結局、主人公はジャージを忘れたと嘘をついた


栄子は複雑そうな顔をしていたが、大翔は「ほんとお前ってどんくせーな」と笑って言った


「それならよかった~。」

「アキラくんもわざわざありがとね・・伊吹くんも」

伊吹は何も言わずに主人公の顔を見ていた



(なにかあったのかな?)そう思っていると大翔が



「ほら、しゃーねーな」



と主人公に何かを投げつけた



「わ・・っぷ。ん?ジャージ?」


「お前今日部活制服でやったら汚れるだろ?貸してやるよ。俺のタダで着れるんだから、喜べよ」



「え・・いいの?風間くんありがとう!!」



主人公はジャージをぎゅっと抱きしめた







────放課後



主人公は大翔のジャージを着て部活に参加していた


(風間くんのジャージ、やっぱり大きいなあ・・)
若干ぶかぶかな大翔のジャージを着た主人公を見て


「ぷっ」



「風間くん・・なに??変??」



二次元に恋するお年頃-tokusyu2_cap_talk.jpg



「そーゆー格好・・・エロいな・・。」




「なっっ・・・!!」


主人公は照れて真っ赤になった



「嘘だよ。誰がお前にときめくかよ!!」


大翔が舌を出してからかう



「も~…」





その時



「あれー??????○○、ジャージあったの???」




「おー沙也加。いや、それがコイツ、家に忘れてやんの」


大翔は笑いながら主人公の頭をガシガシした



「えー!!じゃあそのジャージ、大翔のとか?」



「あっうん、貸してくれて・・」



「へぇ。」


沙也加は一瞬顔つきが変わったように見えた



(あれ・・?気のせいかな?)



主人公は気にせずマネージャーに専念していた




すると、いつもグラウンドのフェンスからサッカーを見学している女の子達が背後から



「ちょ・・・アイツの着てるジャージ、風間くんのじゃない?」



「は?まじありえない!!」


と主人公に聞こえるようにはなしている




(仕方ないじゃん・・ジャージ・・あんな事されたんだから・・)



主人公は嫌な感じだなあ・・と思ったが、後ろを見ずにドリンクを作っていると




「そんなんだから、ジャージが無くなるんだよ。キャハハ」





(え????)



と後ろを振り向くと、もうそこには誰もいなかった





(もしかして・・あのジャージの犯人・・)










─────次の日、購買部に主人公は走った


(早く予約しなくちゃ。)


ジャージを予約し、購買部をでようとした時、伊吹瞬とぶつかった



「あっすいませ・・伊吹くん!!」


「・・・何か買いもん?」



「伊吹くんこそ・・」



「次の美術、鉛筆使うらしいから買おうと思って。」



「貸そうか?」



「いや、いい。これからも使うし」



「そっか・・」


「さんきゅ。」

「ううん!じゃあね」


主人公が購買部をでていった後伊吹が鉛筆を買おうとすると、おばさんが業者に電話していた



「あーもしもし?ジャージの注文お願いします。1-A、○○○○です。サイズはS。はい、ではよろしく~…。ああ、ごめんね、鉛筆50円だよ」



伊吹は一瞬止まった



「おにーさん?」


「ああ・・・」


伊吹は50円払って、購買部を出て行った




「やっぱりな──……」






伊吹はそう一人でつぶやき、教室へ向かった。






───昼休み

栄子とご飯を食べようとすると、珍しく伊吹が主人公のもとへ来た


「どうしたの?」


「ちょっと○○借りる」



「どーぞどーぞ!そのままお持ち帰りしてください」


栄子はニヤニヤしながら二人の後ろ姿をみていた



「ちょっ栄子、あいつらどーゆー関係だよ。」
大翔が焦ってこっちへきた


「いいじゃない、絵になるわ~キラキラ




大翔は複雑な表情だった───。






───一方二人は人気のない非常階段へ来た



「伊吹くん・・?」





「お持ち帰りしていいんだろ・・?」




伊吹は主人公に近寄る




「えっ・・ちょっ・・!!」





主人公は顔が真っ赤になって焦ると伊吹は



「アホか。そんなことするかよ。」




「え?」




「それより・・・

ジャージ・・なんで本当のこと言わないんだよ」



ビクッ・・・


主人公は伊吹の顔が見れなかった



「大翔、あいつは特に鈍感でバカだから、本気でお前が忘れたと思ってる」



「・・・。」




「なんか心当たりあるんだろ?」



「・・・・大丈夫。これは、私の問題だから」



「お前・・・」



「人に頼ってばっかりなようじゃ、強い女になれないしね!!」




「変な女。」







「でしょ?

ありがとね・・。

伊吹くんまで心配してもらえると思わなかった!!」



「別に心配なんか・・」





「あっ、もうご飯食べなきゃ終わっちゃうよ?私先教室帰るね!!」




主人公は走って教室へ向かった






───────放課後




今日もジャージは大翔が貸してくれた

部活がおわり、教室に忘れ物をした主人公は慌てて取りに行った



「あった・・・」そう言って教室をでようとしたら、
ドアのところに女が3人立っていた



「○○ってアンタでしょ?」

「風間くんに少し優しくされてるからって調子のんな」


(この声──…昨日の女の子達だ・・!!)



「なんでジャージ、あんなことするの?」


「はあ?」


「え、やだやだ犯人扱い?」


「きっしょー!!ムカつくんだよ」



主人公の机をガンッと蹴り、中身が床に散乱した




「風間くんを一人占めとか許せない」


「一人占めなんか・・」



「少し顔がいいからって媚びうってんのが見え見えなんだよ!!」


女の一人が主人公を思いっきり突き飛ばし、主人公は床に倒れた


「っっ・・痛・・・!!!!」



「一生人前にでれない顔にしてやろうか・・?」



(どうしよう・・3人じゃ抵抗できないよ・・!!!)





ガラッッ


「お前ら・・・・・



なにしてんだよ・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




息を切らして怒鳴ったのは伊吹だった




主人公はその瞬間ポロっと涙がでてしまった





「次やったら・・

女だからってタダじゃすまさねーぞ!!!!!!!!!!!」



あまりの殺気に女達は
ビクッとし、


「あ・・」
「ごめ・・なさい・っ!!」



と青ざめた顔で出て行った







「ありがとう・・・」


「別に・・お前のために助けたわけじゃねーし・・・」


うつむいて言う伊吹




(本当は優しいこと、知ってるんだから──・・・)



「アイツらが犯人かよ」



「たぶん・・」



「俺はてっきりブリブリ女辺りが怪しいと思ってた」



「ブリブリ・・・?」



「あの・・いつも大翔につきまとうブリブリした女」


「あぁ・・沙也加ね。でもなんで?」



「アイツ、大翔のこと好きだろーから」



(伊吹くんは本当に周りを見てるな・・・)



「とにかく・・・今日は送る。帰ろうぜ」




「うん・・・伊吹くんは優しいね」





「うるせーな、いいから行くぞ」
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横を見ると真っ赤な伊吹



(なんか伊吹くんといると、ドキドキする──………。)




主人公は伊吹への気持ちにまだ気づいていなかった──……