朝日…いや、お昼の太陽で目が覚めた。

私は、スーツのまま。

そういや、昨日は部署で飲みに行って…、たぶん寝落ちした。

きっと誰かが家まで運んでくれたんだ。

月曜日、お礼言わないと。

そこまで、瞬時に脳が動いた後、右手に温かいものを感じた。

「変化さん…」

私の右手を変化さんの両手が包んでいる。

寝顔は赤ちゃんみたいに可愛い。

小さな寝息が聞こえた。

昨日、介抱してくれて、そのまま寝てしまったんだろう。

私は、左手で柔らかそうな髪を撫でた。

「変化さん。もうお昼だよ〜？」

「ん…」

「おはよ笑」

変化さんは、私を見て、自分の手元を見た。

「あっ…！いや…これは…」

「えっ？」

柄にもなく焦って手を離した変化さんに、少し不安になる。

普通に前は手を繋いできたのに。

どうしたんだろう。

「…どうしたの？」

「いや…」

「手…ずっと繋いでくれてでも良かったのに…」

何言ってんだ。私。

変化さんとは付き合ってもいないし。

むしろ、私のことをどう思ってるかわからないじゃない。

変化さんは私の言葉に、口許を隠すような仕草で顔を逸らしてしまった。

まずいこと言ったかな…

私は焦って、咄嗟に話題を変えた。

「…あっ、変化さん！昨日はありがとね。私あんまり記憶がないんだけど…介抱してくれたんだよね？」

「いや…この家まで運んできてくれたのは、柴田くんだよ。その後、俺は横にいただけ。」

柴田くんか。

なんか借りを作ってしまった。

「…変化さんもありがとね。柴田くんにもお礼言っておかないと…」

この状況が気まずくなってしまった私は、柴田くんにお礼を言うという名目で、携帯に逃げた。

すると、変化さんは立ち上がり、買い出し用のお金が入っている箱からお金を取り出した。

「買い出し行くの？」

「うん。」

「なら一緒に…「あっ！みさこは休んでていいからね。」

私が数日前に渡した合鍵を持って、そそくさと出て行った。

なんかおかしい。

いつもの変化さんじゃない。

とにかく今は変化さんが出て行ってしまった以上、どうすることもできない。

帰ってきてから、ちゃんと聞いてみることにしよう。

「あっ、柴田くんにお礼…」

LINEで柴田くんに昨日の粗相のお礼を述べた。

今度何か奢るという特典もつけて。

驚くような速さで既読がつく。

「暇か…柴田くん笑」

宇野さん、お疲れ様です(^^)

いつも宇野さんには助けていただいているので、気にしないでください！奢るなんて、とんでもないですよ。

おこがましいかもしれませんが…、お礼という名目で俺と食事に行ってもらえませんか？

あっ、そうだ。この前軽く、食事に行くと返事をしてしまったんだった。

あの時は、まだ私は変化さんのことをただの支えてくれる人としか思ってなくて。

今みたいな感情はなかったから、簡単に言えたんだろう。

どうしようか。

まぁ、柴田くんに告白されるなんて私の空想でしかないし。

万が一告白されたら、好きな人がいるからとお断りすればいい。

いいよ(^o^)いつ行こうか？

私はそう返事した。

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着替えて、ダラダラしていると、ガチャっと音が鳴った。

急いで玄関に駆け寄る。

「変化さん。お帰り！」

「うん…ただいまぁ…」

「…？」

目をそらしてまたキッチンへ向かう。

おかしすぎる。

「変化さんっ！」

「ん？」

変化さんは冷蔵庫に荷物を詰める手を止めない。

「ねぇ、変化さん！さっきから、なんかおかしいよ？」

思い切って、変化さんの手を掴んだ。

「…！」

「私…昨日なんかしちゃった？」

「…いや、そういうことじゃないよ…」

「じゃあ、どうしたの？具合でも悪い？」

変化さんの顔を覗き込むと、変化さんがまた顔を逸らした。

今まで変化さんに甘やかされてきたから、その仕草がとても悲しくて。

勢いに任せて、後ろから抱きついた。

変化さんの体が驚いていることがわかる。

「…なんかあったらちゃんと言ってよ…私、頼りないけど。」

「…」

「はぁ…」

変化さん、呆れてる？

少し、でしゃばったことをしすぎたと後悔しても遅い。

怯えながら変化さんの反応を待つ。

「みさこと話したり、触れ合ったりするとさ…」

「…？」

「…好きって気持ちが溢れてきてどうにかなっちゃいそうなんだよ…」

好き。

好き？

「…だから、避けてたの？」

「…うん。ごめん…夢を支えるだけの俺がこんなこと。」

変化さんは、右手で自分の顔を覆った。

なんだ。同じ気持ちなのか。

嬉しくて。力を込めた。

「…変化さん、大好きだよ。」

「えっ？」

「私も同じ気持ち。変化さんと触れ合ったりすると、ドキドキして、どうにかなりそう…」

「…同じ？」

「うん、同じ笑」

そういうと、変化さんは優しく私の腕を解いて、私の方に向き直った。

右手が私の頬を包む。

「…キスしていい？」

返事の代わりに私は目を閉じた。

おでこに温かい感触。

「…お昼ご飯食べよっか。」

ちょっとだけ期待してた自分が恥ずかしい。

「…口にしてもいいんだよ？」

そして、わざわざ口に出してしまった。

「…そこまで、まだ心の準備がね…笑」

「心の準備？笑」

「みさこが無防備な時にしてあげる。」

「なにそれ笑」

「ドッキリ的な？笑」

不意打ちということか。

それもそれで、心臓が保てなそうだ。

こんな素敵な人がそばにいてくれるなんて。

私はきっと世界一幸せものだ。

「あっ、さっき買い出しでめっちゃ美味しそうな物買ってきたんだよ！」

「えっ、ほんと！？」

「早く食べよっ。」

「うん！」

変化さん⑩おわり

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変化さんは、いきなり口にキスはしないということでしたが…

ピピー！！審議入ります笑

みさこちゃんは気付いてないようですが、読者の皆様からしたら、「もうお前キスしとるやんけぇ！」って突っ込んでるかと思います

まぁ、気づいてない宇野ちゃんの立場に自分がなったら、変化さんがピュアすぎて、キュン死しそうですね。

ところで、スーツで寝落ちしてしまった宇野ちゃんですが、スーツといえば、皆さん、これを思い出しますよね！

↓

イケイケ4人組！

なんかこのランウェイの後だか、前だかに、バービーさんがインタビューしてたじゃないですか。

で、胸キュン告白みたいな。

にっしーの壁ドンがオラオラすぎて、めちゃくちゃ記憶に残っております笑

さすが、にっしー。笑いも忘れない男。

渚でした！