夕方、息子の急な発熱。
小児科で診察を受け、薬を処方して貰っている最中に
1歳半の息子は目を見開いたまま意識不明になった。
先生を呼んで、夢中で息子の名を呼び続けた。
診察中、息子の呼吸が止まり、右腕だけがバタンバタン
不自然に動き続けた。
点滴と看護の中、告げられた。
「救急車を呼びました。息子さんの脳に障害が出ているかもしれません。」
救急車が到着すると、先生も一緒に乗り込み私たちに付き添って下さった。
救急車内で息を吹き返し、小さな泣き声を2回あげる息子。
視線も定まり、目が合った。
総合病院に到着するなりストレッチャーに乗ってCTやレントゲンなどの検査。
先生や看護士さんが怒鳴りながら走ってくれた。
泣きながら検査を受ける息子。
可哀想だが、息子の泣き声に安堵する自分がいた。
「生きている」泣き声。
私は何も出来ず、ただただ息子の名を呼び続けた。
検査が終わり、看護士さんが息子を返してくれた。
「これから入院していただきます。先生からお話があります。」
息子を抱きしめると吐瀉物と汗の匂い。頬ずりして体中をなでた。
動かなくなった右腕も。
「検査結果では脳の異常は見あたらないのですが、右腕の麻痺が気になるので入院していて下さいね」
病室に通され、少し元気になった息子におっぱいをあげながら
これまでの事、そして彼のこれからの人生の事を考えていた。
混乱しつつも、「全部を受け入れなければ。息子の幸せのために何が出来るのか考えろ。」
と自分に言い聞かせ、猛スピードで思いを巡らせていた。
生きてる。
生きていてくれた。
生まれてきてくれた。
だから大丈夫。母ちゃんと父ちゃんが応援しつづける。
全力で君を守る。
そんな事を考えながら、ふわふわの頬に唇を押し付けようとした瞬間
ググググググ
私のおでこを押し戻す息子の右手。
「動いたーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
喜びのあまり、ワンワン泣き叫ぶ私。驚く息子。
と同室の方々。
実に2時間の右肢麻痺であった。
その後順調に回復し、呼吸停止から5時間後には
ベッドの上で歌い踊るいつもの息子の姿があった。
こんな事があるまで
私は夢のような幸せな時間を過ごせていた事に
気づいていなかったのだ。
子供の病気や怪我、障害は
決して対岸の火事ではないのだ。
我が子を失いそうになって、少しだけわかった。
君との時間を大切にします。心を尽くします。
検査の結果は複雑型熱性痙攣というらしい。
この手の痙攣は、まれにこんな麻痺症状を体に残す事もあるとの事。
人によっては2日麻痺が続いたりするらしい。
退院まで、息子はたくさんの点滴と検査を受けた。
結果、脳波に異常は無いく後遺症や脳の奇形もなく退院できた。
息子よ。
退院おめでとう。
発作を起こすのが、1~2日ずれてたら
危なかったね。
香港に行く直前で
本っ当~~~~~~~~~~に
良かったね。
とても人懐こかった息子が
白、水色、薄ピンク、緑の制服を着た人を見ると
泣き叫ぶようになってしまった。
恩人に後ろ足で砂をかける息子。
親として、たしなめるべきなのか。
息子回復により
以前のダメ母に戻ったオカンです。