[QUEEN/JAZZ TOUR・日本武道館・1979年4月14日]

 

 

新型コロナウィルスにより、長期外出自粛を強いられて、

家にいる時間が多くなっているので、

ストレス解消も含めての、この【おうちでCONCERT】。

 

ロック歴43年の僕が体験した気になるコンサートやビデオ、DVD、Blu-ray等の映像を、

オフィシャル、ブートレグ、YouTube、個人音源等からピックアップする。

 

 

 

アルバム『JAZZ』

 

  封入されたポスターに中学生はドギマギ♡

 

 

まずは、クィーンの『JAZZ』ツアーから日本武道館での東京公演2日目の、

1979年4月14日公演をご紹介。

何を隠そう、ライヴというものに初めて行ったのがこの公演。

初ライヴ、初日本武道館、初クィーン、といった初尽くめ。

 

 

残念ながら、オフィシャルではこの公演を体験する事は出来ないので、

ブートレグに頼らざるを得ない。

 

  『LET US ENTERTAIN JAPAN』

 

音質もそれほどいいとは言えないものの、あの日の衝撃を追体験するには充分だ。

 

 

この盤の後には以下のような音質の良いものも出回っているようだ。

 

  『BUDOKAN 1979 2ND NIGHT』

 

  『BOOTLEG RACE』

 

 

30年も昔の事を詳細に覚えてはいない。

朧げな事も多いし、間違った記述をするかもしれないが、

人の記憶なんてそんなものだし、難しい事抜きでいきたいと思う。

 

       フライヤー。

 

 

日本武道館は北の丸公園の中にあるのだが、

都心のど真ん中にある割には、交通の便はあまり良くない、というか、

国鉄(今のJR)がメインだったこの頃は、地下鉄の駅には殆ど馴染みがなかったから、

どうもいう経路で最寄りの九段下て駅まで行ったかは覚えていないが、

九段下駅まから日本武道館へ行ったのは間違いない。

 

  日によって色違いのチケット。

 

 

勿論、同行者はクィーン・ファンの姉である。

元々のチケットは、確かに2階席であまりいいとは言えないものなのだったが、

姉がよくレコードを買っていて、仲良くしていただいた、

大井町の阪急百貨店内にあった山野楽器のお姉さんのご厚意により、

アリーナ席に代えて頂いたのだった。

3列目、向かって左のPA前、お立ち台の辺りだった。

3列目といってもカメラ席があるので、5メートルくらいは離れている。

六角形の日本武道館の天井からは日の丸が垂れ下がっているのも初めて見た。

 

  ロジャー席が後ろに!

 

 

ステージは思ったより小さく、黒い機材の色もあって、地味な印象だ。

記憶ではPAからはクラッシックが流れていた気がする。

開演予定時刻を20分ぐらい遅れての19:00少し前に暗転し、歓声が沸き上がる。

勿論、既にスタンディング状態だ。

そこへ爆音で雷鳴が鳴り響き、ライティング・システムが上に上がっていく。

スモークが焚かれて、眩しいライティングが目映いばかりである。

 

 

 

その中から最初に現れたのは、愛器レッド・スペシャルをかき鳴らしたブライアン・メイだ。

あんなに爆音が響いていたのに歓声で音が良く聴こえない。

スモークの量も半端なく、フレディ・マーキュリーが歌い出しても、

その姿を確認出来たのは、ブライアンがギター・ソロを取った時で、

こちらのお立ち台にやってきた時だ。

それにしても走りながら歌うフレディの姿は予想以上に激しい。

 

 

 

オープニングの「We Will Rock You」は殆ど聴き取れないというか、

興奮の坩堝でなんだかわからない状態であった。

フレディの‵こんばんは、いかがですか?´のMCでさらに歓声が沸き上がる。

‵私達は日本にまた来れて嬉しいです´と流暢な日本語を続ける。

2曲目の「Let Me Entertain You」もそのような混乱状態が続き、

3曲目の「愛にすべてを」を演奏するためにフレディがピアノに着くと、

僕らの席からは、凄く近くなったし、周りのファンの歓声も一際高くなった。

ブライアンも日本語で挨拶しようとするが、‵良く聴こえますきぃ´となってしまう。

本当は‵良く聴こえますか?´と言おうとしたのだろう。

クィーンのライヴは写真やブートレグで疑似体験はしていたものの、

やはり、本物は違う。生は違う。

 

