不妊治療 4 | 牛川とこオフィシャルブログ「傘をたためば」Powered by Ameba

不妊治療 4

この記事は子を授かるまでの、過去の経験を書き綴っています。


初めてご覧頂く方は、テーマ「遠回りの道」~「子を授かるために」にまとめました
こちら から読んで頂けたらと思います。







初めての人工授精を経験し、期待はあふれそうでした。
治療を知っている周りの人にも経過を話していて、
妊娠率が上がるんだからきっとできるよ、
と言われたりもし、
そうだよね?出来るよね!

ってすっかりその気になっていました。


注射と基礎体温だけでの治療の期間、
期待しては落ち込み、期待しては落ち込み、
そんな日々を繰り返し送っていたけれど、
今までとは違う、人工授精という治療法を施したのだから、
きっと出来るんだって思っていました。
単純に、医療の力を信じていました。



今月出来たとしたら、何月生まれになるのかな・・・
そんな妄想までもしましたが、そんなひとときは楽しかったです。
野望とか夢とか目標とか、手に届く届かないは別として、
あれこれ想像するのって楽しいですよね。
幸せな気分になれるというか。








ですけどね、
そんな幸せな妄想は、トイレの中でまたしても一瞬にして消されてしまいました。






またきちゃった・・・
すぐさま幼馴染の友達に電話をかけていました。

小学生からの付き合いで、お互いに自分をさらけ出す仲。
こんなにも長い付き合いですから、今まで喧嘩だってしたこともあります。
その彼女Mには、
病院へ行く前から、むしろ子供が欲しいというところから話していました。
最初は「大丈夫だって~!」と軽く言われ、こちらも「そうだよね~!」と軽返事。
それが日を、月を追うごとに軽い会話からどんどんと重いほうへ傾いてはいました。


Mが電話に出た瞬間、涙が出てきて声にならなかった。
今までで初めてでした。泣くのは。
想いがどんどん募っていたのもありますが、
今までひたすら突き進んでて、息切れを起こし、ついにダウンしてしまった、
といった感じでしょうか。
張り詰めてた気持ちがわっと溢れてきて泣いてしまったんです。


すぐに察したようで、
「落ち着いて話してごらん。」
「私は大丈夫としか言ってあげられないけど、本当に大丈夫で絶対にできる気がするんだよ。」
と言ってくれました。



だめだった現実を感じたばかりなのに、この言葉でだいぶ元気になったのは、
こんな言葉を待っていたんでしょうね。
慰めとわかっていても、確信のない言葉でも、
そっか~、できるんだよね。いつかは・・・
と思いたかったから。


私は超がつくほど単純なんですね。
落ちる時はどーんと落ちるのですが、這い上がるのも早くて。
ですから泣いた10分後にはもう笑っていました。
そしていつものアホ話で大笑いし電話を切りました。
この先、Mにはこれからもずっと、私の泣き言を聞いてもらうことになります。


治療を始めたことを親しい友達には話していましたが、
あちらこちらで泣くことは出来ないですからね。
唯一Mの前では、時々甘えて泣かせてもらっていました。







気を取り直し、また病院へ。
次も「人工授精」がしたいと医師に申し出て、2度目の挑戦をすることにしました。

まだこれから2回目。まだまだ。。。
そんなふうに自分の胸に言い聞かせながら。


仕事先 でも報告をすると、
「人工受精の妊娠率は決して高くないんだよ。だからあまり期待しすぎるのも
良くないよ。まぁ焦らないこと。」
なんて笑って励まされていました。








当時の私の手帳は真っ黒だったことを今でも覚えています。
生理の始まった日に丸印。
そこから排卵日あたりを数えるのに点点点ってペンでなぞるものですから、
点だらけ。
点ばっかし!

それに加え、周期の日数やら排卵日までの日数、平均を出すのに計算した数字が
あちらこちらに書いてあり、どんどんと汚れていきました。
暇さえあれば、ちょっと時間があれば、そんなことを何度もしていました。
そこに気持ちがすっかり持っていかれてたんでしょうね。




友達や家族との時間や、趣味などで楽しんではいたけれど、
ふとした瞬間に込み上げてくる不安感は、常に付きまとうようになっていました。


そして、この頃から友達の妊娠報告にも敏感になり始めます。
卑屈になるなよ!
羨んでばかりいるなよ!
って、
本当によく言い聞かせていたのに、理性のキャパをオーバーしそうで。
報告を受けたときに「おめでとう」の気持ちが「どうしよう」に変わっていく。
人の喜びをストレートに喜べない自分、焦る自分は、自分で見ても嫌になります。
私は決して良い人ではないけれど、人を羨むことがあまりなかったから、
こうして変わっていく自分が嫌でした。
こんなにも心が狭くなっていくことに驚きました。



でもどうしようもなかったんですね。
だって羨ましいのですから。
産まれた赤ちゃんを抱っこする友人や、幼子とじゃれ合う友人の姿を
自分と重ねてしまう。
私もいつかあんなことしたい!!
って、とてもとても羨ましい視線で見ていたんだと思います。


短大の仲間で集まった時にもそんな光景がありまして。
思わず
「いいな~!私もそんなんしたいよ~~~!!」って口から出たこともあります。
そんな私の叫び?嘆き?にも仲間は励ましてくれました。
だから友達ってありがたいな、人からの言葉は本当にありがたい、
って常々感じてました。








さあ、次も頑張るか・・・


落ちた気持ちを振り払って先へ進むしかない。

次の施術まで、また淡々と病院へ通いながら、
妊娠へ近づけるためにはどうしたらいいのかを更に考えたり、
手帳や基礎体温とにらっめこしたり。
息が詰まらぬよう、忘れるほどの楽しい時も過ごして。







暗闇の中、手がかりのないまま手探りをして求める、
まさに「暗中模索」の状況でした。