に生存条件が整っていて繁茂している、いわばプチ琵琶湖と呼べる環境ではないか・・・そんな妄想が捗るポイントである。

 

 現地に到着。ざっと見渡すが水草は見えない。

 水は濁り、水深は少なくとも1メートル以上。水底まで見渡せず、水草の生育に最適の環境とは思えない。それでも、この水路を走る観光船の運航のため管理の一環として時々水草を刈っているというから、時期が合えば水草の繁茂が見られるのだろう。今回はタイミングが悪かったようだ。

 

 諦めずに歩くと、所々水草が生えたり流れたりしている。これはエビモだろうか?

 

 更に歩くと、クロモがまとめて流れ着いているのを発見。これは琵琶湖に多く生え、この水路ではこれまで見たことのない水草。ここが奇跡的にプチ琵琶湖であるという自分の妄想が加速する貴重な存在として確保する。

 

 

 ところが、この後は上手く行かない。

 元々懸念していたように冬に近づくにつれ水草は減る。もしかすると最近人の手が入って水草を刈り取った可能性もある。様々な原因が頭に浮かぶが、それ以上にここは観光地に近く人通りの多い場所なので、水草探しに集中できない。

 更にここは観光船の運航の際に立つ波の影響で岸のコンクリートが常に濡れており大変滑りやすい。うっかり転落すれば洒落にならない。腰が引けたところに追い打ちで水質も余り良くないことに気付き、一気にモチベーションが下がる。

 

 

 

 もともとこの「細流(湧水)再現レイアウト水槽」は、アブラボテの生態に関する情報を集める中で「琵琶湖周辺では湧水の細流に生息する」 「セキショウモの生える湧水の水路でアブラハヤと混泳していた」等の資料を目にしたことがきっかけで構想した水槽であった。

 

 そしてこのポイントは琵琶湖由来のセキショウモを探す中で、外見がセキショウモに似たコウガイモが生えていると聞き、何とか草体が残っているのに懸けて訪れたのであったが、底まで見通せない深く濁った水を見ると、今日ここで草丈の低いコウガイモを見つけるのは困難だと思うに至る。

 

 それに採集済みのクロモも琵琶湖に多産する水草で湧水河川にも生え、このブログで取り扱ったことのない水草だ。これを水槽の真ん中に据えるのも悪くない。

 

 悩んだ末にコウガイモの採集は断念し、クロモだけを持ち帰ることにする。

 

 

 次回は採集したササバモとクロモで、琵琶湖周辺の湧水由来の細流を再現する。

 

 

 ヨシノボリという魚にどんなイメージを持っているだろうか?

  個体数が多く、子供でも容易に採集できる魚とのイメージを持つ人も多いだろうが、自分が子供の頃通っていた川では個体数が少なく滅多に採れない魚であった。これは自分のイメージだけでなく、調査に入った研究者も「この川の特徴」として挙げていたことだから間違いない。

 

 そんな中でも、上流の淀みでタカハヤに混ざって採れる大型で鮮やかなヨシノボリと中流の抱卵した雌の腹が青いヨシノボリ、それに汽水域でテナガエビやマハゼウロハゼと石の下に潜んでいる黒味がかったヨシノボリに違いがあることは感覚的に分かっていたが、それぞれのヨシノボリが何者なのか、当時の子供の手に入る情報量では結局突き止められなかったし、特にその必要も感じなかった。

 20世紀末の当時、学名の付くレベルで区別されていたヨシノボリは少なく、専門家でもない子供にとって「ヨシノボリ」は「ヨシノボリ」と認識すれば十分だったのである。

 

 

 

 さて、新型コロナウイルス蔓延に伴う都県間移動自粛要請の影響で昨年末から採集を止めていた当ブログだが、9月一杯で自粛要請が解除されたことから、久しぶりに魚採りに出かけることにした。そうはいっても規制緩和は段階的に行われており、感染再拡大も懸念されていることから油断は禁物。いきなり地方への遠征は避け、関東でも採集できる魚を狙うこととした。

 

 アユに混ざり放流され広まっているという、外来系統の旧トウヨシノボリ類である。

 

 

