気まぐれに再開。
今日はT-Wall大岡山へ。

14時半くらいからダラダラと打ち込み。
週明けに鷹取で積年の課題を登ったので、今日はならし程度に。

160度壁の水色を2本。
130度の水色1本。

110度の黄色7番を眺めるも、なんとなく厳しそうで、またの機会にとっておく。

その後空いてた120度壁で遊ぶも、水色で剥がされる。
これはあかんなぁ。。と思い、緑から復習しようと順にトライ。
この辺りの傾斜のムーブが苦手らしい。
きちんとしなければ。。

100度の水色にすら最後は剥がされ、腰まで痛めて本日は終了。。!

いや。実は初めてなのである。。
夏にすら登ったことがなく、道も知らない。
もちろん土地勘もない。
ハッキリ言って未知数極まりないのである。
それが富士山。所謂フジヤマというやつである。

と言うのも、僕は人のいる山が嫌いだ。

なんでもない鎖場で大渋滞するツアー軍団。
登山道に座り込んで大休止するツアー軍団。
遅いから追い抜くと何かひとこと言わずにおれないツアー軍団。

もう、そんなのいやなのだ。
そんな人間が、夏の富士山なんか登るはずがあろうか。いやない。決して。

と、いう理由によって、僕は富士山に行ったことがない。
でも、実は行ってみたかった。

なぜなら日本一だから。
やっぱり一番はカッコいい。
そして、周りのヤマになんか微塵も興味のない人たちは、山に登ってる人が全員が全員富士山に登っていると、大きな勘違いをしていることが多い。
何も知らないくせに、「富士山ってどうなんですか?」と、目をキラキラさせて聞いてくる。そして僕が登ったことがないと知ると、掌を返したようにさげすんだような目で僕を見るのだ。

そのような屈辱は、もう受けるべきではない。
そのためには富士山に登らなくてはならない。
でも夏はやだ。
冬はなんか怖い。

ところが、そんな冬の富士山に登る機会がやってきた。
当然ひとりではない。そんなことは恐ろしくてとてもできない。
山岳会の山行で行くのだ。
それが安全だ。

と、いうことで準備をしている。
冬山は久しぶりだ。昨年の八ヶ岳以来だろうか。。
そんなことを考えながら、自分の装備を再度頭の中で点検してみた。。
何か不足はないか。。?
何か不自由だったことはないか。。?
今回新たに必要となるようなものはないか。。?

あっ!帽子!!

そう。帽子だ。
僕の冬用の帽子は、顔が変形するくらい引っ張らないと耳が全部隠れないという、とんでもない欠陥品なのだ。
当然冬のヤマは寒い。特に耳は寒い。
寒いと感じなくなったら、それはそろそろ自分の耳に別れを告げるときだろう。
いくらハードシェルのフードがあるからと言って、そんな帽子で恐ろしい富士山なんぞに行ったら、耳がいくつあっても足りないではないか。
早速帽子を買うことにしよう。

そう思って、東京駅の大丸にできたICI石井スポーツに行ってきた。
ちんたらエスカレーターを登っている人々をどんどん追い越して店に着くと、これが結構良さげな品ぞろえだ。岩も氷も雪山も、普通の店舗に比べたら充実している。
ウキウキしながら歩いてると、お目当ての帽子のコーナーにたどり着いた。

うろうろ見ていると、ひときわ目につくものがあった。
これだ。
http://www.columbiastore.jp/shop/g/g4548999851518/
おお!!なんだかいかにもプロっぽいじゃないか!!
帽子に4,000円も出すのは悔しいが、山の道具をケチってはいけない!と何かの本で誰かが言っていたではないか。
しげしげと見ていると、油断したのかICIのお兄さんに背後をとられていた。

「それはマッターホルンに登った。。あの。。キモトさんのガイドの人が使ってるやつなんですよ!!!」

ほう!それはもしかしてイモトのことか??
そしてガイドってのはあのマッチョなイケメンにーちゃんのことか!!!
なんだか親近感が湧いたため、即時購入。

その他、昔から買おうと思っていた山専ボトル500mlと、9㎜ロープを5m購入し、ICIを後にするのであった。。
と、言う訳で早速先週末の出来事を。

今回は越沢バットレス。
JR鳩ノ巣駅から延々と歩いてたどり着く、古き良きアルパインのゲレンデだ。
名前は「こいざわばっとれす」と読む。
地名は「こしざわ」なのだが、なぜかこの岩場は「こいざわ」なのだそうだ。

