ライターMの反省日記  ~嘘をつくにはワケがある~ -5ページ目

類が友を呼んだ日

たまに街中で、愛すべき「うっかりさん」を

見かけることがあります。


その日――


私はむしょうにプリンが食べたくなったので、

近くにある百貨店を訪れました。


ここのデパ地下に入っているケーキ屋さんに、

お気に入りのプリンが売っているからです。


で、その帰り際、ある和菓子屋さんの前を通りかかりました。


このお店は雑誌などにも頻繁に取り上げられる人気店で

私も何度か訪れたことがありました。


名物である一口サイズのお饅頭は、弾力のある

しっかりとした皮が特徴的で、その中には甘さを

抑えた上質な餡がたっぷりと入っています。


店は相変わらず賑わっていました。


そんな中、品のいい50代ぐらいの女性が

真剣に商品を選んでいる姿が目に入りました。


6人の店員さんはそれぞれに別のお客さんの対応におわれ、

女性はひとりで商品ケースを覗き込んでいます。


と、女性は不意に商品カウンターの上に手を伸ばし、

試食品のお饅頭をつまみました。


そして、それを口の中に。


一口サイズなので上品な女性の口にも簡単におさまるお饅頭です。


でも私は知っていました。


女性が口にしたものが、試食品のお饅頭ではなく、

精巧にできた見本品だということを。


私は辺りの様子をうかがいましたが、幸か不幸か、

彼女のうっかり現場を目撃した人はいませんでした。



その女性は慌てるわけでもなく


テレ笑いするわけでもなく


かといって、足早にその場を立ち去ることもなく


口からこっそりと見本品のお饅頭を取り出し、

きちんと元の位置に戻したのでした。


ひとごととは思えないうっかりぶりと

決してマネすることのできない冷静さ――


ここ1年の間に出会ったうっかりさんの中では、

いちばん大人で、いちばん頼りがいのある方でした。


事務所に戻ると、すぐに仕事仲間に声をかけられました。


「何かいいことあった?」


「どうしてですか?」


「なんかニヤけた顔してるから」


「・・・いや、あの・・・プリンを食べられるのが嬉しくて」


「ふ~ん、単純でいいな」


仕事仲間はそう言うと、その場を去っていきました。



 ★今日の嘘     → 「・・・いや、あの・・・

                プリンを食べられるのが嬉しくて」

                
 ★嘘をついた理由 → 同士のうっかりぶりを簡単に人に話すのは

                裏切り行為だと思ったから

               
                
 ★本当は・・・    → 見本品をそっと元の位置に戻していた

                女性の姿が忘れられない



没頭

原稿を書くのに息詰まったので、直径12センチほどの

丸くて薄い“ぬれせんべい”をかじっていき、

それをイヌの形にしてみました。


思いのほかリアルなイヌが完成して、ちょっと動揺。


周りの皆さんがヒクぐらい精巧なイヌ型せんべいが

出来上がりました。


調子に乗った私は一心不乱におせんべいをかじり続けました。


“ネコ型”や“クルマ型”、“東京タワー型”のおせんべいが

次々に誕生していきます。


本当は“ハト型”のおせんべいも作ってみたのですが、

デザインがハトサブレとかぶったので、早急に破棄。

お腹の中におさめました。


で、そんなこんなをしていたら、あっという間に半日が過ぎました。


そして、今――


うまく説明できないのですが・・・


なんだか唇がヘナヘナしています。


お風呂あがりの指みたいにフヤけた感じです。



そして、完成した「おせんべいアート」は7作品。


最初こそ、興味を持ってくださった仕事仲間の方々も

後半は「もういいよ・・・」という飽き飽きした顔をしていました。


いつもそうです。


引き際を見極めることができないがゆえに

うんざりされるのです。


反省。


そしてちょっと唇が心配。

ポジティブな話

99.9%大丈夫だといわれていることを

かなりの確率で失敗するような

不運で痛々しい人生を歩んできました。

にもかかわらず、私は生活の中で

一か八かの賭けに出てしまうことが

非常に多い気がします。

「いつもはダメだけど・・・ひょっとして今回だけは

うまくいくんじゃないか・・・」

そういう考えが頭をよぎるのです。

結果は当然のことながら失敗します。

ぐうの音も出ないぐらいの負けっぷりです。

「この人は恥だけかいて何も学ばない哀れな人です」

そういう烙印が私の体にはいくつ刻み込まれていることか・・・


でも、思ったのですが・・・

これってひょっとして・・・

長年憧れていた・・・

夢にまで見た・・・

ポジティブシンキング・・・?

