新宿区の四谷、ってわかりますか。
JR中央線の駅や東京メトロの駅がありますが、地名は四谷なのに、なぜか駅名は「四ツ谷」となっています。
四谷の地名の由来として、四つの谷があった、というのが諸説あるうちの一つですが、それもあながち間違いはないと思えるような、坂の多いところです。
この四谷も実に見どころが多い場所ですが、今回はその中でも、「四谷怪談」にまつわるお話を。
この四谷怪談というのは、4代目鶴屋南北という人が書いた「東海道四谷怪談」という歌舞伎のお話のことです。
簡単なあらすじは、以下の通りです。
四谷に住んでいた田宮又左衛門という同心に岩という娘がいました。
岩は伊右衛門という浪人を婿に迎えますが、この伊右衛門の放蕩により岩は狂乱してしまい、田宮家には不幸が続きました。
種々怪奇な事件が続いたのでお岩の霊を供養したところようやく平穏になった、ということです。
・・・四谷怪談にもいろいろなバージョンがあり、話がころころと変わるので、話を覚えてもあまり意味がないかも知れません。
知っておくべきは、鶴屋南北がこの話を書いたのは、お岩さんが亡くなってから200年も後のことであり、実際のお岩さんは貞淑で、伊右衛門と仲睦まじく過ごした、ということでしょう。
四谷は東海道でもないのに東海道などとつけていることからも、完全な脚色であることがわかります。
さて、この界隈にある、2軒の「お岩稲荷」を参拝してみましょう。
左門町を南から北へ歩いていきます。
すると、左右に幟が立っているのが見えます。
手前に見える右側の幟は、「於岩稲荷陽運寺」です。
2017年10月まで改修工事が行われています。
「於岩稲荷水かけ福寿菩薩」や「お岩さま縁の井戸」があります。
続いて奥の左側にあるのが、「於岩稲荷田宮神社」。
説明板によると、田宮家の邸内にあり、お岩さんが信仰した、そうです。
明治12年に火災で焼失してしまいますが、昭和27年に元の地に再建された、とあります。
今も、四谷怪談を演じる役者など、多くの人が参拝しているようです。
お岩さんは寛永13年(1636年)に亡くなったそうですが、そのお墓は、巣鴨の妙行寺にあります。
妙行寺は元々四谷にあり、田宮家は妙行寺の檀家だったとのこと。
さらに北へ進み、四谷3丁目交差点に、丸正というスーパーがあります。
その店前に、「お岩水かけ観音」があります。
ついでですのでこちらも見ておきましょう。
四谷のごくごく一部を紹介しました。