実は越沢は2回目。
去年来た時の印象は一言「こわい」。
遠くから見ても、近くから見ても、登ってても、休んでても、なんか怖い。

その頃行ってた小川山とかは、明るく迎えてくれるって感じだった。
陽気な兄ちゃんが「遊んでけよ!!」みたいな。

越沢は違う。
「いつでも殺ってやるぞぉぉぉぉ!!!」みたいな殺気を感じる。
夜道で包丁を持ったオッサンと遭遇したような。

実際に事故もよくあったようだ。
今回も、バットレスがよく見える対岸の東屋で、登ってるパーティーを見物してたら、
地元のおじさんがフラッと現れ、昔の事故の様子をつぶさに語ってくれた。

しかしなにも、クライミングの装備をして、今から登るぞ!!と意気込んでいる人を目の前にして、そんな話を延々としなくてもよさそうなものだ。
おかげで登る前からこちらのテンションはダダ下がりである。

それはさておき。

今回はパートナーの体調が悪く、初心者もいたこともあり、越沢のメインルートでもある「第2スラブ」でもやろうかと言うことになった。

ルート名 ■ 越沢バットレス 第2スラブ
ピッチ数 ■ 全3ピッチ
グレード ■ Ⅳ級+
登攀具類 ■ 8.5ミリ×50メートルダブルロープ2本。その他。

まず1ピッチ目フォロー。

いつも思うのだが、岩って下から見ると結構簡単に登れそうに見える。
実際取りついてみると、そう簡単に登らせてはくれない。今回も割と苦労した気がする。
人によっては、この1ピッチ目が核心ということもあるらしい。

しかもあろうことか、リードしたパートナーが、通らなくてもいい難しいルートに入り込んだため、その難易度はいやが上にも増すこととなった。
なんと余計なことをしてくれるのだろう。
自分は、顔で余裕をかましながら、腹の奥底では怒りに震えまくった。

でもそんなことを相手に悟られる訳にはいかない。自分にもプライドと言うものがあるのだ。
鼻歌混じりで冷や汗をかきながら必死で登る。

越沢の岩はよく滑る。まして1ピッチ目は、水がしみだしていて更に滑ることが多い。
しかも岩質がチャートで、尖がっているから、滑ってぶつけるととても痛い。
痛いで済めばいいかもしれないが、切れたり折れたりしたら大変だ。
大胆に、それでいて繊細に登らなくてはならない。

2ピッチ目リード。

正直、ここはちょろいでしょ。そう思っていた。
だからこそ、今度は俺がやってやるよの体でリードも引き受けたのだ。
ガバだらけの壁を数メートル程のぼり、50センチ幅ほどのバンドに出、そこで長いスリングでランニングをとる。
そこからは右上に伸びる、階段状の岩場を登っていくだけだ。。が。そこで気づいた。

あれ?。。。ランニングとれなくない??

その階段状の岩場は、幅にして30センチほど。距離は10メートル程度か。
壁側は徐々にかぶっており、谷側はスッパリ切れ落ちている。
途中にボルトらしきものは見えない。
小さめのカムなら効く場所もあるかもしれないが、今回カムは持ってない。
落ちたら下でビレーしているパートナーまで落ちかねない。
ってか、アルパインでは落ちてはいけない。特にこの越沢では。。

そう思っていても仕方ないので、先行パーティーが全員登るのを確認して取りつく。

怖い。

左側の壁がどんどん迫ってくる。
下を見ると、下にパートナーが。そのはるか下に小さくなった取りつきが見える。
もう戻れないので、必死で登る。
なんでこんなことやってるんだろう?という疑問が頭をよぎる。
そうこうしているうちに、気が付いたら2ピッチの終了点についた。

気持ちよかった。。

3ピッチ目フォロー。

リードしたかったのだが、パートナーが行きたがったので行かせる。
っていうか、ここのスタート地点は見ただけで怖い。
下がぽっかり空いた空間に、身を投げ出すようにトラバースし、物凄い高度感の中を登って行かなくてはならない。
正直、ビレーしながらこの出だしを見てるだけでビビった。
しかもその上はツルツルの滑り台のようなスラブが続く。
しかも長い。40メートルはあるだろうか。
こんなところを嬉々として登るなんて、狂気の沙汰だと思った。

