今更ながら、「万引き家族」をみたので感想をアップしようと思います。

 

この作品を見た多くの人の感想はどのようなものなのでしょうか?

私は、人間が家族として生きていくのもまたエゴの一つで、難しいものだなと感じました。

直感的に、昔に読んだ「八日目の蝉」と同じような余韻に浸りました。

 

血が繋がっていようといるまいと、家族になれたりなれなかったりします。

親が子供に対して良かれと思っていることと、周囲の人がその家族に対して持っている感想と、子供が親にされたことへの感想は必ずしも一致するとは限りません。

 

万引き家族のような家族の在り方は、警察がいない時代であれば、とがめられることすらなかったんではないでしょうか。

しかし、あれが本当に子供たちの最善の環境だったかは、見る人の価値観や立場によって異なります。

 

だから家族として生きていくことは、それぞれのエゴの集まりだから難しい。

 

私は、へその緒が付いたまま捨てられていました。

それに気付いた人が、通報して役所の方が来たおかげで、私は戸籍に載った人間としての人生を歩んでいます。

そして乳児院に行き、特別養子縁組を経て今自立しています。

 

もしすてられた赤ん坊に気付いた人が、純粋な厚意で自分たちの子供として育てようとしていたら、私は戸籍もない子供として育つことになったかもしれません。

しかしそこで愛情深く育ててもらう可能性だってあったかもしれません。

 

ないものねだりや、「もし」「かも」そんな話をすれば、いくらでも語れます。

それは、子供の幸せの定義が、見る人の立場や価値観によって何種類も存在するからです。

 

家族という存在に甘んじて、油断ししがらみでしかなくなるケースもたくさん知っています。

家族も人間が共同生活をする一種のコミュニティの単位であり、一族として見るよりも前に、異なる個々の集まりであることを十分に理解して運営していかなくてはならないのだと思います。

 

それを寂しいと感じる人もいるでしょうが、それでも自分が愛情深くいることはできます。

家族の一員としてのエゴが強くなりすぎていないか、自問自答が必要です。