「最後にひとつ、言わせてください。
開会の言葉である生徒さんが
『今まで自分は協調性がなかったけれど、演劇を通じて変わることができた』というお話をされていました。とても良い話を聞かせてもらいました。ありがとう。」
講評を終えた先生が、司会の先生からマイクをもう一度受け取り、舞台袖で話した言葉を聞いて
私の斜め前に座っていた女の子が泣き出した。
きっと、彼女が "ある生徒さん"なのだろう。
私は仕事帰りにここへ来たので
開会の言葉は聞いていない。
しかし、先生が盛大な拍手を遮ってまで
どうしても気持ちを伝えたくなったこと、
彼女の両手で顔をおさえて泣きじゃくる横顔を見て
きっと、とても素直で素敵な言葉を話していたのだろうと思わずにはいられなかった。
良かったと思ったこと
感動したこと
感謝の気持ちなど
プラスの言葉はやはり伝えることが大切で
送る側も、受け取る側も、
そこに居合わせた人たちをも幸せにする
最高のプレゼントだなあ…
なんてことを考えながら
まだ暑さが残る夕暮れの中
私は家へと自転車を走らせた。