だから、リードしたいと言われた時は正直ほっとした。
でも、そんな気持ちを悟られる訳にはいかない。多少は悔しそうな顔をしなくては恰好がつかない。それが人情というものだ。
でも、そんな表情をした人にビレーさせるのは、パートナーも不安になるかもしれない。
熟慮を重ねた結果、ほっとした気持ちそのままの表情で、パートナーにリードを任せた。
人間正直が一番である。

しかし、ここでまた彼がやってくれた。
最終ピッチでもある第3ピッチ。スラブの真ん中を登っていくのがⅣ級のルートである。
ところがパートナーは、左側のコーナー側をまっすぐに登っていく。
そのルートはⅥ級のルートである。
あいつ、なんてことしてくれやがるんだ!!!

おいおい!!それはⅥ級のルートだろ!!!!と、心の中で突っ込みを入れながら、「右じゃね?右じゃね??」と声をかける。
しかし、そこから右へのトラバースが難しいのか、彼はそのままコーナーを直上していく。

仕方ない。。やるしかないのか。。

上方からコールがかかる。これを登るのか。。。腹を決める。
重い気持ちを引きずるようにしてセルフを解除し、空中に足を踏み出す。

怖ぇ!!!!

もう下は見れない。足元と手元を見ながら、登り続けるのみだ。
使い古された言葉だとは思うが、こういうの、なんか(自分の)人生に似ている。
崖っぷちってやつだ。
できればそんな人生は送りたくはないものだ。

ロープに導かれ、スラブの左側へ移動する。
Ⅵ級の文字が頭をよぎる。

ん??
確かに足は悪い。だが、コーナーの部分がものすごくガバのアンダーになっている。
こんな高度かつこんな滑る岩場でレイバックなんかしたくもないが、そうすれば越えられそうな気がする。
垂直では支えられないようなフットホールドを何とか見つけ、レイバック体制に入る。
何かのはずみで手が滑ったら終わりである。
ここではガバでも、上まで登ったら何もないかもしれない。。そんな不安が頭をよぎる。

やるしかない。
一気に体を起こす。

超えた!

プルプルしながら終了点まで登る。
しかし、まさかそんなプルプルしてるなんて悟られる訳には行かない。
直前で大きく深呼吸して、余裕の表情を作ってセルフをとる。

いや疲れた。。

いつもは、疲れても心地よい疲れだ。
しかし、今回はちょっと違う。

やはり、リードをやり切れなかったことによるモヤモヤだろう。
悔しさというべきか。

相手はパートナーではない。自分だろう。
今度は絶対に全部リードしよう。
そう思い、日が陰り始めた越沢を後にした。
なんだかんだとクライミングを初めて1年程になる。

元々ソロで藪山とかウロチョロしてた自分が、初めて山岳会の門をたたいたのが2011年の11月。
その11月に、丹沢はモミソ岩で最初のイロハを教わった。
「うちの会は何も教えない!自分で見て覚えろ!」とか、普段自分が部下にイキガって言ってるようなことを言われてビビった。

でも実際は、オジサマたちが寄ってたかっていろいろなことを教えてくれた。
所謂ツンデレってやつか。デレじゃないけど。
エイトノットの結び方、肩絡みの懸垂下降、ビレイの仕方。。。
今でもそれらの知識が、自分のクライミングのベースになっている。ような気がする。

冬山も連れて行ってもらった。
初めての冬山。谷川岳西黒尾根。初めて、ソロで登ってたら死んでたかもとか思った。
いや、あれは本当にヤバい。見えないし。落ちたら死ぬし。寒いし。
何も見えない中で黙々と歩く、自分の親父と同年代のようなオジサマたちの背中がとても大きく見えた。

夏からはフリークライミングのゲレンデや、易しいアルパインルートに連れて行ってもらった。
パートナーとザイルを組んで登るというのは、新鮮だったし、とても心地よいものだった。

でもその一方で、自分が何のためにヤマを登っているのか、よくわからなくなってきた。

グレードなんかどうでもいい。(そりゃ高難度のルートのぼれりゃカッコいいけど。)
山岳会のためにヤマに登っているわけでもない。(つぶれたら困るけど。)

でも、そんなことを考えながら登るのもつまらない。
そんなときは、書いてみるといいとか、昔先生に言われたような気がする。
だから、何か登ったら書き留めておこうと思って、この記録を付けることにしてみた。

根っからの飽き性のため、いずれやめてしまうかもしれないけど。
とりあえず。