テレビのドラマも旅番組もバラエティも、とうとう再放送とか、

過去の再編集版になってしまった。

新型コロナウィルスの影響もここまで来たか、

新作ドラマは途中でストーリーが止まってしまうので、

興覚めしてしまうが、この状況下では致し方無い。

出来れば、数話分をダイジェストにしてからの再スタートを希望したい。

 

という事で、ニュース番組以外は観なくなったので、この【おうちでCONCERT】である。

DVDやBlu-rayを買っても1、2回しか観ていないので、いい機会だと思う。

 

 

今回はデペシュ・モードのアルバム『EXICITER』ツアー、

2001年8月15日のロサンゼルス公演の体験談と、

そのツアーを収めたDVD 『one night in paris』をご紹介。

もう、20年近く経つんですね。時間の早さに驚いてしまいます。

 

アルバム『EXCITER』(2001)

 

 

この2000年前後はだいたい毎年、海外にコンサートを観に行っていましたね。

ロック・パイセンの姉と一緒ですけど。

まだまだお金に余裕があった時代です(笑)。

 

 

まず、デペッシュ・モードは日本には80年代に来日して以来、

来日はなく、アジア・ツアーで韓国やシンガポールへ来ても、

日本には寄らないという、淋しい状況である。

やはり2万人を満杯にするだけの集客力はない、ギャラが高い、というのが理由だろう。

CMではカヴァーではあるが「Can't Get Enough」や「personal Jesus」が使われるので、

それなりに需要はあると思うのだが...。

 

そうなると、海外に行くしかないし、旅行会社もそんな我々を応援してくれる時代であった。

チケットの手配は基本、インターネットを活用するのだが、

それでも取れないときは、旅行会社が取ってくれたりしてくれるのだ。

デペッシュ・モードは人気が高いのでチケットを依頼した。

 

        TOUR POSTER

 

 

場所はロサンゼルス、ステイプルズ・センターである。

ロスと言えば、ザ・フォーラムやハリウッド・ボウルが有名だが、

この時期に出来た新しいアリーナであり、

ロスの中心部にあるのでザ・フォーラムに比べると、格段に行きやすいし安全である。

ホテルから歩いて行けるのは、ライヴが遅くから始まる海外では嬉しい。

帰りの電車などの混雑を考えれば、日本よりも快適なライヴ体験が出来る。

 

 

ステイプルズ・センターはグラミー賞の会場として近年、使われているが、

NBAのロサンゼルス・レイカーズ、クリッパーズ、

NHLのロサンゼルス・キングスの本拠地として有名である。

 

会場内は代々木オリンピック・プールや埼玉スーパーアリーナ、横浜アリーナといった、

縦長のであるが、天井が高く、それらより1.5倍はある感じである。

座席はステージの向かって左側の中央くらいか、

若干、距離はあるが、スクリーンを多用する彼らのライヴでは、

全体が見渡せるので、このほうが見易いと思う。

ストイックな表情なので、ルックスを見るアーティストでも無いしね。

それより問題は前列のデカい兄ちゃん達の壁である。

立たれると殆ど前が見えない(笑)。

 

海外の場合はメイン・アクトの前に前座が付く事が多い。

今回は‶POE"という地元ロサンゼルスのバンドらしい。

詳細はよくわからないが、こんな大きな会場で出来るのだから超ご機嫌だ。

しかし、まだ会場は半分ぐらいしか埋まっていない。

しょうがないけどね、皆、メイン・アクトの時刻に合わせてくるからね。

 

前座が終わって、予定時刻を30分ちょっと過ぎてから、暗転。

怒号のような野太い歓声が会場内を渦巻いて、恐ろしいくらいの盛り上がりになる。

いよいよデペッシュ・モードの登場だ。

 

ヴォーカルのデイヴ・ガーン、ギター&キーボードのマーティン・ゴア、

キーボードのアンディ・フレッチャーの3人に、

サポートでドラムやキーボード、バック・コーラスが付く。

意外と大所帯である。

 

前置きが長くなってしまったが、

デペッシュ・モードを見るのは、1998年のベスト盤ツアー以来の2回目である。

彼らはライヴ・ツアー中、選曲は殆ど変えないので、

ここからはDVDのパリ公演を観ながらで行きたいと思う。

 