今まで小さく思えたステージが開演と同時に大きく、広く感じたのは、

まさにクィーンの大きさと言えるだろう。

縦横無尽に動き回るフレディに圧倒されっぱなしだ。

 

 

 

「愛にすべてを」の冒頭のアカペラ・コーラス部分はフレディ単独のアドリブだった。

なるほど、ゴスペルだ(笑)。

中学生のロック小僧には、クラッシック、オペラは学校で教わるが、

ゴスペルがなんだか、この頃は知らなかった。

今みたいな情報過多の時代ではないので、

事前に読んだ雑誌のコンサート・レポート等も不確かな部分が多かったから、

こういった、スタジオ盤とライヴ・ヴァージョンの差までは書き切れていなかった。

若干、声が擦れ気味だな、とは思いつつも、

目の前にして聴いたら、そんな事は些細な事でしかない。

今ではフレディばかりがクローズ・アップされがちだが、

ライヴにおいてはバンド・サウンドを重視したアンサンブルであり、

特にドラムのロジャー・テイラーのバック・コーラスの比重は大きい。

この曲においては、その効果が充分感じられたし、

スタジオ盤とは違った感触ながらも、物足りなさを感じる事はなかった。

勿論、視覚面の影響もあるだろう。

フレディはずっとピアノを弾いているわけではなく、

ヴァースが変わるとすぐにハンド・マイクに持ち替えて、ステージ中央へ出向いてしまう。

そうそう、あの途中までのマイク・スタンドはスタッフから渡される時に使われるのも、

自分の席からは、はっきり確認出来た。

ステージ・アクションを決めるだけの、ただ単に中途半端ではないのである。

 

「うちひしがれて」はジョン・ディーコンの曲で最新アルバム『JAZZ』からの曲。

情報の少ない中で、演奏曲目を事前に知る事は出来なかったので、

この曲が演奏されたのは意外だったし、

後半の演奏部分でフレディもピアノを弾いて、音に厚みを加えていた。

ともするとフレディに注目が行きがちがちなところを、

演奏を聴く限りでは音はバンドだなぁ、と思わせてくれたのは、

この頃までの特徴かもしれない。

 

「Death On Two Legs』からはメドレーで数曲が連続で演奏される。

今、音を聴けば、イントロのピアノでフレディの演奏技術の高さを感じるが、

フレディがピアノに着くたびに席周辺はパニック状態なので、

音を聴いているどころではないのである。

「Killer Queen」、「Bicycle Race」と続き、「I'm In Love With My Car」へ。

今では信じられないほどの、日本ではフレディ以上の人気の高かったロジャーが、

ヴォーカルを取るこの曲になると、歓声も異常なまでに。

ただ、僕らの席からはドラム・セットは見えるものの、ロジャーの顔は殆ど見えない。

姉はロジャー・ファンなので、中々、キツいところだ。

多分、このツアーが一番、ドラム・ジャングルと言われていたセットでMAX、

まともな席でも顔は見えないだろう。

姉は後日、ロジャー席(ステージ後ろ)で観覧して満足していたのだった。

アリーナ席よりステージが近く、ロジャーに触れそうだった、と豪語していた。

「Get Down Make Love」では中間部でスモークとカラフルなライティングによる、

ライト・ショーが幻想的な雰囲気を醸し出す。

次のポップな「You're My Best Friend」までがメドレーであった。

「Killer Queen」では‵Paris´を‵Tokyo´に歌詞を代えて歌ってくれた。

 

 

 

‵一緒に歌ってください´とフレディ。

いっぱい日本語を練習してきたようだ。

「誘惑のロックン・ロール」では観客とのコール&レスポンスが。

情報がない時代、まだフレディの、このパフォーマンスもお馴染みではないので、

これにも吃驚であった。

初ライヴ体験の僕も、大きな声を出していた記憶が残っている。

ちょっと、クドイ感じからか、笑いも起こっていたなぁ。

これでもか、と言わんばかりである(笑)。

完璧なライヴの中にも、しっかりそういう部分もあるのが意外だったし、面白かった。

その後のエンターテイメント性の高いライヴに繋がったのだと思う。

初期のクィーンのライヴではそういう演出は、ブートレグで聴く限りでは皆無だった。

 