 ご存じのようにこの旧トウヨシノボリ類はとにかく分類の困難な魚として知られている。その理由は日本に生息する旧トウヨシノボリ類、すなわちこれまでトウヨシノボリと呼ばれてきた魚の全体像が判っておらず、どれが別種(亜種)に分かれるのか、別れるとしたらどのような区分なのか結論が出ていないことである。(と自分は認識している。)

 

 加えてアユや他の水産有用種の移植に各地の旧トウヨシノボリ類が混ざって日本中で分布の混乱が生じており、更に特徴から別種として扱うことが提唱されている魚であっても容易に交雑するらしいことが、事態を一層ヤヤコシクしている。

 したがって、自分が採った旧トウヨシノボリ類が在来なのか外来なのか、純系なのか外来系統との交雑なのか、外来だとしたら琵琶湖由来なのか、素人は厳密には判断できないことになる。

 

 

 

 とはいえ、琵琶湖由来の国内外来種問題を語るには旧トウヨシノボリ類は欠かせない魚。失敗に終わったが、過去には従来トウヨシノボリが見つかっていないポイントで近年になって採集され始めた旧トウヨシノボリ類を外来系統のトウヨシノボリとして捕獲を試みたことがあった。

 

 再開記念となった今回は一歩踏み込んで、当地で在来系統とされている旧トウヨシノボリ類とは異なり琵琶湖に生息するトウヨシノボリと同じ特徴を持った魚を、外来系統疑いの旧トウヨシノボリ類と位置付けて探すことにした。

 具体的には、在来系統の雄の第一背鰭は伸長しないとされる関東平野で見つかる、背鰭が伸長した旧トウヨシノボリ類である。

 

 

 

 関東近辺で雄の第一背鰭が伸長する旧トウヨシノボリ類が採れる場所の情報は多いが、今回向かったのはこのポイント。自治体の調査によるとここで採れる旧トウヨシノボリ類は全て第一背鰭が伸長するタイプ、という格好のポイントである。

 

 この川、洪水対策なのか直線的で2面張りの護岸の場所が多く、魚が隠れられそうな場所は少ない。ようやく見つけたアシの陰に、11カ月ぶりのタモ網を構える。

 

 一発目。ヌマエビ類に混ざって早速それらしい魚が網に収まる。ビワヒガイを掬って以来11カ月ぶりのタモ網で見事一発合格の回答。さほど困難なターゲットではないが、素直に嬉しい。

 

 

 この後も石の下やアシの陰でそれらしい魚が続々と網に入る。幼魚サイズばかりで橙色の鮮やかな成魚は見当たらないが、個体数は多いようだ。

 

 採れたヨシノボリ類を10匹ほどキープし、観察ケースに入れて図鑑を見ながら旧トウヨシノボリ類と思しき魚を整理する。外見の似たカワヨシノボリは生息しないポイントらしいので区別は目測程度で済まし、なかなか鰭を開かない魚に苦戦しつつ、第一背鰭が伸びたオスらしき2匹と、飼育中にオスの婚姻色を引き出すためメスらしき1匹を持ち帰ることにした。

 

 

 

 

 このポイントで採集できたのは他にカダヤシ、モツゴ、アブラハヤ、スジエビ、テナガエビ類、ヌマエビ類など。カマツカ、オイカワやアユのような魚も生息していると思われるが、捕獲どころか姿すら確認できなかった。

 

 

 

  持ち帰った魚。細流(湧水)再現レイアウト水槽を立ち上げたら投入することとし、現在はタナゴ用二枚貝水槽(サテライトL)等に分けて収容している。

 落ち着いたら第一背鰭を伸ばしたオスの写真を撮ろうと思っていたのだが、ここでアクシデント発生。薬浴中にオス2匹が争って鰭がボロボロになり、とても写真を撮れる状態ではなくなってしまったのだ。

 ヨシノボリといえば争う魚として有名だが、自分はヨシノボリ飼育歴が浅く、特にトウヨシノボリ類を飼うのは初めてなので、これまで飼ってきた大人しいシマヨシノボリやカワヨシノボリの感覚でつい狭い場所に同居させてしまった。

 

 写真は体色の薄いメスと思われる魚。メスはオスほど種の特徴が現われないというが、この魚も第一背鰭の後部が伸長しているように見えるし、背鰭の伸長しないタイプの旧トウヨシノボリ類の範疇にも見える。数を見ていれば感覚的に判る部分もあるのだろうが、残念ながら今の自分にはよく分からない。

