『THE RAINBOW CHILDREN』(2001)は、

2000年代の彼の作品では一番好きなアルバムである。

 

宗教に強く惹かれ、いささか説教臭い歌詞が問題にはなったが、

これぞプリンス!といえる音楽の充実さには目を見張るものがある。

オーディオ・マニアには音の良さにも特筆に値する、と書いておこう。

所々でインパクトのあるキレキレのメリハリのある演奏にハッとさせられる。

 

  『THE RAINBOW CHILDREN』

 

 

同時期に行われたツアーもバラエティな選曲と、

大人なジャジーなサウンドにアーティストとしての年輪を感じつつ、惚れ惚れしたものだ。

そのツアーのタイトルにもなった『ONE NITE ALONE...』はピアノ・アルバムであり、

ファン・クラブ限定でリリースされていたものだ。

そのツアーを収録した『ONE NITE ALONE ...LIVE !』は、

最初、ファン・クラブで先行リリースした後、店頭でも販売されたが、

日本発売はされなかったせいで、あっという間に店頭から消えてしまった作品だ。

元々、高額のため、入荷数も少なかったようだ。

 

  『ONE NITE ALONE...』 (ORIGINAL)

 

  『ONE NITE ALONE...LIVE !』 (ORIGINAL)NIGHTWITHPRINCE

 

  『ONE NITE ALONE...THE AFTERSHOW   IT AIN'T OVER !』(ORIGINAL)

 

それが今回、お手頃な価格設定での再リリース。

日本盤ももちろん販売される。

入手困難な作品がこういう形で、購入し易くなるのは嬉しいところだ。

UPALL

僕はライヴが良くって、

ついリアルタイムでオリジナルを高額で買ってしまったのだが、

今もって、後悔はない。

何故なら、それだけの内容を伴っているからである。

それに結果的に、このツアーが日本での最後のツアーとなったのは残念でならない。

東京、大阪、名古屋はもちろんの事、札幌、仙台、福岡までの広域で行なわれ、

仙台はZEPP SENDAIというライヴ・ハウスなのには驚きを隠せなかった。

選曲も毎回違っていて、ひとつとして同じのはなく、

どのライヴも2時間半を、大阪は3時間を越える、大盤振る舞いだった。

 

僕は東京3公演のみの参戦ではあったが、

武道館1階南の関係者席付近で(前席はクリス・ペプラー氏が女性、彼女?と一緒だった)、

抜群のHi-Fiサウンドをじっくりと堪能することが出来たのは、

今もって至福の時間と言えるだろう。

 

他公演はブートレッグで堪能済。

異常なくらい散財した時期でもある(泣)。

そのくらいこのツアーはどれを取っても最高なのだ。

大規模なワールド・ツアーとしてもこれが最後であった。

特に2010年以降はアメリカ中心のライヴ活動で、時よりヨーロッパへ出向いた程度だった。

 

 

そして、今回の再リリースでは、

映像作品『LIVE AT THE ALADDIN LAS VEGAS』も付け加えられる。

まぁ、この映像は抜粋版で、是非とも完全版を期待したいところだったが、

曲目を見たら、それは期待で終わってしまったようだ...残念 !!

それでも、性的なアピールが無くなり(このへんの事情は宗教に傾いた事がバックにある)、

オーダーメイドのスーツ姿でダンディに演奏するプリンスは、

アーティストとして、とても輝いているのだ。

服を脱がなくても、強烈なシャウトをしなくても、怒涛のダンスをしなくても、

愛器であり、トレードマークでもあるMADCATを爪弾く姿は、

カッコいいのひと言なのである。

 

 

『LIVE AT THE ALADDIN LAS VEGAS』 (ORIGINAL)

 

 

では、今回のリリース。

 

パッケージもモノクロ・イラストに新装されている。

この辺のデザイン変更には?だが、

中にはオリジナル・ジャケットも封入されているので、ご安心を。

 

 

『UP ALL NITE WITH PRINCE  THE ONE NITE ALONE COLLECTION』

 

どれもリマスターされているのだが、

元々、音質がいいので印象はあまり変わらない。

音圧が上がったくらいだろうか。

聴き比べはこれからじっくりしていきたい。

ブックレットの写真等も、それほど変わっていない気がする。

 

 

この後、プリンスは自己のブラック・アイデンティティを再確認するようなアルバムをリリース。

良くも悪くも、一定のレベルは保っていたものの、

レジェンドとして崇められ、教祖的な感じになってしまったのが残念。

もっと音楽的な冒険の旅に連れて行ってもらいたかった。

 

それだけにジャジーなアプローチが素晴らしかったこのツアーが個人的には◎なのである。

 

では、今宵は素敵な大人のプリンスを堪能しよう。

 

 

ONE NITE ALONE..?

いいや、君はひとりじゃない、プリンス。

あんなに大勢の人を共感させ、感動させられるのだから。

 

   

 

   

『ONE NITE ALONE TOUR』より。シックな装いに紫を基本としたステージ、カッコ良かったな。

 

 

 

LOVE GOD ♡