来日記念シングルにもなった「Don't Stop Me Now」は、

ゆったりしたイントロ部分の歌はカットされ、

ブライアンがギターでメロディを弾いていた。

アップ・テンポからフレディが歌い出すアレンジ。

ピアノを弾きながら歌う姿がカッコ良く、中間部ではまたもステージ中央へ飛び出していった。

中間部はアドリブでエクステンデッドされていた。

それにしても本当にフレディは、良く動く。

 

続いて、「Death On Two Legs」のピアノ・イントロに似たフレーズからの、

しっとりした「永遠の翼」が演奏されるが、

サビを低いメロディで歌われるのには違和感があった。

海外ではタイトル部分が大合唱になるのだが、日本では期待通りにはならず、

この日以降、「手をとりあって」に変更されてしまう。

今思うと人気曲でもある「Don't Stop Me Now」と「永遠の翼」が演奏されたのは、

日本ではこの『JAZZ』ツアーのみである。

特に「永遠の翼」は日本武道館初日とこの2日目、

大阪初日の3公演目までなので貴重 (福岡でもやっている記述あり/未確認)。

まぁ、「手をとりあって」も聴きたかったけどね。

 

ここでライヴはアコースティック・セットに移るため、

ステージ前方にミニ・ドラムやマイクや椅子がセッティングされる。

ロジャーが前に出てくるため、もう客席は地獄絵図である。

ブライアンの‵良く見えますか?´とのMCもロジャーへの歓声で無視されてしまう。

哀れなブライアン(悲)。

 

「Dreamer's Ball」はシンプルなアレンジで、

ここまでの緊張感が、若干、緩んだ、ゆったりした雰囲気がいい感じだ。

ブライアンのアコースかティック・ギターの響きが美しい「Love Of My Life」は

ライヴならではのアレンジだが、今ではこのほうが馴染み深いだろう。

残念ながら、このアレンジ初体験の日本の観客からは、

まだ合唱が起こらないのは仕方のないところ。フレディの独唱で終わった。

来日後の『LIVE KILLERS』を聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。

手元にある音源には、『LIVE KILLERS』のようなブライアンによるメンバー紹介は、

収録されておらず、残念ながら、この公演では行われていないようだ。

「'39」はアルバムより活気があり、中間部のフレディ、ロジャー、ブライアンによる、

三重コーラスもとても美しかった。

 

 

  

 

 

ブライアンがレッド・スペシャルに持ち替えて、「It's Late」のイントロをゆったりと長めに弾く。

大音響で響き渡る、このイントロはスタジオ盤のしっとりとしたものとは違って、

重厚でハードエッジなロックを感じさせてくれた。

アルバム『世界に捧ぐ』の中でも大作なこの曲での、

ブライアン、ロジャー、ジョンによるメリハリの効いた演奏の高さが素晴らしかった。

 

「Brighton Rock」ではブライアンの長いギター・ソロがフューチャーされるのだが、

ロジャーのティンパニ・ソロを加えた構成にビビッてしまった。

そう、ここでティンパニは使われてたのだ。

先に行われていた海外公演の写真を見た時は、まさに謎だった(笑)。

そのソロが終わると、ロジャーは拳を高く上げてガッツ・ポーズ。

ブライアンが再度現れてギター・ソロを披露。

ブートレグでも聴き慣れたフレーズが飛び交うのだが、アドリブな部分も多い。

日本では、「さくらさくら」を披露する事が多いのだが、

この音源にはカットがあって、これには未収録である。

演奏されたかどうかの記憶も曖昧だ。そのうちに別音源で確かめたいところ。

ひと通り弾き終えると、ロジャーとジョンが加わりで、ジャムが始まったのには驚いた。

バンドは進化している。

    

 

 

 

「炎のロックン・ロール」ではタンバリンを叩きながら、幾つかを観客に投げ入れる。

タイトなこの曲ではクィーン本来のロックン・ロールを体感。

凝ったロックがイメージとしてあるが、

こういう曲を聴くと素晴らしいロック・バンドであることがわかる。

曲中のロジャーによる長めにアレンジされたドラム・ソロにも熱い声援が贈られる。

 

 

 