 今後飼育していく中で何かの理解に至ることを期待したい。

 

 新型コロナウイルス蔓延による都県間移動自粛要請の影響で、ネタ切れとなって2回目の更新である。

 

 魚採りの外出は不要不急と断言する気はないが、自分の場合はブログのテーマ上どうしても遠征が中心となる。縁も所縁も無い土地で魚を採ることは知らずに地域のルールや慣習を侵してトラブルとなる危険と隣り合わせなのに、これ以上揉め事に発展する要素を抱えたくない、そんな思いが強く、自粛が求められた昨年12月以降は一切の遠征を中止している。

 遠征先の地方の方からすれば、見慣れない大人が片田舎の川(しばしば漁業権のある)で小魚を採っているだけでも胡散臭いのに、コロナ大流行の中で自粛を無視して東京から来たと判れば更に怪しまれ、トラブルに発展する確率が数段高まるだろう・・・そんなことを考えてしまうのだ。

 

 

 さて、次の採集までの繋ぎとして、前回に引き続き過去に訪れた展示施設について書きたい。今回は都立井の頭文化園内の水生物園。

希少種を見るため、タナゴの婚姻色を見るため、レイアウトを研究するためと、過去に何度も訪れている施設である。

 

 

 

入り口付近のヤマセミとカイツブリの水槽は、鳥が水槽に放たれたモツゴを自由に食べられる構造。なかなか味がある水槽だが、今回は程々にして魚の水槽に向かう。

 

正面向かって右手には上流で見られる魚から順に収容した大型水槽が並んでいる。

ニッコウイワナとヤマメの水槽

 

オイカワ、アユ、ボウズハゼの水槽。現代の東京の川にもボウズハゼは生息しているのだろうか?
 

 

カワムツ、ニゴイ、ムギツク、カマツカ、オヤニラミの水槽。国内外来種多め。

 

 

ギンブナとアブラハヤの水槽。昔の井の頭池をイメージした水槽とのこと。

 

ウキゴリ、タモロコ、モツゴ、キンブナ、ギンブナの水槽。

 

 

 

 レイアウトは魅力的で魚も健康。在来魚も外来魚も含め現在の東京で見られる魚の生態がつぶさに観察できる。

 何時間でも見ていられる水槽であるが、施設は古く通路が狭い。大きな水槽を写真に収めようにも思うように撮影場所を確保できず、魅力をフルで伝えられる写真を撮れないのが残念である。

 

 

 

 ここからは後半戦。これまで見てきた大型水槽の反対側に回ると、関東在来種を魚種ごとに収めた水槽になる。(一部例外あり。)
 

 

ミヤコタナゴの水槽

 

ミナミメダカの水槽

 

ドジョウの水槽

 

イトヨとホトケドジョウの水槽

 

 

ムサシトミヨの水槽

 

 他にタナゴ(マタナゴ)、カジカ、シナイモツゴ、ツチフキ、各種水生昆虫など。

 

 

 

 

 

 この時の訪問の目的はレイアウトの研究だったので、擬岩の形状や見栄えのいいアシ原の作り方、砂や泥が堆積した岸辺の表現方法を勉強しながら、自分の手に入る材料で作る方法を妄想していく。

 この成果は琵琶湖流入河川(中流)再現レイアウト琵琶湖流入河川(下流)再現レイアウトの川岸の表現で特に活きた。

 

 

 

 

 この井の頭文化園水生物園、熱帯魚雑誌や淡水魚飼育専門書で度々紹介されている割に、知名度は低く地味な印象がある。

 しかし、日本産淡水魚と水草の共存の限界に挑むような美しいレイアウト、誰もが飼ったことのあるような普通種が野生本来の姿を見せている大水槽、関東在来の絶滅危惧種の展示などは、いずれも日本産淡水魚ファンなら一見の、いや何度も通うだけの価値がある。

 

 最寄りの吉祥寺駅まで東京駅から30分、渋谷や新宿なら15分程度、そこから徒歩約10分の立地の良さもあり、東京に来た淡水魚ファンにはお勧めしたい施設である。

 

 

 