実は私・・・


ポジティブ人間だったのでは・・・?

実は自分がポジティブだったいうことを知った私は

仕事仲間にそのことを報告しました。

すると、それまで黙々と仕事をこなしていた大学生のバイトくんが、

私のほうを見て言ったのです。


「それはポジティブじゃなくて、ただのバカって言うんっすよ」

ただのバカって言うんっすよ・・・

ただのバカって言うんっすよ・・・

ただのバカって言うんっすよ・・・

同じ言葉が頭の中をグルグルとまわります。

「バカだ」ということをくだけた敬語で指摘されたのは

初めての経験でした。

私はポジティブではなく、ただのネガティブバカだったのか・・・

そうかそうか・・・

そうだったのか・・・

そのことをわかっただけでも、幸せだ・・・

きっと幸せに違いない・・・

なんだかポジティブな1日でした。

ネガティブな話②

子供の頃からネガティブな人間でした。


あれは小学校の国語の授業でのことです。


その日は、「雪がシンシンと降っている」の「シンシン」のような

繰り返しの言葉を勉強していました。


そして宿題として、この繰り返しの言葉を使った文章を

1人5つ書いてくるという課題が出たのです。


「明日は遠足なので今からワクワクしている」

「赤ちゃんがニコニコと笑っている」

「たんぽぽの綿毛がフワフワ飛んでいる」


翌日、みんなはこんなことを書いてきていました。


その日の放課後。

私は担任の先生に呼び出されました。


職員室に行くと、不安げな表情の先生が私をむかえます。


彼女は私の手を握って言いました。


「何か悩んでいることがあるんじゃない?」


先生の机には、私が提出した国語のノートが

ひろげられていました。


「モタモタしていて先生に怒られた」

「毎日ビクビクしながら生きている」

「そんなことワザワザやる必要はないと思う」

「オチオチ眠ることもできない」

「みんなが私を見てクスクスと笑っている」


私が昨晩、一生懸命書いた文章が並んでいます。


「隠さないで話してちょうだい」

先生は懇願するように言いました。


「別に何も・・・」


本当に悩んでいることはありませんでした。

私は毎日楽しく小学校生活を送っていたのです。


先生は最後まで納得していないようでしたが、

なんとか家に帰ることを許してくれました。


ヤレヤレ・・・


ちなみに――


私の隣の席だったTくんは、

「運動会では“正正堂堂”と戦いたいと思う」という

答えとしては間違っているけど、

勢いだけはある文章を書いていました。


しかし先生はTくんのことを職員室に呼び出したりは

しませんでした。


ネガティブは、不正解よりも悪し・・・


私は子供ながらにそう思ったのでした。

ネガティブな話①

自分が社長になった夢を見ました。

社長になった私は、たいした能力もないくせに

きいたふうな口をきき、社員から総スカン。


会社としてはそこそこの業績をあげていたにも関わらず、

自己顕示欲におぼれて失脚。


社長職を失い、会社からも追放されていました。


ネガティブな人間はどこまでいってもネガティブなんだなぁ・・・

夢ですら幸せにはなれないのです。


そういえば小学生の頃、あまりのネガティブさに

よく担任の先生を困らせていました。

たとえば、

と、書こうとしたところで、仕事仲間から電話が・・・

どうやらサボっているのがバレたようです。

また怒られるなぁ・・・

つづきはまた夜に――

ヌーベルバーグ

仕事仲間のSさんがオヤツにと、

ロールケーキを1本買ってきてくれました。


なので、私はそのロールケーキを、輪切りではなく、

つまり渦巻きがキレイに見えるようにではなく、

思い切って縦にカットしてみました。


3人いたので3等分に。


やけに細長い、渦を巻いていないロールケーキが

お皿に並びます。


皆さんはロールケーキを縦に切ってみたことありますか?

