倒産の今後の見通し【帝国データバンク全国企業倒産集計2012年報】
●倒産件数は6年連続1万件超え、負債総額は2年ぶりの前年比増加
2012年の企業倒産は1万1129件となり、2011年(1万1369件)を2.1%下回ったものの、
6年連続で1万件超を記録した。1万件超という水準は、資源価格の高騰や、建築基準法・
貸金業法改正などの影響を受け、倒産件数が増加した2007年から続く水準である。
昨年は、金融円滑化法のもと資金繰り難に陥っている中小企業が、金融機関から借入金
の返済条件の変更を受けるという形で支援され破綻を免れた。それでも、根本的に
中小企業を取り巻く環境は改善されておらず、年間の倒産件数は1万1000件を上回った。
6年連続で1万件超を記録した。1万件超という水準は、資源価格の高騰や、建築基準法・
貸金業法改正などの影響を受け、倒産件数が増加した2007年から続く水準である。
昨年は、金融円滑化法のもと資金繰り難に陥っている中小企業が、金融機関から借入金
の返済条件の変更を受けるという形で支援され破綻を免れた。それでも、根本的に
中小企業を取り巻く環境は改善されておらず、年間の倒産件数は1万1000件を上回った。
一方、負債総額は3兆7742億9400万円となり、前年(3兆4637億3300万円)を9.0%
上回り2年ぶりに前年比増加となった。エルピーダメモリ(半導体製造、2月会社更生法、
負債4480億3300万円)、クラヴィス(消費者金融、7月破産、同3268億8700万円)など
負債1000億円以上の超大型倒産が4件発生(前年は3件)したことに加え、同100億円
以上の大型倒産も前年を8件上回る35件発生したことで、負債総額が押し上げられた。
上回り2年ぶりに前年比増加となった。エルピーダメモリ(半導体製造、2月会社更生法、
負債4480億3300万円)、クラヴィス(消費者金融、7月破産、同3268億8700万円)など
負債1000億円以上の超大型倒産が4件発生(前年は3件)したことに加え、同100億円
以上の大型倒産も前年を8件上回る35件発生したことで、負債総額が押し上げられた。
●パナソニック、シャープの下請け先で散見される倒産事例
建設業の次に前年比減少幅が大きかったのは製造業(前年比5.3%減)であるが、
パナソニックやシャープといった大手電機メーカーの下請け先を中心として倒産リスクが
高まっている企業は少なくない。主にメーカーの下請けとして売り上げを立てている
中小企業のなかには、メーカーが大幅なリストラ策を講じて以降、取引が減少し資金繰り
が行き詰まった企業も確認されている。全国にパナソニックの下請け先は約3万1500社、
シャープの下請け先は約1万2000社存在している。2013年は、メーカーの経営再建が進むと
想定されるが、同時に下請け企業の選別も一層進むと想定され、製造業の倒産が増加する
要因の一つとなるであろう。
パナソニックやシャープといった大手電機メーカーの下請け先を中心として倒産リスクが
高まっている企業は少なくない。主にメーカーの下請けとして売り上げを立てている
中小企業のなかには、メーカーが大幅なリストラ策を講じて以降、取引が減少し資金繰り
が行き詰まった企業も確認されている。全国にパナソニックの下請け先は約3万1500社、
シャープの下請け先は約1万2000社存在している。2013年は、メーカーの経営再建が進むと
想定されるが、同時に下請け企業の選別も一層進むと想定され、製造業の倒産が増加する
要因の一つとなるであろう。
●倒産件数は増加懸念を払拭できないまま高水準が続く
自民党の安倍晋三総裁が第96代内閣総理大臣となり、政権が交代した。
「強い経済の再生なくして財政再建も日本の将来もない」と就任会見で訴え、1月8日には、
新設した「日本経済再生本部」の初会合を早くも開催。経済再生に力を入れるとする
安倍総理への市場の期待は大きく、日経平均株価は2011年の東日本大震災発生以前の水準
にまで回復した。
「強い経済の再生なくして財政再建も日本の将来もない」と就任会見で訴え、1月8日には、
新設した「日本経済再生本部」の初会合を早くも開催。経済再生に力を入れるとする
安倍総理への市場の期待は大きく、日経平均株価は2011年の東日本大震災発生以前の水準
にまで回復した。
しかし、先行きへの期待感が高まる一方で、中小企業の資金繰りは待ったなしだ。中塚
前金融担当大臣が最後の記者会見で「(企業は)資金繰りだけでは良くならないところが
ある。抜本的立て直しは道半ばの感がある」とコメントしたように、金融円滑化法の期限
到来を見据えた出口戦略としての「経営改善支援、事業再生支援」は、まだまだこれから
である。当初の支援企業決定期限の延長が民主党政権で閣議決定されていた企業再生支援
機構や、3813機関認定されている中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関、
年間3000件支援を掲げている中小企業再生支援協議会などは、中小企業再生を支援する
存在として今後も機能していくであろうか。
前金融担当大臣が最後の記者会見で「(企業は)資金繰りだけでは良くならないところが
ある。抜本的立て直しは道半ばの感がある」とコメントしたように、金融円滑化法の期限
到来を見据えた出口戦略としての「経営改善支援、事業再生支援」は、まだまだこれから
である。当初の支援企業決定期限の延長が民主党政権で閣議決定されていた企業再生支援
機構や、3813機関認定されている中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関、
年間3000件支援を掲げている中小企業再生支援協議会などは、中小企業再生を支援する
存在として今後も機能していくであろうか。
2012年の企業倒産が前年比2.1%減となったのは、この金融円滑化法による倒産抑制効果
と見て間違いない。結果から見れば入口戦略としての「資金繰り支援」は成功したと言って
良いであろう。しかし一方で、金融円滑化法という“薬”があったにも関わらず、
1万1000社以上の企業が倒産に追い込まれているのが現実である。
倒産には至っていないものの深刻な財務不安を抱えている企業も多く存在している。今後、
こうした企業のうち経営改善が一向に進まない企業を中心として、行き詰まる可能性が高い。
2013年も政策頼りの倒産抑制は続く見込みだが、増加懸念を払拭できないまま企業倒産件数
は高水準が続くであろう。
2013年1月15日帝国データバンク
と見て間違いない。結果から見れば入口戦略としての「資金繰り支援」は成功したと言って
良いであろう。しかし一方で、金融円滑化法という“薬”があったにも関わらず、
1万1000社以上の企業が倒産に追い込まれているのが現実である。
倒産には至っていないものの深刻な財務不安を抱えている企業も多く存在している。今後、
こうした企業のうち経営改善が一向に進まない企業を中心として、行き詰まる可能性が高い。
2013年も政策頼りの倒産抑制は続く見込みだが、増加懸念を払拭できないまま企業倒産件数
は高水準が続くであろう。
2013年1月15日帝国データバンク