How hard can it be?

How hard can it be?

とちぎOS36/JO1EXAのブログです。

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時間は食われてはいないものの、最近割と濃密な仕事内容の為、

ブログのエントリーが出来なくなってしまっています。

 

そんな中でもアクセス数は少ないですが途切れることはなく、

大半はスバルのCB18エンジンについてのアクセスのようです。

 

まあこんな過疎っている謎の人物が妄想で書いた内容なので、

「うわぁ素人が妄想全開記事書いてドヤッてるよ。ださっ」、

とプロの方々から笑われているのかも知れません。

まあ、実態そんなもんなのでそれでも別に気にしませんが…。

 

ということで、単純にアクセスが途絶えないからという理由で、

またエンジン系について書いてみようと思います。

 

 

最近、マツダがMX-30という車を出したようです。

あまり気にしていなかったのですが、てっきり欧州で試乗会をした、

何だかかっこいいEV or レンジエクステンダーかと思っていたら、

デザイン(とフリースタイルドア)はそれっぽいけど、

ISG式(オルタネータを電池で駆動する簡易式)のハイブリッド、

だったんだそうで。

 

 

なんだか、鳴り物入りで発表していた印象があったので、

少々拍子抜けしてしまいました。

ただ、これまで電動化はほぼ他社に頼っていたマツダとすれば、

大きな一歩であることは間違いないでしょう。

 

ということで、気になるモーター(というかISG)の出力と、

バッテリーの仕様を見てみることにしましょう。

諸元表によると、出力5.1kW、電池は9直列10Ah、

そう言えば、24Vマイルドハイブリッドと書いてありました。

 

電池の暴走等のリスクを考えると、恐らく三元系等の安全性の高い、

その代わりに公称電圧の低いものを使っているはずです。

仮に3.2Vとすると、9直列で28.8Vということで、

通常の鉛バッテリー6直列車両は大体14.2Vあたりですから、

ほぼきれいに2倍の電圧を使っていることになります。

 

そこから5.1kWの出力を単純に取り出すとすると、電流は177A。

 

この数字を見て、やっぱりね、と思ってしまいました。

 

 

今までの色々な経験から、JISやJASO等の規格に基づいた、

電線や端子やらは、機械的・物性的な限界値として、

連続通電で200A未満が限界、と考えていました。

その妄想にぴったりの数字であるわけです。

 

電線に電流を流すと導体の抵抗により発熱しますが、

当然、電線を太くするなどして抵抗を下げれば、

より大電流を流しても発熱を抑えることができます。

しかし闇雲に太くしてしまうと、電線を曲げることが困難ですし、

また電線と相手をつなぐための端子についても、

機械的な設計や圧着等の端末処理が困難になっていきます。

 

経験則上、連続通電として10A台後半あたりに第1の壁があり、

次は50A前半、その次の最後の壁として200Aを下回るあたり、

でしょうか。

 

ということで、いつでも気兼ねなく出力を取り出せるor充電できる、

ハイブリッド特有ではなく、既存の技術で安く簡単に作れる限界、

ということでマツダは性能を設定してきたと見えます。

 

しかし…。

これはマツダのエンジンが最終的にどうなっているかなのですが、

この車格だと走行抵抗的には平地で郊外路をクルーズ、

という条件でも完全なるエンジンの休止は難しいでしょうし、

仮に出来たとしても電池を使い切った後に充電する際に、

エンジンの燃費の一番いい領域を使えるだけの負荷には足りない、

ような気がするのですが、どうなのでしょうか。

つまり、あまり燃費向上には寄与しないのでは、ということです。

 

ストロングハイブリッドの燃費がいいのは、

回生エネルギーを多くとれるという面もありますが、

それ以上にクルーズ中にエンジンのおいしい領域を使える、

という面が特に最近では多いはずなのです。

 

 

で、そう言えばと思ってMAZDA 3の諸元を見てみたら、

やはりでした。

鳴物入りでデビューしたSKYACTIV-Xは、

とかく燃焼技術に目が行きがちですが、

その燃焼の「おいしいところ」を外さないようにするために、

様々な補機が追加されています。

1つはスーパーチャージャー(空燃比を調整するため)で、

もう1つは実はMX-30と同じ24Vマイルドハイブリッドだったのです。

その性能は…、出力4.8kWで電池は9直列10Ah。

恐らく電池は同じものを使っていると思われます。

ISGについても、同じか同格品と考えられます。

 

まあ、正直なところで言うと、SKYACTIV-Xの補機としても、

マイルドハイブリッドとしてもうまく使える仕様ということで、

24Vという、欧州勢のトレンドから少し外れたところを狙った、

というか狙わざるを得なかった、と考えられますね…。

 

ちなみに国内メーカーでマイルドハイブリッドに傾倒している、

庶民の味方SUZUKIですが…、

クロスビーの1リッター3気筒ターボのマイルドハイブリッドで、

出力2.3kWで、バッテリーは恐らく13.2Vですからこちらも172A。

SUZUKIは軽自動車も全て同じシステムのようです。

海外勢の代表として何となく国沢光宏氏イチオシのVolvoを見ても、

V40~V90まできれいに10kWの48V(実際は少しオーバーするはず)。

ということでほぼ200A未満の領域です。

 

各社きれいにこのラインなんですね。

 

 

ということは…、

結局、マイルドハイブリッドの長所である、

「安い」(ISGを使えて、既存技術の電線・端子で作れる)を外さずに、

性能を作るとすると、必然的にISGの電圧で性能限界が決まり、

それは既存技術の電線・端子の電圧限界である48V系まで、

というところで一律に線が引かれてしまう、

 

言い換えるとマイルドハイブリッドのモーター(と回生)の出力は、

何をどうしても10kW前後で頭打ち、ということです。

(熱推定ロジックを入れて瞬間芸的にはオーバー出来るかも…)

 

今後各自動車OEMがマイルドハイブリッドをどう扱うのか、

興味はありますが、個人的には現状以上にはならないと考えます。

 

マイルドハイブリッドも当然、非ハイブリッドに比べればコストは高く、

また電池の電圧(直列数)や容量を上げれば、

それにつられてコストも高くなります。

しかしそれに比して燃費性能はあまり向上しません。

であるなら国内OEMビッグ3のように、

ストロングハイブリッドを多くラインナップした方がいいでしょうし、

欧州勢のようにPHEVでお茶を濁す戦略もありでしょう。

 

 

そういう意味では、

マツダはまだまだ厳しい戦いを強いられるのではないでしょうか。

 

彼らはどうやら、「1%でいい」と言っているようですが、

正直これからはその数字では生きていけないと思います。

技術的にはいいものを持っているのだから、

何とか生き残れる戦略を打ち出して戦い抜いてほしいものです。