 

 

オープニングはアルバム『EXCITER』からの、

1stシングル「Dream On」のギター・イントロからのスタート。

赤い照明に照らされた会場は異様などよめきで彼らを迎える。

 

 

 

右肩に羽根を付けた白衣装のマーティン・ゴアによる、

「Dream on - Guitar Intro」から既に拍手喝采だ。

打ち込みのようなサウンドの彼らだが、

ライヴでは、コンピュータを使うものの、基本は生ドラムである。

 

 

「The Dead Of Night」から黒衣装のヴォーカルのデイヴ・ガーンが加わると、

会場が更に盛り上がる。

この野太い、低い声の存在感は圧倒的だが、会場を煽るものの、演奏は非常にクールだ。

 

次の「The Sweetest Condition」までは『EXCITER』から。

 

「Halo」はアルバム『VIOLATOR』、

「Walking In My Shoes」は『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』から。

ヒット・アルバムの曲で会場内の温度を上げる。

それにしてもデイヴはよく動く。音のイメージからするともっと静寂な感じなんだけど(笑)。

既に上着を脱ぎ捨て、上半身裸だ。

これにはプリンスも真っ青である(笑)。

刺青も凄く、この辺は日本人には今ひとつピンとこない。

 

「Dream On」は1stシングルなのでひと際、歓声が上がる。

それまで単色で彩っていたスクリーンが、シルエットを大きく映す彼らのお得意の演出に。

ここから数曲、アルバム『EXCITER』から披露。

彼等は今でもアルバムのツアーをしているが、

ヒット曲よりも最新アルバムをきちんとサポートする曲構成なのも素晴らしいところだ。

ただ、単に盛り上がるだけのライヴでない、彼等の主張が感じ取れるし、

だからこその現役感がある。

 

 

バラードの「When The Body Speaks」からはデイヴも落ち着いて、じっくりと歌う。

『VIOLATOR』からの「Waiting For The Night」では波紋と雨の映像が。

 

「It Doesn't Matter Two」と「Breathe」はマーティンが歌うソロ・コーナー。

この辺はストーンズと似ているか? ちょっとお休みタイム的である。

前曲はアルバム『BLACK CELEBRATION』からでギターを置いて歌う。

 

モントリオールのブートレグ映像。

 

「Breathe」で弾いているのは、『EXCITER』仕様のグリーンとブラックのギターで、

オリジナルっぽいなぁ。とてもオシャレで高そう(笑)。

YouTubeで観れるモントリオールのブートレグ映像では、

この曲のバックにアルバム・ジャケットの植物が映されるのだが、

パリのDVD映像には何故か、映っていない。

これは記憶があるので、ロサンゼルス公演でもやっていたハズだ、ちょっと残念!

 

  速弾きはしないけど印象的なフレーズを弾きます。

 

「Free Love」でデイヴが戻ってくると、流石に反応が違う。拍手が沸き起こる。

ここまでがアルバム『EXCITER』を聴かせるプロモーションだ。

 

 

『VIOLATOR』からの「Enjoy The Silence」のイントロが流れると、

会場はここまでの鬱憤(?)を晴らすかのように、一気に加速し、爆発する。

ここから怒濤のヒット・アルバムからのベスト選曲だ。

大好きな「Enjoy The Silence」では、サビを会場に歌わせる演出がいい。

歌ったなぁ、大声で。まぁ、前後の外人の馬鹿デカイ声に打ち消されてしまったけど(笑)。

会場の大合唱の凄さは忘れられない。

 

デペッシュ流ロックン・ロールの「I Feel You」は、

シルエットを使った演出とストロボ照明で煽り、挑発する。

 

小魚の映像を使った「In You Room」は、曲が変調すると、

大きな鮫が現れる演出に度肝を抜かれた。

これは会場の方が断然効果を発揮していて、残念ながらDVDでは半減してしまう。

 

  鮫が....。

 

「It's No Good」ではモノクロの映像が流れ、歓声が上がる。

マーティンがチャック・ベリーばりのダック・ウォークを披露する。

 

デイヴが珈琲を飲む映像。   

 