ロールケーキを縦に切るとどうなるかわかりますか?


答えは簡単です。

ロールケーキを買ってきた人に、ものすごく怒られます。


「なんでオマエはこういうことばっかりするんだ!」


変わり果てた姿のロールケーキを目の当たりにしたSさんが

私を怒鳴りつけます。


「いや、あの・・・前に何かの本で読んだことがあって・・・

こういう食べ方をする国もあるみたいなので・・・」


「子供みたいな嘘をつくな!!」


「!!!」


・・・バレた。

・・・・・・嘘ついてるのがバレた。


こうして私たちは、気まずいおやつタイムを

過ごしたのでした。


ちなみにロールケーキはとてもおいしかったです。

完食。



 ★今日の嘘     → 「いや、あの・・・

                前に何かの本で読んだことがあって・・・

                こういう食べ方をする国もあるみたい

                なので・・・」


                
 ★嘘をついた理由 → 怒られることは予想していたが、

                予想以上に怒られそうだったから

               
                
 ★本当は・・・    → どこの国でも、ロールケーキは渦巻きが

                キレイに見えるようにカットして食べる

                


 ★ロールケーキを縦に切ってみてわかったこと     

    

     ①ロールケーキを縦にカットすると、断面図が美しくない。

      やはり横にカットしたときにできる渦巻きこそが

      ロールケーキの真髄。



     ②ロールケーキを縦にカットすると、やけに細長いケーキに

      なるので、大きめのお皿が必要。


 