 新型コロナウィルス蔓延に伴う都県間移動自粛要請の影響で全く採集に出られず、更新頻度を落としながら続けてきた当ブログも遂にネタ切れを迎えた。状況が状況なので更新を休止することも考えたが、足止めをポジティブに捉えて当面は記事にしていない過去の出来事を取り上げていこうと思う。

 初回は過去に訪れた展示施設から。

 

 

 「琵琶湖に行かず琵琶湖レイアウトを作る」をテーマに書いてきた当ブログだが、琵琶湖といえば西日本の大都市京都・大阪のすぐ傍で、また近畿と中部・北陸を結ぶ交通の要衝。ブログを書き始めてからも仕事や帰省で琵琶湖の近くを通る機会は多かった。

 

 降りると「琵琶湖に行かない」ルールを忘れて魚を探したくなるので、普段は湖を遠目で見るだけで我慢しているのだが、ある時たまたま琵琶湖の東側の米原駅で長い時間乗り換えを待つことがあった。そこで何処か時間を潰せる場所を探していると、近くの長浜駅に隣接するビルで、琵琶湖水系の魚が展示されているとの情報が目に付いた。

 

 生物が好きな人なら大抵同じだろうが、自分はこの種の施設が大好物。入場は無料とのことなので、遠慮なく訪問することにした。

 

 

 

 

 施設に入ると、台の上に多くの小型水槽が並べられている。(来場者で賑わっていたので全体写真の撮影は遠慮。)一部の大型水槽を除けば、基本的には小型水槽で種類ごとに展示しているようだ。

 

アマゴとイワナ

 

ゲンゴロウブナとギンブナ

 

ヤリタナゴなど中型コイ科

 

カワバタモロコ

 

ホンモロコ

 

カネヒラ

 

ビワヒガイ

 

 

ギギ

 

 

ひかるちゃん(イワトコナマズ)

 

他にミナミメダカ、ズナガニゴイ、ヌマチチブ、ウキゴリ、マナマズなど。

 

 感想は「期待以上」。

 水族館のような特大の水槽や熱帯魚ショップのように芸術的なレイアウト水槽が置かれている訳ではない。自然愛好家目線ではカワバタモロコやイワトコナマズのように「お!」と覗き込んでしまう展示があっても、一般の人に受けそうな分かりやすい珍種や目を引く美麗な魚がいるわけでもない。

 

 それでも、各地の類似の施設と比べてこの「えきまちテラス長浜 小さな水族館」は格段素晴らしく感じた。魚の状態が良いし、何より水槽の掃除が行き届いている。コケや枯れた水草の葉、フンや食べ残しといった水槽に付き物の汚れが全く目立たないのだ。自宅のコケだらけの水槽を「管理にも限界がある。汚れは当然」と放置している自分は敗北感でしばらく頭を抱えてしまった。

 

 これだけの数の水槽を奇麗に管理するための手間、水族館やペットショップではない普通の建物に水槽を置く苦労・・・地元で採れる魚をここまで見事な水槽で飼育している方々は、きっと淡水魚や地域の自然に強い愛情をお持ちなのだろう、自然愛好家の端くれとして自分も感じるところあった。

 

 そういえば自分も昆虫少年だった子供の頃に、街の科学館で地域の魚を展示した90センチ水槽を見て魚の飼育に目覚めた過去がある。雑な飼育でオイカワ、タナゴやカマツカは早々に死に絶え、カワムツとギンブナだけが泳いでた水槽でも一人の愛好家を目覚めさせる力があったのだから、この魅力的な施設に来れば沢山の子供が淡水魚の素晴らしさに気付くのではなかろうか・・・

そんなことを考えながら、幸せな乗り換え待ち時間を過ごすことができた。

 

 

 この記事はコロナによる何度目かの都外移動自粛要請前に行った採集を記録したものである。

 

 「採集記録はあるが採りにくい魚」として前回は沖合の水底に住むゼゼラを挙げたが、今回の主役のビワヒガイも別の意味で採集が難しい魚であった。

 この魚、本州東半分の全ての都県で記録があるし、西日本の複数の県でも採集されている魚だが、多くの調査では1匹、採れても数匹しか記録されていない。

元々個体数が少ないのか、採集されにくいのか、そもそも何かに混ざって単発的に放流されているだけで繁殖・定着していないのか分からないが、狙う側にとっては、どの水系でも採れる可能性がありながら、どの川でも殆ど出会えない・・・そんな厄介な魚なのだ。(国内外来種なので採れないのは喜ばしいことであるが。)

