夜は、勝手に疲れが集まってくる。
体を使ったわけでもないのに。
ため息がひとつ、増える時間。
東西線の電車が、いつも通り葛西に滑り込む。
それだけで、なぜか今日は長かった気がする。
昼間は、なんとかやれている。
仕事も会話も、最低限はこなしている。
でも夜になると、急に何も残っていない感覚が出てくる。
葛西駅前のマクドナルドは、今日も明るい。
ドトールには、黙ってスマホを見つめる人が並ぶ。
バス停の列は整然としていて、駅前の灯りはやけに整っている。
その風景の中にいるのに、
自分だけ少し浮いているような気がする夜がある。
「疲れた」と言うほどでもない。
でも、満たされてもいない。
誰かに評価されたいわけでもないけれど、
このまま家に帰るには、何かが足りない。
それが何なのか、言葉にできないまま、
改札を出て、歩き出す。
本当は、癒されたいだけなのかもしれない。
そう思っても、悪いことではない。
頑張ったからご褒美、という話でもない。
弱っているわけでもない。
ただ、空っぽのまま一日が終わるのが、少しだけ寂しい。
葛西は、東西線の流れの中にある。
乗り換えもなく、遠回りもしない。
駅チカで完結するから、余計な説明もいらない。
「寄り道」という言葉が、ちょうどいい。
誰にも見られず、短時間で、静かに。
それだけで成立する選択肢があるという安心感。
無理に何かを変えなくてもいい。
ただ、今日はここで区切ってもいい。
そう思える場所があること自体が、救いになる。
扉を開けた瞬間、空気が変わる。
外の雑音が、少し遠くなる。
必要以上に近づかれない距離感。
静かに整えられた空間。
説明されすぎない、ちょうどいい沈黙。
誰かに好かれようとしなくていい。
面白い話を用意しなくていい。
ここでは、ただ座っているだけでいい。
触れ合いというより、
「ちゃんと扱われている」という感覚に近い。
それは恋愛ではないし、
刺激を求める場所でもない。
すり減っていた承認欲求が、少しだけ戻ってくるような時間。
東西線の帰宅動線に、自然に溶け込む。
葛西という街のリズムに、無理なく合う。
だから、後ろめたさも残りにくい。
寒い夜や、雨が残る日。
年末が近づいて、街が慌ただしくなる頃。
今日はこのまま帰ってもいい。
でも、帰らなくてもいい夜もある。
何かを決断する必要はない。
大きな行動じゃなくていい。
「今日はここまで」と、区切りをつけるだけ。
そんな弱い動機で、十分な夜もある。
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