反回神経をきちんと温存して、甲状腺を切除するというのが外科医の使命です。しかし、私たちも人間ですので、間違いは必ず起こします。間違って神経を糸で縛ってしまったり、切断してしまったりすることがあります。もちろん手術初心者が起こしやすいミスですが、ベテラン医師も起こしてしまいます。
反回神経の太さには個人差はありますが、だいたい1㎜くらいです。男性のほうがやや太く、女性は細いことが多いです。
反回神経は、声帯を動かす神経だと割り切りましょうと書きましたが、本当は多くの役割があります。声帯を動かす神経(声帯運動枝といいます)のほかに、喉頭の知覚にかかわる神経、気管や食道を支配する神経が枝分かれします。本当はすべての神経の枝を残すことができればいいのですが、実際にはそうはいかないので、声帯運動枝だけは最低限残すように手術が行われています。声帯運動枝が最も太いことが多いので、喉頭に向かう神経の中で最も太いものを温存すればよいということになります。しかし、声帯運動枝以外の枝が太いと、誤ってそれを運動枝と判断し、実際に残すべき運動枝を切断してしまうことが起きてしまいます。