 

 もちろん丹念に探せばビワヒガイが多産するポイントの情報はあるし、国内外来種ビワヒガイを採集してブログやSNSに載せている人もいる。自分も過去に一つのポイントで5匹のビワヒガイを捕獲したこともある。それでも、ブログに載せるためこの魚を捕獲するのには長い時間を要した。

 

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 さて、前回に引き続き、有給休暇を強制消化するため急遽実施した遠征について書きたい。

 

 この日は昼まで別の用事を消化。昼過ぎからの採集となった。ポイントの当てはないので駅でレンタサイクルを借りて広範囲に探る。

 

 途中、升に溜まっている魚を捕獲。一瞬なぜここにカゼトゲタナゴ?と思ったが、青の縦帯が始まる位置が後寄り。よく見たら普通のバラタナゴ。

 

 更に進むと、底に砂の溜まった3面張りの水路を発見。大規模水域からはやや離れた何の変哲もない水路だが、やや水深があるためか水門付近に魚が溜まっているのが見える。特に当てもないので覗いてみると、細長く横に太い魚が群れているのが目に入る。細長く横に太い魚・・・もしやビワヒガイかと網を入れる。

 

 障害物の陰に追い詰めると採れたのはよく太ったモツゴであった。

 何となくビワヒガイが採れる気がしてこのポイントに拘ったが、結局採れたのはモツゴ、バラタナゴとフナ類だけ。完全に時間を無駄にしてしまう。

 

 陸に上がり、自転車で再度ポイントを探すが、土地勘のない地域で適当な場所は見つからない。時刻は既に夕方。残り時間と効率を考え、結局先ほどの3面張り水路に戻ることにする。

 

 先ほどのポイントより少し下流に入る。砂が細かく、オオカナダモが残っていて雰囲気は良い。

 採れたのはモツゴ、オイカワとヤリタナゴ。写真を撮らなかったが他にフナ類、カマツカ類など。

 

 「このポイントに棲む魚は一通り見たのでは?今日もビワヒガイは採れなかった。諦めてこの辺で帰ろうか・・・」と、そろそろ諦めモードになって気持ちに余裕が出て、余興でヤゴかスッポンか何か面白い物でも獲れないかと足元の何もない砂地を掬ってみる。

 

 

 網を上げると冗談かと思うような展開が待っていた。頭が小さく見慣れない、過去に一度だけ在来分布地で採ったことのある魚が網の中に入っていたのだ。

 

 念願の国内外来種ゼゼラだった。

 

 前回記事のターゲット、何とか採集しようと何年も情報収集を繰り返し、生息するポイントを絞るため何十時間も悩んだ魚は、想定外のポイントで全くの偶然から網に収まったのだった。

 これまでの苦労を考えると複雑だが、運も実力のうち。そもそも何も生物の気配のない砂地を探る発想があったからこそ採れた魚、これも実力で採った魚と考えて無理矢理納得する。これだから採集は面白い。

 

 

 

 これでモチベーションが一気に上がり、今日まとめて一気にビワヒガイも捕獲してしまおうと網を振り回す。マナマズ、フナ類(ギンブナ?)ゲンゴロウブナ(?)等、先程まで採れなかった大型の魚が次々網に入るが、時刻は日没間近。写真を撮る時間を惜しんで全力で網を振るう。

 

 そろそろ諦めようかと思った頃、足に固いものが当たる。周辺の斜面から落ちてきたのか水底に石が溜まっているようだ。ヒガイといえば障害物を好む魚。「これは捕獲のフラグが立った」と、疲労とゼゼラ捕獲の興奮からハイになっていた自分のテンションはここに来て最高潮に達する。

 

 そして遂に、待望の瞬間が訪れる。

 

 石の陰を掬うとフナ類と一緒に網に入ってきた独特の体色の魚。見た瞬間に正体を確信し、一気に安堵、脱力する。

 

