8月23日付の日本経済新聞によると、厚生年金の保険料を滞納した事業所数が
2011年度に過去最高を更新しました。

滞納事業所数は、2006年度辺りから増え始め、リーマンショックの翌年2009年度から
16万件を突破し、高水準で推移。2011年度には162,735件となりました。

また、督促に応じない事業所に対する差し押さえ件数は約17,800件となり、
前年度比で3割も増加。

今までも何度か書いている通り、倒産件数は歴史的な低水準で推移しています。
東京商工リサーチの倒産発生率の発表によれば、
個人事業主を除いた普通法人の倒産発生率は、0.41%となり、2年連続で減少しました。
これは、政府の中小企業向け資金繰り対策が奏功し、倒産件数が減少した結果です。

地域別にみると、発生率の低いトップ3は、大阪府0.53%、石川県0.51%、
東京都0.49%。反対に発生率の高いトップ3は、鹿児島県0.18%、
広島県0.26%、山梨県0.27%。

業種別でみると、情報通信業0.74%、建設業0.69%、卸売業0.6%が上位3業種。
下位3業種は、金融・保険業0.13%、不動産0.15%、農林漁鉱業0.22%となりました。

建設と卸売、製造業が高いのは理解できますが、情報通信は意外でした。
スマホブームやネット通販の隆盛の裏では、インターネットや情報系企業の倒産が
増えているのが現実のようです。

しかし、倒産の代表的な兆候の一つである社会保険料の滞納が、過去最高を更新
したことは、水面下での倒産予備軍が増えていることを如実に示しています。
 
金融円滑化法が平成21年12月に施行されてから、300万件を超えるリスケが
行われて来ました。
件数は300万件ですが、企業数としては50万社位でしょう。

倒産件数が歴史的な低水準で推移しているのは金融円滑化法の賜物なのです。

来年、この金融円滑化法が終了すると言うことで、確実に影響を受けるのは現在
リスケ中の方である事は、言うまでもありません。

しかし、現在リスケをせずに頑張っている中小企業の方も、
タイミング悪く法律の終了後にリスケが必要になれば、関係ないとは言えません。
今までのように簡単に応じてもらえなくなるからです。

どのぐらい厳しくなるかは、現時点では誰にもわかりません。
恐らく元金の返済を据え置いて更新を重ねていた処に対して、
元金の返済要求がなされると思います。
 
それを軽く考えてはいけません。
「今まで”ゼロ”だったんだから1万円でも返済すれば銀行は何も言わないし
 解ってくれるさ。。返さないわけじゃねーし!」
こう思っていると大変な事になると思います。

元金返済を求められたら、ケースバイケースになるとは思いますが、
やはり基本3年~5年、長期借り入れの場合でも15年~20年以内には
返済出来る計画を求められるでしょう。

そのような流れからスタートをし、状況推移を見て、
多くの倒産が出れば基準が緩くなったり、
政府から新たな救済策が出たりするのではないかと思います。

もし逆に、政府・省庁・金融機関の予想より倒産件数が増えなければ、
逆にもっと厳しくなることもあるのではないでしょうか。
 
皆様の会社が頑張り流血が少なければ、救済策は少ないと思います。
赤字国家となって消費税を引き上げなければ成り立たないところに追い込まれている
我が国の昨今の厳しい予算の中では、削る事は考えても初めからつぎ込む事は
期待できません。

ある程度の犠牲者が出てから、その多い少ないに応じて対策の方法や規模が
決まると言うことです。
ですから、本格的な対策がでるまでの犠牲者にならないことが、
企業経営者にとって、生延びるためにやらなければならない最低の事なのです。

リスケをしている企業は、1日でも早く生き残るために本気の準備をすることが重要です。
提出した経営改善計画の通りに、進められているのかをチェックして、
金融機関を納得させられる成果が出ているのか?
売り上げを伸ばすことはこのご時世難しいが、せめて経費だけでも削減出来ているか?

「売り上げ減だが、黒字は出したぞ!
だから、元金の一部を少し払うから、引き続き支援してください。」
 
そう言えれば、金融円滑化法が終了しても金融機関はリスケに応じてくれます。
 
続きはまた・・・