むすめはなきむしだ。
あさから、めをさまし、あたりをみわたし、(おとうさん、おかあさんおきたよ~)、となく。
ごはんになると、(じょうずにおかずがとれないよう)、となく。
ようちえんにハンカチをもっていくのをわすれてしまった。
てをあらい、ポケットにはいってないことにきづき、(ハンカチないよう、てをふけないよう)、となく。
なみたがほほをつたっても、(ハンカチもってないから、なみだがふけないよう)、とさらになく。
ゆうがたになり、おもちゃであそぶ。
かたづけることがにがてだから、あそびたいおもちゃがみつからず、(おもちゃがないよう)、となく。
そのたびに、ぎゅっとだきしめ、だいじょうぶ、だいじょうぶ、とせなかをトントンする。
しばらくすると、なきやみ、かおごとふくにこすりつけ、なみだをふく。
あんしんするのかな。
いつも、そんなまいにちのくりかえし。
「子供は泣くのが仕事だと言うけれど、うちの子はいつまで泣くのやら。」
そう思ってた。
でも、「ふと、泣かなくなったらどうなるんだろう?」って、考えてみた。
今は、涙を見せてくれることで、娘の心の声に耳を傾ける。
でも、でも、いつかこの子も、言葉で伝えることが出来るようになり、泣かなくなる日がくるだろう。
そして、少しずつ大人になり、解決できない悩みを抱え、泣きもせず我慢する日がくるだろう。
涙を見せなくなってしまっても、それでもなお、この子の心の声を感じられる親でいられるだろうか。
いつまでも、安心できる拠り所でいられるだろうか。
涙を見せなくなった、その後に。