 「琵琶湖固有種を採りたい」として名前を挙げてから2年と数か月、「混泳が難しいから」と毎回の水槽再編計画に含めずも、生息情報のあるポイントに行くたびに密かに狙い続けた魚、ビワヒガイだった。それが遂に網に収まったのだ。

 日本中で珍種を追い続けてきた当ブログだが、比較的ポピュラーな種とはいえ苦労して捕獲したビワヒガイには他のどの魚にも負けない強い達成感を覚える。

 

 日の入りも近いのでここで今日はここで網を仕舞う。ゼゼラとビワヒガイ。採集に苦労し、どちらか片方でも採れれば大成果と思っていた魚のダブル捕獲。満足感から見上げた遠征先の空は奇麗だった。

 

 

 

 

 

 持ち帰ったゼゼラとビワヒガイを、個別飼育の前に沿岸部再現レイアウト4(ヨシ原)に収めて写真撮影。砂地を這いまわるゼゼラ、アシや石の陰を好むビワヒガイ、鮮やかなカネヒラ、渋い普通種、幾多の特徴的な琵琶湖固有種・・・このブログを書き始めてから約3年。ようやく納得のいく水槽が出来た、そんな達成感に包まれた。

 

 苦労して捕獲したビワヒガイとゼゼラ。写真を撮った後はトラブルが発生する前に速やかに個別飼育に移行した。

 

 

 この記事はコロナによる何度目かの都外移動自粛要請前に行った採集を記録したものである。

 

 

 移入産地という限定された条件で魚を探していると、「採集記録がある」と「自分が採集できる」は必ずしも一致しないと痛感することが多々ある。

 

 一番多いパターンは生態面で捕獲困難なもの。例えば琵琶湖の沖合を主な生息地とする魚が移入産地でも大規模水域を基本的な住みかとし、周辺の水路や小河川には滅多に出ていかない生態を維持している場合、特別な権利や漁具を持つ研究者や漁師でない素人にはなかなか手を出せない。ビワマスがそうだし、今後仮にどこかのダム湖から国内外来種となったアブラヒガイやイワトコナマズが発見されたとしても自分にはまず採集不可能だろう。

 

 そこまでの珍種でなくとも頭を抱えるのがゼゼラ。琵琶湖での採集記録を見る限り秋冬は水深のある沖合で過ごす魚のようだが、既知の移入産地はいずれも湖沼か大河川で沖合の採集は不可能。そうなると産卵期に沿岸部や流入河川に出てきたところを狙うほかないが、大規模水域でそんな場所が簡単に見つかる訳もなく、更に不都合なことに特殊な食性を持つ魚なので、同様に産卵期がチャンスのホンモロコのように釣れば何とかなる訳ではない。

 結局国内外来種ゼゼラを捕獲するには、確実に生息するが手を出せない沖合を横目で見ながらタモ網を握って水路を巡り、運と知識と閃きのフル活用で僅かなチャンスに懸ける、という圧倒的不利な戦いをここまで強いられている。

 

 

 

 

 

 ある日、自分が職場の要注意社員リストに載っていることを知った。

 理由は成績不振や素行不良ではない。最近の法改正で取得が義務付けられたという年間5日の有給休暇を殆ど取得していなかったのだ。  

 自分は特に仕事人間でもないが、この一年はコロナ蔓延による外出自粛のために遠征にも出かけられず、帰省もできず、幸い怪我も病気もしなかったので、有給を取る機会が無いままほぼ消費せずに年の終わりを迎えていたのである。

 

 特に休むつもりは無かったのだが、有給休暇の取得は絶対との上司(と総務)の厳命、時は都道府県外の移動自粛が出る前。これは貴重なチャンスとばかりに、急遽狙いの魚を採りに遠征に出ることにした。

 狙いはビワヒガイとゼゼラ。混泳が基本の当ブログにとって混泳困難で有名な両種は優先順位の低い魚であったが、先日同じく混泳困難種のアブラボテを狙った際に「混泳失敗の場合は単独飼育に切り替える」と覚悟を決めたことで単独飼育を事実上解禁。これを受けて内心ずっと捕獲したいと思っていたビワヒガイとゼゼラを単独飼育前提で真面目に狙いに行くことにしたのだ。

 

 

 

