今回は、会計の勉強をすると必ず出てくる言葉、
「単式簿記」と「複式簿記」について説明します。
これは、会計帳簿の記録の仕方の違いですね。
 
財務諸表(決算書)の見かた(1)の続きではありませんが、
会計を理解するという部分では繋がっています。
こちらも基礎の基礎となりますが、よかったら読んでみてくださいね。
 

■簿記とは?
 
まず、簿記とは何なのでしょうか?
それは、企業や家計などの経営主体の経営活動を、
一定のルールに従って、会計帳簿に記録・計算していく手続きをいいます。
 
簿記には、単式簿記と複式簿記があり、
通常、一般的に「簿記」といった場合には複式簿記を指します。
 
ちなみに、商業簿記と工業簿記という簿記の学習上の区分もあります。
すごく簡単に言いますと、商業活動をしている会社の簿記を「商業簿記」、
製造活動をしている会社の簿記を「工業簿記」と言います。
 
違いは、工業簿記では、製造活動による製造原価報告書という財務諸表が
追加されます。製品の原価を計算する事がポイントになります。
それ以外は、商業簿記と同じです。

 
■単式簿記と複式簿記の違いは?
 
まず単式と複式という言葉からも連想できるように、
単式は1つ、複式は2つ以上、記録していくものと思ってください。

・単式簿記とは
 
単式簿記とは、いわゆる家計簿やお小遣い帳などのようなもので、
日々の入金や出金を記録していき、収支(現金残高)を確認できるものです。
現金の入出金を基準にして、経営活動の結果を把握していこうとするものです。
 
単式簿記では、比較的簡単に記帳ができ、現金の残高はすぐわかりますが、
例えば1ヶ月間に食費がいくらかかったのかなどの現金の増減の理由を知るには、
家計簿をみながら集計する必要があります。かなり面倒ですね。
また、現金の動きがない取引については、別途管理が必要となります。

・複式簿記とは
 
複式簿記とは、取引を「原因」と「結果」という二つの側面から把握していくもので、
現金の増減という取引の結果に加え、どのような取引に起因して現金が増減したのか
という原因にも着目して帳簿に記録していく方法です。
 
例えば、商品を現金で売り上げた場合、現金が増加するという結果がもたらされたのは、
商品を売り上げたという原因があったからで、現金という項目(勘定科目)に資産の増加を、
売上という項目(勘定科目)に収益の発生を記録します。
 
このように、取引1つ1つを、原因と結果のそれぞれの項目(勘定科目)に記録していき、
その後、その項目(勘定科目)を集計すれば、資産や負債の残高が確認でき、
また同時に、損益も把握できる仕組みとなっています。
 
複式簿記は、お金の増減だけを管理するのではなく、他にも色々なものの増減を
管理します。これが複式簿記の大きな特徴です。

 
■単式簿記と複式簿記を比べてみましょう
 
※注意!!
表になっていませんので、以下の仕訳がわかりにくいかと思います。
文章から、イメージを掴んでいただけたらと思います。
すみません・・

簡単な例を上げて、簿記の仕方を比べてみたいと思います。
 
先月の繰越で、手元に現金3,000円がありました。
5日に、お給料前ピンチで、母より10,000円を借りました。
10日に、電話代8,000円を現金で支払いました。
25日に、お給料100,000円、通帳に入金がありました。
30日に、1,000円の本を買いました。

 
この4つの取引を、単式簿記(お小遣い帳)に書いてみますと、
 
●単式簿記
 
先月繰越 (現金残高)3,000
5日 母から借りる (入金)10,000 (現金残高)13,000
10日 電話代を支払う (出金)8,000 (現金残高)5,000
30日 本を買う (出金)1,000 (現金残高)4,000
 
