彼女と悲しい別れをしてから、私たちは毎週のように電話で話しました。

大抵、週末の夜に私が電話をかけて、長い時は明け方まで話していました。

お互い離れ離れになったけど、電話で話すのは楽しかったですね。

他愛のないことを話していても楽しくて、時間が過ぎていくのが惜しかったのです。

時折、彼女にいっそのこと東京に来ないかと誘うのですが、彼女の答えはいつも曖昧でした。

時が経つにつれて、電話も2週に1回になり、そして1月に1回になり、だんだん回数が減っていきました。

でも、私はやっぱり話したいし、会いたくて仕方がなかったのです。

だんだん疎遠になってきた頃、私は思い切って、彼女のいる地へ行くとメールをしました。

ちょうどゴールデンウィークの頃だったと思います。

彼女からはその日は仕事があると返事が来ましたが、時間が空いたら携帯に電話をほしいとメールには書きました。

少しの時間でもいいから会えればと思ったのです。

私は、1年ぶりに思い出の地を訪問しました。

この盛り場でよく遊んだ、この河原でよく寝そべって景色を見ていた、あの山並みは今も変わっていない・・・・・と、今まで慣れ親しんだ地をまわってみました。

そして、自分の住んでいたアパートにも行ってみました。

アパートは何ら変わっていないけど、もう思い出の部屋には入れないんだな・・・。

そうしてあちこち巡る間も、気にしていたのは携帯電話でした。

きっと、彼女は電話してくるに違いない。

とにかく、じっと待つしかありませんでした。

しかし、日が暮れても電話はかかってきません。

そして、最終の東京行きの発車時間まで待ちました。

この駅の出口で泣きじゃくる彼女と別れたんだ・・・・。

でも、結局電話はかかってくることなく、私は寂しく列車に乗り込みました。

東京の家に帰りつくと、パソコンに彼女からメールが入っていました。

今日は仕事でこんなことがあったりあんなことがあって、大変だったよというようなことが書かれていました。

そして、最後に「会えなくてごめんなさい。」と結ばれていました。

彼女の結婚メールはそれからしばらくして、来たのです。

私が訪ねた頃には、結婚予定の相手がいたのでしょう。

私が訪ねたのは、結果として彼女を困らせてしまっていたのですね。

寂しいけれど、彼女からの結婚メールで、私も吹っ切れたような気分になりました。








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