 到着したのは以前から狙っていたポイント。ビワヒガイやゼゼラの採集記録のある地域にある水路で、繁茂しているミクリが湧水由来の水路であることを示している。夏は平野部の水路で繁殖し冬は水温の安定する下流や湖沼の深いところで冬眠するような生態の魚も、湧水の影響で比較的水温が高いこのポイントには居残って越冬しているのではないか・・・そう推測したのだ。

 

 網を入れると採集できるのは国内外来種タモロコ。

 

 大きなアメリカザリガニも多数入った。これらは処分。

 

 ドジョウ類も入る。種類は特定せずリリース。

 

 オイカワも入ったが2匹だけ。

 

 そして在来種のヤリタナゴ。魅力的な魚だが、国内外来種を集めて琵琶湖レイアウト水槽を作ることがテーマの当ブログではリリース。他にヨシノボリ類など。

 

 

 ここで3時間粘るものの、良い感じの水路に見えながら狙いの魚は全く網に入らない。それに採れる魚が流水を好む魚ばかりで、ビワヒガイやゼゼラと生息域が重複していそうな平野部の緩やかな流れを好む魚が含まれないことに気づく。少々上流に来すぎていたのかと下流に移動すると、落差の大きな堰を発見し凍り付く。

 

 何のことはない。自分が入っていたのは湧きだした湧水を集めた水路で、堰で分断されて下流とは魚の行き来が無かったのだ。生息するのは奇麗な水を好むような在来魚と何らかの方法で分布に至ったタモロコで、アユやヘラブナの放流に混ざって移入しこの地域の下流の平野部に生息しているというビワヒガイやゼゼラのような魚はそもそも生息していない(可能性が高い)水路だったのだ。
 時間を無駄にしたことに焦りつつ、下流に移動する。

 

 

 

 次のポイントは下調べで漁業権がないことを確認していた川。

 

 ここではタモロコに混ざって、先の水路で採集できなかったアブラハヤが大量に入る。

 

 同じく本日初のカマツカツチフキ(雨鱒 様 ご指摘ありがとうございました)。他には先の水路と同じくヤリタナゴが入った。

 

 結局この川で採集できたのも流水を好む魚ばかり。もっと下流のポイントにも入りたかったが、写真から判るようにこの日は冷たい雨が降る悪天候。小雨の間は帽子と雨合羽で耐えていたのだが、ここで雨が一段と酷くなりもはや継続は困難。目的の魚の採集にほど遠い状態ながら、この日はやむなくリタイアとなった。

 

 

 この日の獲物から持ち帰ったのはタモロコ2匹。先日策定した水槽再編計画5で沿岸部再現レイアウト4(ヨシ原)に泳がせるため採集する予定だった魚なので成果は成果なのだが、関東でも容易に採集できる魚だから遠征の成果としては寂しいものとなった。

 

 現在東京は新型コロナウイルスの何度目かの大流行による緊急事態宣言中で、不要不急の外出自粛が求められているが、この記事はそれ以前に行った採集を記録したものである。

 

 

 

 「産業のコメ」という言葉がある。産業の中枢をなすもの、支えるものを食生活における米に例えた経済用語で、自分が子供の頃は鉄を、最近は半導体を指すものらしいが、中学校の社会の授業でこの言葉を学んだとき、自分が思い浮かべたのは当時頻繁に通っていた川のことだった。

 住宅街を流れる都市河川で、カゲロウ、トビケラのような水生昆虫やエビ類といった底生生物は殆ど見られない、ところがドンコ、ナマズの魚食魚やカワセミ、サギ類といった魚食性の鳥類のような高次捕食者がふんだんに見られる、教科書的な食物連鎖の理屈に合わない川に疑問を抱いていた自分は、この川の「コメ」はオイカワだと思いついたのだ。

 人工的な環境に囲まれ、水生昆虫の生息に適さない川で、付着藻類から流れてくる有機物まで何でも食べるオイカワが底生生物の代わりに生態系を支えている・・・この思い付きは理科の先生にはウケたが、中学生なりに忙しかった自分にはそれ以上検証する能力も意志もなかった。

 

 今の自分にもその能力はないが、自分が変わった中学生だったことは痛いほど感じている。

 

 

 