お小遣い帳だとこのようになると思います。
入金と出金を記録して、残高を計算・記入しますので、
月末の時点での現金残高は、4,000円だとすぐにわかりますね。
 
でも、通帳にいくら残高があるのかは、通帳を見ないとわかりません。
それに、もしお母さんから先月も借りていて今月も借りた場合、
いくら借りているのか、さかのぼってみないとわからないですね。
 

これを、複式簿記で書いてみます。
 
※摘要は、メモと思ってください。
※借方、貸方は、右(=借方)と左(=貸方)と思ってください。
 
●複式簿記
 
5日 (摘要)母から借りる (借方)現金10,000/(貸方)借入金10,000
10日 (摘要)○月分の電話代を支払う (借方)通信費8,000/(貸方)現金8,000
25日 (摘要)○月分のお給料 (借方)普通預金100,000/(貸方)給与100,000
30日 (摘要)本を買う (借方)書籍代1,000/(貸方)現金1,000
 
なんだか、難しくなったように思いますね。
現金の残高もこれからではすぐにわかりません。
 
でも、複式簿記では、それぞれの項目(勘定科目)ごとに管理しますので、
このあと、書き移します(転記します)。
 
◎現金勘定
先月繰越 (残高)3,000
5日 (摘要)母から借りる (借方)現金10,000 (残高)13,000 
10日 (摘要)電話代を支払う (貸方)現金8,000 (残高)5,000 
30日 (摘要)本を買う (貸方)現金1,000 (残高)4,000 

◎借入金勘定
先月繰越 (残高)20,000
5日 (摘要)母から借りる (貸方)借入金10,000 (残高)30,000 

◎普通預金勘定
先月繰越 (残高)7,000
25日 (摘要)○月分のお給料 (借方)普通預金100,000 (残高)107,000 

◎通信費勘定
10日 (摘要)○月分の電話代 (借方)通信費8,000 (合計)8,000 

◎書籍代勘定
30日 (摘要)本代 (借方)書籍代1,000 (合計)1,000 

 
このように、複式簿記では、それぞれの項目(勘定科目)に分けて、
取引の金額を記録していきます。これが大きな特徴となります。
 
現金勘定を見ると、現金の月末残高(4,000)がわかりますし、
借入金勘定を見ると、借入金の月末残高(30,000)がわかりまし、
通信費を見ますと、その月の電話代(8,000)がわかりますし、
もし1年間記録していますと、1年間分の電話代が一目でわかります。
 
この項目(勘定科目)は、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」の
 5つの要素にグループ分けされています。
 
そして、それぞれを集計するだけで、「貸借対照表」と「損益計算書」が
完成してしまうのです。すごいですね~。
 
5つのグループの解説を少し。
「貸借対照表」と「損益計算書」を理解するときに必ず出てきますよね~。

・資産
  事業上の財産となる物です。
  現金や事業用の商品、備品、建物、営業車、売掛金などが資産になります。
・負債
  借入金や手形の他に、商品を仕入れた時の買掛金や未払金も負債になります。
・資本
  資本金。
・収益
  売上や雑収入、受取利息、資産売却益(資産を売った時に出た利益)など。
・費用
  仕入、給与、販売費及び一般管理費等といわれる事業を行う為の経費です。
 
 
以上のように、単式簿記は、最初は簡単だけど、後が大変、
複式簿記は、最初が大変そうだけど、後が楽というところですね。

今、複式簿記は、最初が大変そうと書きましたが、
実際は、取引が発生した際に、何が増えて、何が減ったのかなど、
原因と結果をきちんと仕訳して、あとは、適応する勘定科目さえ間違わずに記録していけば、
全く大変でははないんですけどね~。
 
でも、初めての方には、仕訳の時の、
「借方/貸方」を、どちらに書けばいいのかで、悩むのかもですね。
さらに、勘定科目がどれになるのか?など、難しいのかもですね。
 
わからないときはネットで検索すれば、
仕訳の例などもありますし、同じような質問もあったりしますので、
欲しい答えがきっと見つかると思います。
インターネットは、本当にありがたいですね~ 是非活用しましょう~!