「Personal Jesus」ではオープニングと同じ赤い照明で盛り上げる。

ヒット曲だけに会場はお祭り騒ぎで大声で歌い捲る。

それにしても、特に凄い演奏力を持っているわけでもなく、

歌が滅茶苦茶上手いわけでもないが、

トータルの見せ方、聴かせ方が、本当に上手いと思う。

 

とにかく、動きがあるのはこの人が殆ど。

 

 

アンコールはマーティンのソロで「Home」を。

 

「Condemnation」からデイヴが加わり、ソウルフルに歌い上げる。

そう、この手の打ち込みバンドの場合、ヴォーカルは線の細い声が多く、

デイヴの野太い声は稀である。

黒人女性のバック・コーラスを従えた歌声は、正しくゴスペルだ。

 

「Black Celebration」では手書きの文字やイラストを使った映像が流れ、

ちょっと目がチカチカしてしまうほど、せわしない感じだ。

DVDのパッケージにある人のようなキャラクターはこの映像からである。

 

 

 

ラストはデペッシュ流ロックン・ロールの「Never Let Me Down」。

ディストーションの効いたギターは会場の方が、歪んでいて強力な音だった気がする。

大音響だったしね。

これも大合唱の1曲。デイヴがマイクを会場へ向けると、皆、大声で歌う。

ストロボ照明が眩しく、ラストを盛り上げる。

 

 

全体的に映像と照明を巧みに使ったシンプルなステージングだが、

音圧の凄さはハンパなかったし、

前半を最新アルバム『EXCITER』をメインにじっくり聴かせる曲で纏め、

後半はヒット曲で盛り上げる流れがスムーズで、メリハリがあった。

 

ベスト盤ツアーより聴かせる内容だったと思う。

 

ここまで書いていて、もう1人のメンバー、アンディだが、残念ながら映像での存在感は薄い。

だが、プログラミングやサウンドの軸のキーボードは彼によるものだ。

と、思ったら、弾いてない時もあるなぁ(笑)。

いや、重要な役割を担っているんでしょう、そういう事にしておきましょう(爆笑)。

 

  僕が存在感のないアンディ・フレッチャーです(笑)。

 

 

[演奏曲目]

 

01) Dream on - Guitar Intro

02) The Dead Of Night

03) The Sweetest Condition

04) Halo

05) Walking In My Shoes

06) Dream On

07) When The Body Speaks

08) Waiting For The Night

09) It Doesn't Matter Two

10) Breathe

11) Free Love

12) Enjoy The Silence

13) I Feel You

14) In You Room

15) It's No Good

16) Personal Jesus

 

Encores

17) Home

18) Condemnation

19) Black Celebration

20) Never Let Me Down

 

       

 

ライヴ後は、急いでホテルへ戻る。だってもう23:00を周っているからね。

幾ら、歩いて帰れると言っても、やはり、アメリカ、ロサンゼルス。

危ない、と思わなくなったら、ダメだね。

 

この後、同会場でエリック・クラプトン、

ユニヴァーサル・アンフィシアターでスティーヴィー・ニックスを観る予定だったのだが、

スティーヴィーは体調不良のため、キャンセルとなってしまった。

海外の場合、こういう事は珍しくないが、

目の当たりにすると、そのショックは計り知れない。

そして、帰国後、意を決して、10月の振替公演へ再戦しに行こうとしたら、9・11である。

ついていない時は本当についていない。諦めるしかなかった、苦い思い出である。

 

それでも、デペッシュ・モードをちゃんと観れただけ、良かった。

映像を巧みに使った演出は、芸術的なセンスで溢れていたし、

ファンの盛り上がりは、尋常じゃない。

なぜこんなにも彼らの音楽がアメリカで受けるのが、今回もよくわからなかったが(笑)。

音楽的にもセンス的にもヨーロッパだものな、不思議。

 

このパリ公演もロサンゼルス公演と同等の内容ではあるが、

あの会場の盛り上がりの凄さは、その場所でないと伝わってこないなぁ。

写真家のアントン・コービンによる綺麗な映像で、

メンバーの表情がしっかり読み取れるのだが、

やっぱり生には敵わない、という結論に至るのである。

 

DVD 『one night in paris』

 

 

そう、大声で「Enjoy The Silence」を皆で歌った気持ち良さはDVDでは無理です。

当たり前だけど(笑)。