最近のメルマガで、この金融円滑化法の終了について何度も書いて来ました。
 それでも、日々の仕事に追われリスケしていても実感のわかない経営者の方も
 いらっしゃると思います。
 いずれにしても利息だけの支払が何時までも続く事はありません。
 ですから近い将来に返済額が増える事にどのように対応するか真剣に考えなけ
 ればなりません。
 
 来年3月に金融円滑化法が終了すると、銀行はどういう態度に出てくるでしょうか?
 
 実は銀行は今、「貸したい企業」と「貸したくない企業」を厳しく選別し始め
 ているのです。
 高格付の企業には、有利な融資条件で積極的に資金を融資している一方、
 2期連続で赤字の企業や資金繰りが厳しい企業ほど、高金利、減額、貸し渋り
 にあっています。
 
 しかし、悪い話ばかりではありません。厳しい金融情勢の中においても、
 先を見越した対策を実行している企業は、業績が厳しい中で継続的な借入を
 実現できています。
 
 金融機関が何を評価しているのか、上手な借り方・返し方、これからの取引の
 ポイント、金融円滑化法導入後の対応・・・など、金融知識を深め、そのため
 の対策を万全に備えている企業は、有利な条件で融資を受けられています。
 
 政府の救済案としては、DDS(デット・デット・スワップ)で、債務の一部
 を劣後ローンに振り替えると言う話も出ているようですが、あまり現実的だと
 は思えません。
 なぜならば金利が高過ぎると言う事です。
 他の債務に劣後(返済順位の優先度が低い)するわけですから、金利は高く
 しないと採算があいません。
 
 ちなみに日本政策金融公庫の劣後ローン(挑戦支援融資制度)でも5.3%の
 固定金利です。
 
 元々、収益力が低いから返済が出来なくなってリスケしている場合が殆どですから、
 いくら元金の据置が延長されるからと言っても金利が5%~6%程度まで
 上がってしまっては意味がありません。
 ですので、政府の案は中小零細企業にとって現実的ではないのです。
 
 ではどうしたらよいのか?!
 
 ■第一には、あたりまえなことですがやはり収益力を上げるしかありません。
 
 そのために、一番最初にやらなくてはならないのは、経費の削減です。
 これは、決断さえすれば確実に実行できるからです。
 われわれコンサルタントも経費節減は最重要課題としてチェックしながら
 対策を立てます。
 
 ■第二にやらなければならないのが売上アップです。
 
 売上アップの方策を話せばキリがありませんが、まずは「目標」と「宣伝」が大切です。
 特に、規模の小さな企業ほど宣伝広告費をそれほど取っておりません。
 材料を仕入れ、人件費を支払い、家賃を支払えば、残らないと言われますが、
 これを続けるのであれば、今までと何も変わりませんから当然売上もあがりません。
 どこの企業も宣伝広告費はもったいないと思うようです。
 
 私のクライアントもほとんど初めは
 「もったいない・・・そんなお金があれば別に使うよ・・・」
 そう言います。
 卵が先か鶏が先か・・・ではありませんが、極論を言えば、何かの支払いを
 止めてでも宣伝広告を行える人だけが、抜け出せると言えます。
 同じことを、同じ考えでやっても何も変わらないのです。

 宣伝広告の方法論は昔ながらの紙媒体の印刷チラシ、リーフレット、
 フリーペーパー、24時間休まずに営業してくれるホームページ、
 特に最近スマホの普及に伴いフェースブックやツイッターなどさまざまです。
 自分の会社の業態に合わせて使い分ければ効果は絶大です。
 
 ■もう一つは、確かな「目標」に向かって努力することです。
 
 事業はどんなに努力しても間違った方向に行けば、駄目になります。
 この製品(商品)、サービスを世の中の人は必要としているのか。
 古い話ならSONYと松下電器のテープレコーダーのVHS方式か、β方式か。
 この時は松下電器のVHS方式が流れを掴みました。
 しかし最近でいえば、パナソニックがプラズマディスプレイに走って失敗しました。
 世の中は、液晶からELへとシフトしています。
 ですから「目標」は正しい方向性を認識した上で持つことが重要なのです。
 
 自社の製品の方向性やサービスの方向性を突き詰めて、とことん深掘りして
 いかなければなりません。
 正しい「目標」を持つコツは、その商品やサービスの究極の姿を想像する事です。
 例えば、ディスプレイならば人間の目で見た景色と同じ質感で見えるディスプレイ、
 つまりそのディスプレイに映った映像と本物の景色の区別が付かないと言うものです。
 
 そのような究極の目標を持ち、そこへ一歩でも近づこうと努力していれば、
 多少の寄り道があっても間違った方向に努力することはなくなります。
 また、目標は究極ですから簡単に実現はできませんが、その分近づこうと
 努力していれば、小さな改良が積重ねられ、知らない内に競争力がついてきます。
 
 それが、宣伝効果を段々高めて行くことに繋がるのです。
 
 このような企業が目指す方向性を研鑽して行けば、会社も社員も経営者も
 話す内容も充実し、表情も明るくなり、金融機関は改革されていることを理解し
 協力してくれるようになるのだと思います。
 
 さあ~社長!見直してみましょう!!
 きっと生き残る道は残っています!!