金融庁は6月4日、中小企業金融円滑化法に基づくリスケジュール(条件変更)の
状況について、今年3月31日までの速報値を発表しました。

中小企業などが全国659の金融機関へのリスケジュールを申請をした数は、
308万7,186件と依然増加傾向。
審査中や取り下げを除いた実行率は97.3%に達しました。
 
このうち最も申請数が多かった金融機関は、
地方銀行や第二地方銀行など107行の地域銀行で141万2,272件と全体の45.7%を占め、
159の信用金庫の106万822件が続きます。
地域銀行と信用金庫を併せて80.1%を占めました。
 
日経新聞(6/12朝刊)のニュースでは、
信用保証協会の保証による融資の焦付き額は、
6400億円(2011年度の100%保証の焦付き(代位弁済)額)となり、
焦付き(代位弁済)額が全体の7割を占めたと言うことです。
そしてこの焦付きを金融機関別に見ると一部の信用金庫などに焦付きが
集中していたとの事です。

金融機関によっては破綻懸念のある企業にも100%保証を使って
安易に融資していた可能性があると記事では締め括られていました。
もとは、国の財政難が原因だとは思いますが、このような金融機関の審査にも
問題があり、100%保証の行方が危うくなってきました。
 
中小企業の全業種を対象に、金融機関からの融資を信用保証協会が100%保証する
緊急制度が、 2012年度中に廃止される方向となったのです。
 
中小企業庁では、信用保証協会による中小企業向けの保証を縮小する検討に入り、
早ければ今年度下半期に見直すとしています。
リーマン・ショック後の資金繰り安定に同庁は、100%保証を全業種に拡大しました。
その後、昨年度末に見直しが検討されましたが震災発生で延長されてきました。
 
中小企業向け融資の100%保証は、景気低迷を原因とした倒産回避の効果が高い一方、
モラルハザードにつながる懸念が出ていました。
 
いきなり100%保証が無くなるという訳ではなく、80%保証する一般保証や、
一部業種の100%保証は残す方針です。
つまり、全業種に採用されている100%保証が、最低必要限の業種に絞られる
ところから始めようと言う事なのです。

しかしながら、資金需要の実態は、
業種と言うより個別企業の事情によるところが多いですから、
除外された業種の中で倒産する中小零細企業がかなりでるのではないかと思います。

今のところ、どの業種が外されるのか分かりませんが、
今まで金融機関からの借入は、信用保証協会の100%保証しか借りたことがない
と言う方は要注意です。

万一、貴社の属する業種が、一部業種枠から外された場合に、
全く借りられなくなる恐れがあるからです。
あてはまる社長さん、今のうちから財務改善を行って、
80%保証でも借りられるように準備しておくことをお勧めします。

「信用保証協会の80%の保証、
 所謂普通保証ですがたったの20%保証率が下がっただけじゃないか・・・」
「大袈裟だ!!」
と思う経営者の方もいると思います。

しかし、これは銀行にとっては大変なことなのです。
2000万円貸すと1600万円しか保証を得られない訳ですから、
400万円はプロパーで融資するのと同じ事になるからです。
厳しい経営環境の地方銀行などにとっては大変な事です。

それもその400万円のプロパーは、保証協会の1600万円に合わせて
5年返済なら5年返済に合わせなければなりません。
通常、プロパー融資を金融機関に中小企業が申込むと、余程業績が良くない限り
3年返済までが審査に通り易いと言えますから、返済年数にも高い壁がある訳です。

今まで100%保証しか借りたことのない方が、銀行へ400万円のプロパーを
申込んで頂ければ、この20%のハードルの高さが分かると思いますが、
なかなか通らないものなのです。

どの業界から100%保証が廃止されるのか分かりませんが、
何れは全業種なくなる訳ですから、少額のプロパー融資を受けられる位の
財務改善を、早急に始める事が大変重要です。
 
企業倒産は減少傾向で金融支援の縮小が検討されるなか、
”中小企業はリスケジュール”、
”家庭では生活保護申請数が増加”、しているのも現実です。
厳しい苦難の環境にあることは変わりません。

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