東京オリンピックのカヌー競技場計画で揺れる葛西臨海公園。
東京都知事選を前にもう一度この問題を考えてもらおうと開催された、計画地を歩くイベントに参加してきました。(1月26日)

 

朝10時に、駅前広場に降り立つとすでに100名ほどの参加者でごった返しています。ちょうどその隣では、都知事選挙をPRする街頭イベントがおこなわれており、東京都のゆるキャラのユリート君らが手を振っていました。なんとも象徴的なスタートです。

開始時間の10時を少し過ぎて、主催者の日本野鳥の会東京の代表者によるあいさつと趣旨説明がありました。

「今日は実際に計画地を見ていただいて、何がおこなわれようとしているか知ってください。それから知事選ではきちんと判断できる人、当選後姿勢を変えない人を見極めて選んでください。」

あいさつの後、ところどころで立ち止まりながら野鳥を観察し、計画地を見ていきます。公園はすべて埋め立て地で、ここにある自然はすべて人工的に復元されたものです。あえて刈り残された藪や、ゆるやかな起伏の窪地に復元された人工池と湿地など、昔の東京湾には当たり前にあった自然を確認していきました。

 

こうした自然に対して、「どうせ人工的に作った自然なんだからなくなっても大騒ぎすることないじゃないか。」という声もあるそうです。

でもそれは逆だと思います。今、人が住む都市の中にこそ自然を残していかなければならないのです。子どもたちが生活の中で触れられる自然を残していかなければ、彼らが大人になったときにはますます自然と人との乖離が加速していってしまうからです。

また、今回の計画はひとつの公園の存亡の問題だけではなく、カヌー競技場という巨大設備は、周辺に対して思った以上の環境負荷をかけることになるのではないかと危惧しています。詳細なアセスはこれからなので、今後も見守っていきたいと思います。

さて、今回このような形で声をあげたのは、日本野鳥の会東京というNGOですが、その推進力となっているのは20年間この公園で毎月定例探鳥会を開催してきたグループです。いわば葛西臨海公園のトコロジストたちです。彼らが、他の誰よりもこの公園を歩き、どこにどんな生き物がいるのか、今公園の環境がどうなっているのかを熟知しています。計画に対してはいろいろな立場があると思いますが、今はじっくりと彼らの言葉を聞くべきだと思います。

歩きながら、隣にいた初参加の男性に声をかけてみました。この男性は近所にお住まいで散歩でこの辺りをよく歩いているそうです。テレビでカヌー問題を知ってお一人で参加してみたとのことでした。今回もテレビ取材が同行していましたが、少しずつ関心の輪が広がってきているのかもしれません。

 

日本野鳥の会東京では、知事選の候補者に公開質問状を送付しているそうです。その回答があり次第ホームページで公表されるでしょうから、ぜひ候補者選びの参考にしていただければと思います。また、web署名もおこなっていますので関心のある方はぜひ署名してください。