とあるワナビーのライトノベル作家になるための追憶 -2ページ目

とあるワナビーのライトノベル作家になるための追憶

ライトノベル作家・小説家・脚本家・ゲームシナリオライターになるために、ワナビーが日々精進するサイト。ライトノベルの感想。おすすめのライトノベルの紹介。

 

最高評価S~最低評価F 

【文章力】A

【構成力】A

【キャラクター】A 

【設定】A 

【総合】A

 

【あらすじ】

 

出版大手「薫風社」で、カルチャー誌の編集長を務める速水輝也。笑顔とユーモア、ウィットに富んだ会話で周囲を魅了する男だ。ある夜、上司から廃刊の可能性を匂わされたことを機に組織に翻弄されていく。社内抗争、大物作家の大型連載、企業タイアップ…。飄々とした「笑顔」の裏で、次第に「別の顔」が浮かび上がり―。俳優・大泉洋を小説の主人公に「あてがき」し話題沸騰!2018年本屋大賞ランクイン作。 

 

【感想】

 

すごく面白かった。なにせ出てくる登場人物が個性がありつつ魅力的で、キャラクターが物語を動かしていくのを感じる。

編集長の速水が無理難題、多くの問題を抱えるようになり、それを必死に乗り越えようと奮闘する様は、読んでいて自然と応援したくなった。

速水が頑張っていくのに、状況はどんどん悪くなって、最後には窮地に立たせられる。いったいどうやってこの物語を閉じるのだろうと考えていたら、全く予想外の方法でクライマックスを迎えた。

この小説の評価はエピローグをどう読むかで決まると思う。

エピローグでそれまでの物語の印象をがらりと一転させる手法はよく使われるが、この小説ではそれが速水の人間性にまで及ぶ。これまで主人公の立場で読者に感情移入させていた速水の内面性がひっくり返るので、それを面白いと思うか、それとも逆に裏切られたと感じるか。

裏切られたと感じたら、まさにタイトル通りなのだが、もしかしたら読後感は悪くなってしまうかもしれない。

 

けれど総じて質は高く。最後まで楽しんで読めた。エンターテインメント作品としてのクオリティは非常に高い。

また出版業界の情報が沢山詰まっているので、本好きの人はその部分も楽しめるだろう。

 

最高評価S~最低評価F 

【文章力】B 

【構成力】C

【キャラクター】D 

【設定】C

【総合】D

 

【あらすじ】

 

医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼い頃から快楽のための殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の4人の息子―クラーク、ジャック、マーク、スターク―の中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりであると。

 

【感想+ネタバレ】

 

不穏な雰囲気で物語は始まる。なにせ殺人を愛する殺人鬼の日記で始まるのだ。そしてその日記を見たメイドのジニーの日記が描かれ、その後は交互に日記を読むことでストーリーが進んでいく。

正直言うとこの日記形式の物語が肌に合わなかった。物語という感じがしないのだ。長い台詞を交互に言い合っているような印象を受けて楽しめなかった。

さらにこの小説は、殺人狂の日記の書き手は誰なのかという謎で物語を展開させるのだが、そこにあまり興味がわかなかった。容疑者はマーチ博士の4人の息子なのだが、そもそも日記形式での紹介なのでそれぞれの人物がどんな人なのかいまいちよくわからないし、正直誰でもいいかなという気になってくる。

もしかしたらこの人かも、でもこの人であって欲しくない、まさかこの人ではないだろうなという一緒に推理を行うような感情が湧いてこない。

 

そして最後にどんでん返しがあるのだが、個人的にはあまりフェアではないように感じた。というか、その人物が犯人なら、なぜ犯人がそういう状況で生活しているのかという動機、これは本人も周りの人物もなのだが、それが弱い、説得力に欠ける気がした。

 

こういう形のミステリーを読んだことがなかったので、その点は新鮮だった。

 

最高評価S~最低評価F 

【文章力】B 

【構成力】A

【キャラクター】B 

【設定】A 

【総合】A

 

【あらすじ】

 

突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。
<私たちが誘拐したのは以下の人物です>という文言とともにサイトで公開されたのは、6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。
果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。
そして写真の男たちは何者なのか。
半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、誘拐サイトは“驚くべき相手"に身代金を要求する――。日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!

 

【感想】

 

読み始めてすぐに物語の世界に引き寄せられた。まるで自分がその世界のその場に居合わせて、その事件を目にしているかのような錯覚。次はいったいどんな情報が流されるのだろう。どんな展開になるのだろうと興奮を覚えながらページを捲った。

視聴者の一人のように、登場人物の人々が願ったように劇的な展開になることを期待した。

物語は様々な視点で描かれる。そしてそれぞれの守りたいもの、欲望、策略は異なる。誰が自分の欲求を叶えることができるのか。誰が相手より一歩先を読むことができるのか。はらはらしながら読み進めた。

 

結果。なるほど、そういう終わり方かと納得した。

綺麗に、それでいて後味が悪いような終わり方ではなかった。

読み終わった後にすっと余韻に浸れた。

面白い小説でした。