今回は「環境会計」という、普段なじみの薄い分野の本を手にとってみました。
といっても自分から進んで興味を持ったわけではなく、たまたまある集まりで著者の吉田さんと出会い、お話ししているうちに何か心に引っかかりを覚え、その場で本書を譲っていただいたのでした。
おかげで「環境会計」について、予備知識もなく本書を読むことができ、かえってそれは幸運だったのかもしれないと思っています。
というのは、この本で話されていることは、もしかしたら、ぼくたちNGOの目線にかなり近いのではないかと感じたからです。ぼくたちNGOの持っている感覚を「会計」という言葉で表現するとこうなるのではないか、本書はそういった趣の本です。
誤解を恐れずに、ぼくの乏しい読解力でダイジェストを紹介するとこんな感じです。
○自然環境は無限にある「自由財」ではなく、有限であり次世代にそのまま譲り渡していかなければならない「継承財」である。
○企業や行政はその事業活動によって環境を壊したら、それに見合う環境再生に投資をして、「継承財」を損なわないようにしなければならない。
○事業活動によって環境を破壊することは、譲り渡すべき「継承財」を食いつぶし、子どもたちの世代につけをまわすことである。
○しかも、当の子どもたちは選挙権を行使して、自分たちに押しつけられるツケを拒否することができない立場に置かれている。
○「会計」とは、こうした「継承財」という考え方を含めてトータルな経営能力を発揮できる人をひと目で見分け、その人に自分の財や税を託すことを判断するためのしくみである。
○環境再生についても、だれが環境を再生する能力を持っているのかを見分け、本当に再生する能力のあるところへ資金を回していくことが必要である。
○そのためには、継承財たる環境をはかる物差しが必要だ。それが著者の考案したkikyoという単位である。
○あらゆる環境再生活動をkikyoで評価し、イメージに惑わされないで本当に効果をあげている者の所へ資金を回していかなければならない。
どうでしょう? こういう話は、環境活動に関心のある企業や行政の担当者、そしてNGOの人たちと一緒に話を聞きたいなあと思います。
ということで、来る6月17日に吉田先生を日本野鳥の会の事務所にお招きして、環境会計の勉強会を開くことにしました。詳細は近日中にご案内しますのでしばしお待ちを!