フィナーレを迎えた直後の、重く甘い静寂。しかし、マチューの瞳にはまだ、抗いがたい熱がくすぶっていた。彼は繋がったままの葵を力強く抱き上げると、シーツの温もりを惜しむこともなく、足元に散らばる衣服を蹴散らして浴室へと向かった。葵の細い腰に回した彼の腕は、除雪作業員特有の鋼のような硬さを秘めており、揺れる葵の身体は完全に彼に支配されていた。
浴室の冷たいタイルが、火照った肌に心地よい刺激を与える。マチューは葵をバスタブの縁に座らせると、蛇口をひねった。降り注ぐシャワーの湯が二人の汗ばんだ肌を洗い流していくが、彼の独占欲はそれだけでは満たされない。
「Il n'y a pas de repos pour toi, Aoi.(葵、君に休む暇などないんだ)」
マチューは葵の背後に立ち、その髪を濡らしながら、耳元で低く囁いた。水滴が彼の筋肉質な胸元を伝い、葵の肌を濡らす。彼はそのまま葵の身体を抱き抱え、湯が溜まり始めたバスタブの中へとゆっくりと沈み込んだ。湯船の中で再び二つの身体が重なると、冷えていた肌が瞬時に熱を取り戻し、結合の余韻が甘い痺れとなって脳髄を駆け巡る。
「ああっ……、まだ、溺れそう……っ!」
葵が湯の中で小さく声を上げると、マチューは彼女を自身の膝の上に跨がらせた。水面が二人の動きに合わせて激しく波打ち、バスタブの外へと溢れ出す。マチューは葵の背中に両手を回し、彼女の自由を奪ったまま、ゆっくりと、しかし逃げ場のない速度で腰を突き上げた。水圧と彼の熱が、葵の身体を内外から責め立てる。
「Regarde comme l'eau danse autour de nous... comme nos corps.(見てごらん、僕たちの身体のように、水が踊っている)」
湯の熱さが、二人の感覚を研ぎ澄ませる。マチューは葵の濡れた髪をかき上げ、そのうなじに執拗に唇を這わせた。水音が混ざり合う中、彼の腰使いは次第に荒々しさを増していく。葵はマチューの肩に爪を立て、湯の中で激しく揺れる彼にしがみついた。泣き叫ぶようなあえぎ声は水音にかき消されるが、その分、互いの肌が擦れ合う感触と、深く繋がっているという事実が、葵の理性を再び真っ白に染め上げていく。
「マチュー、お願い……ッ! もっと、もっと深く……! あなたでいっぱいにして……っ!」
葵の懇願に、マチューは悦悦とした笑みを浮かべた。彼は葵を抱きしめたまま、バスタブの壁に押し付け、さらに深く、彼女の深淵へとその身を沈める。激しい水しぶきが浴室を打ち、二人の荒い息遣いが狭い空間に反響する。葵は再び、何度も、何度も、湯の熱さの中で絶頂へと突き落とされた。
マチューは葵の瞳を直視し、彼女が恍惚の中で泣き叫ぶその表情を、一瞬たりとも見逃すまいと刻み込む。彼は葵の全てを奪い尽くすかのような執着を見せ、彼女の魂を自身の支配下に置き続けた。湯船の中で二人は溶け合い、水面の揺らぎとともに、理性も現実もすべてが彼らの愛欲の中に沈んでいく。
「Ma reine, tu es tout ce que je désire...(僕の女王よ、君こそが僕が望む全てだ)」
二人の身体が同時に硬直し、最後の大波が襲いかかる。湯船が激しく溢れ、浴室中が二人の情熱の証で満たされた。荒い呼吸と、水が滴る音だけが響く中、マチューは葵をしっかりと抱きしめ、いつまでも、いつまでも離さなかった。その瞳には、かつてないほどの深い愛情と、彼女を決して手放さないという、強固な独占欲が宿っていた。二人はただ、愛欲の果てで、互いの体温だけを確かめ合っていた。
浴室の床は、二人が撒き散らした情熱の跡で濡れそぼっていた。マチューは葵を抱き上げたまま、水滴を滴らせて寝室へと戻る。湯で火照った身体に、夜の空気が冷たく心地よくまとわりつくが、マチューの腕の中にある葵の体は、先ほどまでの激しい運動でまだ熱を放っていた。
「Tu es à moi, Aoi. Toujours.(葵、君は僕のものだ。永遠にね)」
彼は葵をベッドに放り出すように仰向けにさせると、そのまま彼女の身体を覆い隠すように覆い被さった。マチューの猛々しい部分は、まだ葵の熱を記憶しているかのように、再び硬く脈動を始めている。
「マチュー……っ、まだ、そんなに……っ」
葵の声は、先ほどまでの絶叫から一転し、甘く掠れた色気を帯びていた。マチューは彼女の口元を親指で乱暴に撫で、深く唇を塞ぐ。舌を絡め合い、唾液の混じり合う音が寝室に生々しく響く。
「Je ne peux pas m'arrêter. Tes gémissements... ta peau... tout en toi me rend fou.(やめられないんだ。君のあえぎ声も、その肌も……君の全てが僕を狂わせる)」
彼は葵の太ももを大きく開き、そのまま自身の腰を彼女の深淵へと滑り込ませた。前戯など必要ない。二人はすでに、互いの身体を熟知しきっている。マチューが腰を突き出すたび、葵の内部で濡れた粘膜が彼を飲み込み、甘い水音を立てた。
「ああっ……! また、そんなに深く……っ、んんっ、マチュー、お腹、かき混ぜられてるみたい……っ!」
「もっと奥まで……君の記憶に、僕の刻印を焼き付けてやる」
マチューは葵の腰を掴み、ベッドを揺らすほどの力強さで突き上げる。葵はシーツを指で引き裂かんばかりに掴み、絶え間なく続く快楽の衝撃に、頭を左右に振って泣きじゃくった。彼の腰の動きは、先ほどまでの荒々しさに加え、葵の感度を確実に仕留める執拗なリズムが加わっている。
「アッ、アッ、アッ……! マチュ、そこ、そこダメ……っ! また、イッちゃう……、あああぁぁっ!!」
「いけ。何度でもいけ。君が果てるたびに、僕は君を支配する喜びを噛み締めるんだ」
葵が絶頂に達し、身体が弓なりに跳ねる。その痙攣を愉しむように、マチューはあえて動きを止めず、彼女の絶頂を自身の奥底で受け止めた。二人の境界線はもうどこにもない。心も肉体も、ただ混ざり合い、堕ちていくだけだ。
「マチュー……愛してる……ッ! あなただけ……っ、私の全部、あげる……ッ!」
「Ma reine... ma petite Aoi...」
マチューは葵の首筋に顔を埋め、最後の一突きまで彼女を貪り尽くす。二人は互いを抱きしめ、沈みゆくような深い快楽の海で、完全に一つに溶け合っていった。静まり返った寝室には、二人の心音が一つに重なって響いていた。