 さて、国内外来種を求めて日本中を旅してきた当ブログ、毎回の採集は土地勘のない場所での採集となることから、事前の準備は欠かせない。そうして各地の魚類相を徹底的に調べていくうちに、いくつかの地方で共通して「ビワコ」と呼ばれている魚がいることに気づいた。

 その正体は別に怪魚でも珍種でもなく単なるオイカワなのだが、その由来は「元々在来分布しない地方で琵琶湖由来のアユを放流した時に一緒に侵入して定着したから」、というもので、当ブログにとって無視できないものと感じていた。 

 

 

 オイカワは当ブログ開設時から飼育していた魚だが、それは在来オイカワに外来オイカワの遺伝子が交雑しているという利根川水系で捕獲したもので、国内外来系統と言えるのか微妙な個体であった。

 

 先日構想した水槽再編計画では、沿岸部再現レイアウト4(ヨシ原)を計画しており、その構成員としては広く回遊する琵琶湖固有種のハスより常時沿岸部に生息するオイカワの方が相応しいと考えていたところ。

 そこで今度こそ国内外来系統の「ビワコ」ことオイカワの採集に向かうことにした。

 

 

 

 向かったのはオイカワが在来分布しない(現在は琵琶湖由来と周辺河川由来の両方のオイカワが放流により生息しているという)水系の水路。本川でなく敢えて漁業権のない水路を選んだのは遊漁料の支払いを嫌ったわけでなく、漁業権のあるポイントでは内水面漁業調整規則や遊漁規則の制限で漁法に制限がかかり、飼育しやすいサイズの個体を採集し難くなることを避けた結果であった。

 

 

 

 現地に着いて唖然とする。見えたのは当日の10度を下回る気温など構わず川の中を元気に泳ぎ回る小魚の姿だったのだ。(カメラの不調で現地写真の撮影は失敗。)


 高校時代に地理選択だった知識をフル活用して推測すると、どうやらこの水路は湧水の多い地形に作られた関係で、水底から湧き出る地下水の影響を受けて水温が高く、寒い時期でも魚達が活発に動き回っているのではないか、ということに気づく。寒さで動きの鈍ったオイカワを簡単に捕獲する、というプランが最初から崩れ去る。

 

 他のポイントを探すことも考えたが、悪天候の中見知らぬ土地を歩き回るのは億劫。そもそも、湧水のある場所は魚の典型的な越冬場所の一つで、周囲の魚が集まっている可能性も考えられる。これはチャンスと思い直し、このポイントに突入する。

 

 

 

 まず網に入ったのはフナ類。

 

 ついでアブラハヤ。ここでは多数を捕獲。優先種のようだ。

 

 カワムツとウグイ。ウグイの数も多かったが、小さな個体が大半。ここでは国内外来種となるカワムツの数は少なかった。

 

 更にヌマチチブ。このポイントの食物連鎖の頂点に立っているのだろうか?立派な個体であった。

 

 小雨の降るなか奮闘すること1時間、多数のアブラハヤやウグイに混じって何とか本命のオイカワを2匹捕獲する。大きさはいずれも4センチ程度で、飼育しやすい狙い通りのサイズであった。

 

 日本中で採集してきた自称国内外来種ハンターが超普通種のオイカワを狙って採集に行きながら、わずか2匹の成果に終わるのは何とも恥ずかしいが、思い通りにならぬのが採集の常。そもそも国内外来種とは本来居てはならぬ存在で、採れない方が良いもの。初見のポイントで何とか目標を果たせたことに満足して帰路に就いた。

 

 

 

 作成した沿岸部再現レイアウト4(ヨシ原)。底砂は細かい砂で、石を転がして沿岸部の湖底の雰囲気を、向かって左側にアシ(ヨシ)の枯れ茎を刺してヨシ原の雰囲気を出している、魚が主役のシンプルなレイアウトにしてみた。

 

 

 収容したのはヌマムツ、ツチフキ、カネヒラ、ワタカ、モツゴ、オオガタスジシマドジョウ、ゲンゴロウブナと採集したオイカワ。

 久々に幼魚から飼い始めたオイカワは、成魚を捕獲しての飼育のように飛び出したりパニックになって暴れだしたり、というトラブルが頻発することもなく、飼いやすい魚の印象を受けた。