1時間だけ。

誰か、変わってくれないかな、と思う。

ちゃんと1時間後には交代して、私の人生をやるからさ。




その1時間だけ、は私はこの世であの子の母でいられる。

1時間後にはあの子はまた居なくなることも分かってる。

その代わってくれた人は、1時間後に我が子は本当は生きてると知らされるとは思ってない。

1時間の間中、ずっとずっと、我が子が本当に死んだと思ってる。




知ってるのは、私だけ。

ただの1時間の交代だと分かってるのは、私だけ。




先生。

ママ友。

色んな意見をくれたなぁ。

一緒に泣いてくれた子もいたな。




誰がいいかな。

誰でもいいや。




誰でもいいから、1時間だけ、代わってくれないかな。




私は、それをジッと見させてもらう。

 



ただ、1時間。

私にアドバイスくれたように本当にできるのか、見せて欲しい。




出来ても出来なくてもどっちでもいいや。

多分、出来ないだろうと、私は思ってる。




その代わり。

1時間後に本当は自分の子は生きていたんだと知った時。

涙を流して喜ぶだろう。




そして、我が子が本当に死んだと嘆いた1時間の経験から、私の気持ちが誰よりも分かってくれる人になるだろう。




身近に、そんな人がいて欲しい。

だけど、誰もそんな人いない。

知ってる人に、こんな壮絶な人生をやらせる訳にもいかない。




だから、誰か1時間だけ、代わって欲しいと思う。




そんなことを思った秋の夜。

ただの、酔っ払いのたわごと。