『もう始まったんだよ』
寮長は、東正也の腕を引っ張った。
蛍は、自分の耳を疑うように、叩いた。
『聞き違いだと思うけど、銃声だよね?』
東正也は、頭を叩いた。
『俺は、頭が痛いから聞こえない』
『嘘つくな』
蛍が、東正也を睨んだ。
寮長は、間に入った。
『銃声だよ』
『ほらそうじゃないか?』
『うるさい』
ふたりは、現実にはとらえられない。
『ここは、大学だよ?』
蛍は、寮長を見ながら言った。
寮長は、黙って頷いた。
『ここから、逃げなさい』
東正也が、イラついた顔で首の音を出した。
『戦争なの?』
寮長は、『違う』と言った。
『じゃ、何なんだよ』
蛍は、壁を叩こあうとしたが、見つかるという、怯えがその手を止めた。