     ③定着しているルールには定着しているなりの

      意味と理由がある。むやみやたらに新しいことに

      挑めばいいというものではない。



     ④子供じみた嘘は、普通の嘘より叱られる。


ただそれだけのこと

今日は電車に乗りました。


どうして私が電車に乗るときに限って、

車内にスズメバチが迷い込み、

乗客がプチパニックになるのでしょうか・・・


どうして私が電車に乗るときに限って、

隣に立っている人が両手でつり革を占領し、

私のぶんがないのでしょうか・・・


どうして私が電車に乗るときに限って、

お母さんに抱っこされた愛らしい赤ちゃんが、

けっこうな力で髪の毛をひっぱてくるのでしょうか・・・

どうして私が電車に乗るときに限って、

隣の席に座っている人が熟睡して、

肩にもたれ掛かってくるのでしょうか・・・


どうして私が電車に乗るときに限って、

車内を転がっていた空き缶がコロコロとこちらに寄ってきて

私の足元でピタリと止まってしまうのでしょうか・・・



昔は電車に嫌われているからだと思っていました。


でも少し大人になった今ならわかります。


私と電車は、お互い嫌いあってるわけじゃないんです。


ただちょっとだけ相性が合わなかった。


それだけのことです。




ふと思う

ふと思いました。


絵馬を見に行こう・・・


思い立ったが吉日ということで神社に行ってきました。


ふと思いました。


そういえば最近、「おみくじ」ひいてないなぁ・・・


思い立ったが吉日ということでおみくじをひいてみました。


結果、「半凶」というレアで不吉なものが出ました。


思い立ったがゆえの災難です。


動揺したので、すぐにそのおみくじをポケットにねじ込み

帰ってきました。


ふと思いました。


このおみくじ、どこで保管して、どのタイミングで処分すれば

いいのかなぁ・・・


ふと思いました。


完全に持てあますんだろうなぁ・・・


ふと思いました。


そういえば、絵馬、見てこなかったなぁ・・・


ふと思いました。


私が3日に1度はやらかす、「本末転倒」事件は

こうやって巻き起こってるんだなぁ・・・


ふと思いました。


私は本物のバカだなぁ・・・

練習

先週、まわりの人たちが急に

「イチロー」「イチロー」言い出したので

「何があったんだろう?」と不思議に思っていました。


で、今週に入ったら、まわりの人たちが急に

「イチロー」「イチロー」言わなくなったので、

「どうしたんだろう?」と不思議に思っていました。


どうしても気になったので、

「どうして今週は“イチロー”“イチロー”言わないんですか?」

と仕事仲間に聞いてみたところ、

「なんで今さら、そんな古い話すんだよ」

とちょっと怒ったような声で言われました。


なるほど・・・

どおりでみんな忙しいはずです。


なんだか、むしょうに『ドラえもん』と『サザエさん』が

読みたくなりました。


私はすぐに近所の大型書店へ向かいます。


レジにいた女性の店員さんに

「『ドラえもん』と『サザエさん』を全巻ください」

と告げると、彼女が一瞬ひいたのがわかりました。


すかざず

「来月、甥っ子が小学生になるので、そのお祝いに」

と笑顔で付け加えると、店員さんの顔も笑顔になりました。


残念ながら『サザエさん』は在庫がなかったため、

“お取り寄せ”ということになってしまったのですが、

『ドラえもん』はきちんとプレゼント用にラッピングされて

我が家にやってきました。



家に戻って、すぐに1巻をひらきます。

小学生のころ、何度も何度も何度も読み返したマンガです。


子供の頃に読んでいた多くのマンガは、大学生になる前に

まとめて処分しました。


ですが、ボロボロの『ドラえもん』はどうしても捨てられず、

今でも実家の押入れで大切に保管しています。


久しぶりに読んでみて、やっぱり『ドラえもん』という作品は

一流だなぁ・・・本物だなぁ・・・とページをめくるたびに

感心させられました。


大衆の心をつかむモノが「一流」だとしたら、

そのつかんだ心を離さないモノが「本物」だと思っています。


『ドラえもん』はまさに一流であり本物です。

イチロー選手も本物になれるといいなぁ・・・

ボロボロになっても押入れで大切に保管してもらえるような、

そんな選手になってほしい・・・


ふと、そんなことを思った1日でした。


               ↑


みたいな、いつもとはテイストの違う、少し感傷的な原稿を書かないと

いけなくなり、今、かなりテンパっています・・・


とりあえず『ドラえもん』とイチロー選手の話で無理やり練習してみましたが、

途中からわけがわからなくなりました。


ダメだなぁ・・・気持ち悪いなぁ・・・キャラじゃないなぁ・・・恥ずかしいなぁ・・・


携帯電話がなりました。


「おい、五流ライター! いいかげん仕事しろ!」

マズイなぁ・・・ものすごい怒ってるなぁ・・・恐いなぁ・・・書けるのかなぁ・・・




 ★今日の嘘     → 「来月、甥っ子が小学生になるので、そのお祝いに」


                
                
 ★嘘をついた理由 → 「この人、大人なのに、平日の昼間に本屋来て

                 『ドラえもん』と『サザエさん』を全巻

                 欲しがってる・・・どうせ一気に読まないんだから、

                 ちょっとずつ買えばいいのに・・・

                 頭の悪い人だなぁ・・・」と

                店員さんに思われていそうで怖かったから。

               
                
 ★本当は・・・    → 自分で楽しむためだけに購入

                


プロ

歌手に対して、「歌、うまいですね~」とか


野球選手に対して、「野球、うまいですね~」とか言うのは

失礼だという風潮があるようで・・・


うまいのが大前提であって、だからこそプロなのだ――

というのがその理由のようです。


今日は、料理教室で知り合った方からメールをいただきました。

こんなふがいない私を夕食に誘ってくださったのです。


以前ブログにも書きましたが、ある事情により、料理教室では

私はメーカーに勤めるOLということになっています。


なので彼女は私がライターだということを知りません。


私は彼女にメールを返しました。


するとまたすぐに彼女から返信が。


文面はこうです。

「Mさんのメールって、文章が支離滅裂ですね(笑)」


「ガーン」

言葉に出して言ってみましたがショックはやわらぎませんでした。


私が送ったメールの内容は、

 ・「夕食には行きます」という意思表示

 ・「日時はどうしましょう?」という疑問

 ・「楽しみにしています」という社交性


大きくわけてこの3つです。全部で6行ぐらい。


そのメールが支離滅裂なのです。

もう救いようがありません。


褒められているのに、「失礼だ!」と怒っているプロの方々に

きっとこの気持ちはわからないでしょう・・・


「切なさ」と「情けなさ」を足して2で割ったら

「愛しさ」になっちゃったような複雑な心境です。


彼女のメールの最後につけられた、

「(笑)」がやけにリアルで頭から離れません。