そして、「Bohemian Rhapsody」へ。

ブートレグを聴いていれば、冒頭のアカペラ・コーラスが省かれているのは、

周知の事実だったし、中間部のオペラ・パートがテープなのも知っていたので、

そんなに驚きはなかったが、ブートレグを知らない人たちは驚いたかもしれない。

代表曲ではあるが、ライヴではもうひとつな感じなのはしょうがないだろう。

元からライヴ映えするような曲じゃないし。

でも大音響でのオペラ・パートは荘厳だし、スモークとライティングも綺麗であった。

ロック・パートからの再登場する演出もカッコ良過ぎだし。

ロジャーが最後に銅鑼を鳴らしてエンディング。

基本、銅鑼はこの時のためだけにセッティングされていた。

 

 

 

「Tie Your Mother Down」ではもうノリノリ状態なので、記憶が曖昧。

ライヴ・バンドらしい演奏で締め括ってくれた。

 

アンコールは「Sheer Heart Attack」。

スタジオ盤での凝ったアレンジではなく、シンプルなロックン・ロールで盛り上げる感じだ。

ブライアンも弾き捲るし、フレディは左右にこれでもかと動き回り、アクションを決める。

個人的には、この曲はアンコール向きではないと思うのだが、

演奏し易いのかもしれないな。

 

     2人の時もあった!?

 

 

2度目のアンコールは「We Will Rock You」と「伝説のチャンピオン」の黄金メドレーだ。

スタッフがスーパーマンの仮装で、銀のスパンコール衣装のフレディを肩車して登場する。

会場はもう最後とばかりに興奮状態がMAXに。

タイトルを思いっきり叫んでいましたね。

「伝説のチャンピオン」はやはり、アンコールに相応しい曲。

誰もが納得のエンディングである。

ライティングが会場を照らすように、ステージに直角になるくらいまで傾くと、

その目映い光の中にクィーンは消えていった。

 

 

 

素晴らしいライヴを讃えるかのように、

テープでイギリス国歌の「God Save The Queen」が流れ出す。

ライティングは消え、定位置に戻されると、

客電が点き、黒い鉄筋のステージの地味な姿に戻っていた。

今、ちょっと前まで観ていたあの光景は何だったんだろう、と思わずにはいられない。

夢心地の世界を見させてもらったのだが、夢だったのかも、とも思ってしまった。

初のライヴ体験は素晴らしかった、と言いたいところだが、

実際のところ、興奮し過ぎて、何がなんだか覚えていない状態であったのが事実である。

 

日本武道館からの家路は、とにかく凄かった、という意見しか出ないくらい、

言葉では表せなかったし、姉も同じようであった。

この後、2回、武道館へ行く予定の姉が羨ましかったのは言うまでもない。

それでも、この『JAZZ』ツアーを体験出来たのは大きかった。

なぜなら、髭のないフレディは、日本ではこのツアーが最後だったからだ。

 

 

  記念パンフレット。大き過ぎてボロボロである(笑)。

 

簡単に追体験をするなら、不完全ではあるが、オフィシャル・ライヴ盤である、

『LIVE KILLERS』が有効である。

 

  『LIVE KILLERS』

ジャケット写真は日本公演のもので、ミュージック・ライフ誌のお抱えカメラマン、

長谷部宏氏によるもの。

 

 

YouTobeやブートレグでは4月25日の日本武道館公演が、

日本テレビの深夜に30分×2週に渡って、ダイジェストながら放送されたものが観れる。

これも追体験には必要かつ貴重な映像である。

 

 

 

QUEEN JAZZ JAPAN TOUR '79

@日本武道館大ホール  1979年4月14日

 

[演奏曲目]


01) We Will Rock You (Fast)

02) Let Me Entertain You

03) Somebody To Love /愛にすべてを

04) If You Can't Beat Them/うちひしがれて

05) Death On Two Legs

06) Killer Queen

07) Bicycle Race

08) I'm In Love With My Car

09) Get Down Make Love

10) You're My Best Friend/マイ・ベスト・フレンド

11) Now I'm Here/誘惑のロックン・ロール

12) Don't Stop Me Now

13) Spread Your Wings/永遠の翼

14) Dreamr's Ball

15) Love Of My Life

16) '39

17) It's Late

18) Brighton Rock ~ Timpani Solo ~ Guitar Solo

19) Keep Youself Alive/炎のロックン・ロール

20) Bohemian Rhapsody

21) Tie Your Mother Down

 

[1stアンコール]

22) Sheer Heart Attack

 

[2ndアンコール]

23) We Will Rock You

24) We Are The Champions/伝説のチャンピオン

25) God Save The Queen