租税公課は企業会計上、費用として処理することができますが、
税務上は、会計上と異なる取り扱いを受ける場合があるので注意が必要です。
 

■租税公課とは
 
 租税公課とは、税金(国税と地方税)、国・地方公共団体などから課せられる賦課金、
 交通反則金などの罰金など、租税と公課の負担一般を管理するための勘定科目をいいます。
 
 なお、租税とは、国税と地方税などの税金、
 公課とは、国・地方公共団体などから課せられる賦課金や
 交通反則金などの罰金などの金銭負担を示します。
 
 租税公課は、会社の費用であり、「販売費及び一般管理費」(製造業の場合は「製造費用」)
 の一費用項目で、会計上は、経費算入が認められています。
 

■法人税と所得税
 
 「法人税」は法人税法に基づいて、法人所得に課せられる税金です。
 「所得税」は所得税法に基づいて、個人(個人事業)の所得に課せられる税金です。
 両者はまったく別の法律に基づいて課税されます。
 
 法人税の税率は、所得が800万円を境に段階的に税率が決まっているのに対し、
 所得税の税率は、所得の金額によって、5%から40%まで6段階に分かれています。
 
 結果として、個人事業と会社で同じ事業活動を行い、同じ額の利益を上げても、
 最後に納める税金の額が違ってきます。

 
■所得税法上の租税公課の取り扱い
 ~個人事業の必要経費算入の可否はこちらをご参照ください。
 
●必要経費算入の租税公課
 次に掲げる業務用の資産に関する租税公課は、必要経費に算入できます。
 
 ・固定資産税
 ・登録免許税
 ・不動産取得税
 ・地価税
 ・特別土地保有税
 ・事業所税
 ・自動車取得税
 
●必要経費不算入の租税公課
 次に掲げる租税公課などは必要経費に算入しないものとされています。
 
 ・所得税
 ・所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、
  重加算税、印紙税法の規定による過怠税
 ・地方税法の規定による道府県民税と市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
 ・地方税法 の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金
 ・罰金、科料、過料
 ・損害賠償金で政令で定めるもの
 

■法人税法上の租税公課の取り扱い
 ~法人会計の損金算入の可否はこちらをご参照ください。
 
●損金算入できる租税公課
 次のような租税公課は、原則として損金に算入できます。
 
 ・利子税
 ・地方税の納期限の延長に係る延滞金
 ・不動産取得税
 ・固定資産税
 ・自動車税
 ・軽自動車税
 ・登録免許税
 ・法人税から控除されない所得税、外国法人税
 ・税込方式を採用した場合の消費税
 ・印紙税(収入印紙)
 ・事業税
 ・事業所税
 ・都市計画税
 ・地価税
 ・社会保険料の延滞金

●損金不算入の租税公課
 次に掲げる租税公課については、別段の定めにより、
 損金の額に算入しないこととされています。
 
 1.所得課税の性格を有する租税公課
  法人税の本税(利子税を除く)
  法人住民税※(道府県民税、都民税、特別区民税、市町村民税)の本税
  ※均等割、法人税割、利子割のすべての種類について損金不算入。
 
 2.延滞税や罰金など罰則的な性格を有する租税公課
  延滞税(国税)
  延滞金(地方税)
  過少申告加算税(国税)
  過少申告加算金(地方税)
  無申告加算税(国税)
  不納付加算税(国税)
  不申告加算金(地方税)
  重加算税(国税)
  重加算金(地方税)
  印紙税法による過怠税(国税)
  罰金、科料、過料、交通反則金
  独占禁止法による課徴金、延滞金
 
 3.税額控除されるもの
  法人税から税額控除される(または還付を受ける)所得税、外国法人税
 
※会計上は、収益-費用=利益、となりますが、
 これに対して法人税法上は、益金-損金=所得、となり、
 この所得金額に対して、法人税等を計算する事となります。