受験シーズンが本格化するこの時期、多くの予備校で合格祈願の「お守り」が配布されます。
この慣習について、SNSや教育現場では賛否両論の声が上がっています。
●「精神的な支え」というメリット
賛成派の多くは、メンタル面へのポジティブな影響を強調します。
極限の緊張状態にある受験生にとって、
「これまでの努力を見てきた講師からのエール」が形になったお守りは、
本番でパニックを防ぐ「心のアンカー」になり得ます。
孤独な戦いの中で、所属意識や安心感を得られるメリットは無視できません。
●「過度な期待」というプレッシャー
一方で、否定的な意見もあります。
一部の生徒にとって、お守りは「合格しなければならない」という無言の圧力に感じられることがあります。
また、特定の宗教色が出ることを避けるべきという教育機関としての公平性の観点や、
「神頼みより最後の一問を解く時間を」という現実主義的な批判も存在します。
●大切なのは「渡し方」の工夫
結局のところ、お守り自体に善悪はありません。
大切なのは配布時のコミュニケーションではないでしょうか。
「これを持ちなさい」という義務ではなく、
「不安になったらこれを見て、塾で頑張った自分を思い出して」という、
個々の努力を肯定するメッセージが添えられてこそ、お守りは真の価値を持ちます。
最終的に合格を掴み取るのは生徒自身の筆の力ですが、
その筆を握る手が震えないよう、そっと背中を押す。
そんな温かい「応援の形」でありたいものです。